東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記「真冬のアイスランド」

08. スカールホルト教会(アイスランド)

スカールホルト教会

11時にはスカールホルト教会(下の画像)に到着。西暦1963年に完成したという白壁の質素な建物だし、見た目には特に変わった点があるとも思えない教会かな。

アイスランドの最初の司教の中心だったスカールホルトの教会

ところが、である。アイスランドのアルシング(国会)において西暦1000年にキリスト教への改宗が定められた後、西暦1056年に最初の司教区が設けられた。その司教区の中心がこのスカールホルトであり、ここには大きな司教座聖堂もあったんだそうな。この質素な教会はその歴史を継ぐものとされている。但し、西暦1797年に司教区の中心はレイキャビクに移されたらしいけどね。

かつてアイスランド最大の街だったスカールホルト

そんな歴史あるスカールホルト教会から眺めた周囲の様子が下の画像なんだ。荒涼たる風景。岩山と荒地しか無いかな。

アイスランドの最初の司教の中心だったスカールホルトの教会からの眺め

でも、11世紀後半の著された文書によれば、当時のスカールホルトはアイスランドで最も大きな街だったそうな。今では見る影も無いんだけどね。

スカールホルト教会の説教壇

そんなスカールホルト教会の中に入る。さほど大きくもない教会なんだけど(アイスランドではこれでも大きい方なんだそうな)、青を基調としたステンド・グラスが印象的だね。

アイスランドの最初の司教の中心だったスカールホルトの教会の説教壇のイコン

そして上の画像は古そうな説教壇を飾るイコン。これらのイコンも古そうに見えるよね。どんな由緒のあるものなのか、あいにく何の表示も無かったんだけどね。

モザイクで描かれたキリスト

そしてこのスカールホルト教会の祭壇には、下の画像にあるモザイクで描かれたキリスト像があった。歴史ある教会の趣きとは対照的なモダンで斬新なキリストだね。

アイスランドの最初の司教の中心だったスカールホルトの教会で見たモザイクで描かれたキリスト

ところで、長い歴史のあるスカールホルト教会なんだけど、宗教改革の際にはその荒波が打ち寄せたらしい。西暦1540年には当時の支配者であるデンマーク王クリスチャン3世がアイスランドに兵士を送り、スカールホルトの司教を逮捕して教会領を没収している。

その10年後にはホウラルの司教とその二人の息子を逮捕し、教会領を没収した上で、司教たちをこのスカールホルトで処刑したそうな。その上で王はアイスランドの人々にルター派の信仰を強制したらしい。(ちなみに、西暦1944年にデンマークからの独立を果たした後も、アイスランドではルター派が圧倒的な多数を占めている。)

イングランドのヘンリー8世もローマ教皇の支配下にあった修道院などを解散させてその財産を没収しているけど、同様の出来事がこのアイスランドでも起こっていたんだね。


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