02. 聖ニコラス教会

ゴールウェイの聖ニコラス教会

この聖ニコラス教会は、西暦1320年に建立されたんだそうな。後にアメリカ大陸を発見するコロンブスも、西暦1477年にこの教会に参拝したらしいよ。というのも、この教会が捧げられている聖ニコラスは、船乗りたちの守護聖人とされているからね。しかも、中世のゴールウェイはスペインやフランスとの貿易で繁栄したらしいから。

そんな歴史ある聖ニコラス教会はローマ・カトリックの教会だと思うでしょ。ところが、それが違うらしい。アイルランド国教会に帰属しているんだそうな。アン・ブーリンと再婚したイングランド王ヘンリー8世がローマと訣別してイングランド国教会を組織したんだけど、アイルランドでも同様のことが行われたわけだ。なんせ当時のアイルランドはイングランド王の統治下にあったからね。

その結果、アイルランドの全ての教会はアイルランド国教会に帰属することになった。西暦1829年にイギリス連合王国（アイルランドを含む）でカトリック教徒解放法が成立しても、西暦1922年にアイルランド自由国が成立しても、いったん国教会に移された教会はカトリックには戻されなかった。故にゴールウェイには新しく大聖堂が建立されたわけだ。

ちなみにアイルランドの首都ダブリンにある聖パトリック大聖堂（その名は5世紀にアイルランドでキリスト教の布教を行った聖パトリックに由来する）にしてもクライスト・チャーチ（名誉革命で名高いジェームズ2世がミサに参加した）にしても、今も国教会に帰属している。アイルランドではローマ・カトリックが多数派を占めているらしいけどね。

聖ニコラス教会にある初代ゴールウェイ市長の墓

ちなみに、ゴールウェイを自治都市として認めたのは、当時のイングランド王リチャード3世だった。シェイクスピアの作品の中では悪役として描かれた王様だね。そしてゴールウェイ初代市長が就任して数ヵ月後には、リチャード3世はヘンリー・テューダー（後のイングランド王ヘンリー7世）と戦って敗れ、亡くなっている。

リンチ家の墓と顔の無い天使像

ところで、上の画像ではちょいと見難いんだけど、花の左右の柱には天使像が彫られている。でも、どちらの天使にも顔が無いんだ。17世紀の半ばのことなんだけど、イギリスの清教徒革命の頃、ゴールウェイの街はステュアート王家の側に立っていた。

その結果、清教徒（ピューリタン）のクロムウェル軍に攻撃され、9ヶ月もの包囲の末に陥落した。街を占領したクロムウェル軍は、この聖ニコラス教会の中にある天使像の顔を破壊したんだそうな。清教徒（ピューリタン）たちは偶像崇拝を激しく嫌ったからね。

聖ニコラス教会に残る唯一の顔のある天使像

その後、イギリスにおいては王政復古によってスチュアート王家のチャールズ2世が国王となった。けれどもジェームズ2世は名誉革命によってロンドンを追われてしまった。王位回復を目指すジェームズ2世は、フランス王ルイ14世の支援を得て、アイルランドに渡ってきた。

ゴールウェイの街はジェームズ2世の側を支援したらしい。ところが、結局のところジェームズ2世は敗れ、王位回復はならなかった。ゴールウェイの街はウィリアム3世の軍に占領され、長く続いた14家の大商人による支配も終わり、街も衰退してしまったんだそうな。

という旅先の歴史の話も大好きなんだけど、負けず劣らず重要なのは食事と飲み物だよね。夕方6時にはホテルに戻り、その中にあるパブに入る。アイルランドで飲むべきは、もちろんギネス・ビールだね。食べたのはフィッシュ・アンド・チップス。ロンドンでもよくパブでフィッシュ・アンド・チップスを食べたけど、アイルランドの方が美味いかもしれない。

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