東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記「旧東ドイツの旅」

07. ライプツィヒ到着

ライプツィヒ到着

ポツダム郊外にあるプロイセン王フリードリヒ2世ゆかりのサンスーシ宮殿を見て歩き、バスに乗って出発。近くにある湖の畔のレストランで昼食だ。メニューはトマト・スープ、サラダ、カワカマスのグリルとアイスクリーム、それにビールだ。カワカマスとビールがぴったりだったね。

食事の後は湖畔の散歩だ。個人旅行だったら今日の午後の予定は無しにして、湖畔でのんびりしたかもしれない。でも、今回の旅はツアー。のんびりとはさせてもらえないみたい。

ドイツ略図

湖畔のレストランからツアーのバスに乗って出発。走ること2時間ほどで到着したのがライプツィヒ。ドイツの首都ベルリンからは南西に 120kmほどのところにある、人口50万人あまりの街だ。(上の略図を参照。)

それほどの大都会ともいえないこのライプツィヒが、20世紀の後半に世界の注目を浴びたことがある。西暦1986年にアイスランドのレイキャビクでレーガン・ゴルバチョフによる和平会談が行われた3年後、西暦1989年のことだった。

9月初旬に千人ほどの人々がライプツィヒでデモを始めた。東ドイツの抑圧的な体制を批判し、移動や旅行の自由を求めてのことだった。そのデモに参加する人々は次第に増えていった。9月末には1万人を越え、その2週間後には十数万にとなり、その翌週には30万人にも達したらしい。かくして、自由を求める人々の声はライプツィヒにとどまらず、東ドイツ全土に広がっていった。そして11月9日、ベルリンの壁の崩壊に至ったんだ。

ライプツィヒの旧市庁舎

このライプツィヒの街は、元々はスラヴ系の人々の集落だったらしい。しかし、やがて神聖ローマ帝国を代表する商業都市となっていった。そんな商業都市の中心にあるのがマルクト広場。マルクトとは市場のことなんだそうな。今でもここで定期的に市が開かれるらしい。

ライプツィヒの旧市庁舎(ドイツ)

そんなマルクト広場に面して立つのが、上の画像にあるライプツィヒの旧市庁舎。西暦1557年に完成した建物なんだそうな。そんな歴史ある旧市庁舎を西暦1723年にある著名な人物が訪れた。

それがバロック音楽の大家として名高いバッハだった。彼がライプツィヒにあるトーマス教会のカントール(音楽監督)となるという契約書に署名したのが、この旧市庁舎だったそうな。(そのバッハとトーマス教会については、次のページに書くつもり。)

余談ながら、このライプツィヒは中世ザクセン地方の歴史の重要な舞台となったことがある。中世からザクセン地方の領主となっていたヴェッティン家が、西暦1485年にライプツィヒで一族の所領の分割に同意したんだ。弟系アルブレヒト系は後にザクセン王国の支配者となった。他方で兄系エルネスティン系の子孫はイギリスのヴィクトリア女王の夫君となり、今のエリザベス2世もその子孫にあたっている。

ライプツィヒに立つゲーテの像

歴史ある旧市庁舎の脇を歩く。下の画像の右手に見えているのは旧市庁舎、左手の奥には証券取引所がある。そして下の画像の右端近くに見えているのが、ゲーテの像なんだ。

ライプツィヒの旧市庁舎の脇に立つゲーテの像(ドイツ)

ドイツを代表する、いや世界でも名だたる文豪ゲーテは、西暦1765年にライプツィヒにやって来た。西暦1409年に創設されたライプツィヒ大学で法律を学ぶ為にね。但し、その3年後には病の為に故郷のフランクフルトに戻ってしまったんだけどね。

やがて回復したゲーテはフランスのアルザス地方の街ストラスブールの大学で学んだ。その後、彼は故郷のフランクフルトで弁護士となった。ところが、次第に彼は文学にのめりこんでいき、「ファウスト」などの代表作を発表し、世界的な文豪となったわけだ。ヴァイマール公国で政治家としても活躍したんだけどね。

印刷・出版の街だったライプツィヒ

そんなライプツィヒで私が買った土産物が下の画像。横に見えているペンのキャップと比較すれば大きさがわかるけど、ミニチュアの本なんだ。それも本物の革表紙で、しっかりしたケースも付いている。もちろん各ページには文字も印刷されている。この本のタイトルは「ファウスト」。文豪ゲーテの代表作の一つだよね。あいにくドイツ語で印刷されているから、私には読めないんだけど。

ライプツィヒで買ったゲーテのファウストのミニチュア本(ドイツ)

ところで、歴史ある商業都市だったライプツィヒは、印刷・出版においても名高い街だったそうな。西暦1481年に本の印刷が始まったらしい。本の市も開かれていたんだって。その背景としては、神聖ローマ帝国の中では検閲などの出版に関する制約が厳しくなかったということがあったとか。


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