東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「夏のプロヴァンス」 (フランス)

エクサン・プロヴァンス、ラヴェンダー、ヴァレンソール、ムスティエ、セナンク、ゴルド、マルセイユ

01. エクサン・プロヴァンス(エクス)を歩いた

フランス南部のエクサン・プロヴァンス(エクス)

正月から大病を患い、ずっと療養を続けてきた家内に、ようやく旅行の許可が出た。但し、長い旅行はダメ。疲れる旅もダメ。という家内の担当医の指示だった。

というわけで、今回はイギリスの首都ロンドン(この旅の当時、私たちはロンドンに住んでいた)にある日系の旅行会社が企画する2泊3日のツアーに参加することにした。これならば、基本的にツアーのバスの中で眠っていればあちこち観光ができるわけだから、家内も疲れることなく気軽に楽しめるはずだよね。

ロンドンのヒースロー空港から飛行機に乗り、13時過ぎにマルセイユ空港に到着。すぐにツアーのバスに乗り込み、エクサン・プロヴァンスに到着したのは14時頃だったかな。

エクサン・プロヴァンスの4頭のイルカの噴水

まずはエクサン・プロヴァンスの街を歩く。ちなみに、この「エクサン・プロヴァンス」という街の名前なんだけど、短くは「エクス」とも呼ぶらしい。この旅行記でも時折エクスと書くかも。

エクサン・プロヴァンスは古い歴史を持つ街なんだ。紀元前122年に古代ローマ帝国の執政官が街を「アクエ・セクティエ」と名づけた。「セクティエ」というのは、その執政官の名前なんだけど、「アクエ」という言葉は「水」を意味するらしい。その「アクエ」が転じて「エクス」になったんだそうな。

「アクエ」(水)という名を付けられるだけに、エクサン・プロヴァンスは水の豊かな街なんだ。街のあちこちに噴水がある。上の画像は、そんな噴水の一つ「4頭のイルカの噴水」。ちょいと遠くて見難いけれども、4頭のイルカが彫られている。西暦1667年のものなんだそうな。

余談ながら、紀元前122年に古代ローマ帝国が進出していたというのは歴史の長さだよね。ちなみに、今のフランスの首都パリ(当時の名前はルテティア)に古代ローマ帝国が進出したのは紀元前52年のこと。リヨンを築いたのが紀元前43年。イギリスの首都ロンドンを古代ローマ帝国が築いたのは西暦43年のことだった。

エクサン・プロヴァンスのサン・ソヴール大聖堂

そして下の画像は、エクサン・プロヴァンスのサン・ソヴール大聖堂。西暦1285年に建設が始まったロマネスク様式の聖堂なんだそうな。

但し、上の画像にも写っている正面ファサードはゴシック・フランボワイアン様式なんだそうな。上の画像の左側に見える鐘楼は、西暦1323年に建設が始められたものらしい。

この大聖堂の中にも、長い歴史を誇るものを見ることができる。洗礼堂は4世紀末から5世紀初頭のものと推定されているらしい。中庭の回廊の円柱列は12世紀のものと考えられるんだそうな。

エクサン・プロヴァンスの市庁舎

さて、下の画像にある市庁舎前の広場で、しばしの自由時間となる。ツアーの参加者たちは、観光名所を歩き、土産物を買うために一斉に散って行った。私たちは市庁舎前の広場にあるカフェで休憩。家内はアイスクリーム。私は冷えたロゼのワイン。青空の下、木陰のテーブルを吹く風が心地良いぞ。

ついでながら、目の前にあるエクサン・プロヴァンスの市庁舎は16世紀の建物なんだそうな。ということは、この街もフランス王の支配下に入ってからのものだね。

エクサン・プロヴァンスを中心とするプロヴァンス地方は、元々は独立的なプロヴァンス伯領だった。その独立性と権威を確立したのは、西ゴート王国を滅ぼしたイスラム教徒で、この地方を蹂躙していたサラセン人を敗走させたプロヴァンス伯ギョーム1世の功績だった。

そのプロヴァンス伯領がフランス王に帰属したのが、プロヴァンス伯ルネ・ダンジューが亡くなった後の西暦1486年のことだったらしい。そして西暦1501年にはフランス王ルイ12世がこの街に高等法院を置き、三部会の開催地ともなっている。

そんな歴史とは関係ないけれども、ツアーのガイドさんの話では、このプロヴァンスでは10日間も雨が降っていないらしい。気温も30度を越えている。例年に無く寒くて雨ばかりの今年のロンドンとは天と地ほどの違いだね。

エクサン・プロヴァンスの歴史

ついでながら、エクサン・プロヴァンスの歴史を手短に。


次のページは 「02. サント・ヴィクトワール山とセザンヌ」



ヨーロッパ三昧 トップ・ページ

ヨーロッパの歴史風景

このサイト「ヨーロッパ三昧」には、下の姉妹サイトもあります。ヨーロッパに興味のある方は寄り道してくださいね。

ヨーロッパの歴史風景 バナー このサイト「ヨーロッパ三昧」の姉妹サイト「ヨーロッパの歴史風景」。ヨーロッパ各国の歴史に重点を置いてある。



Copyright (c) 2000 - 2013 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。

このサイトの運営は、あちこち三昧株式会社が行います。