東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記「イタリア北部の旅」

18. ヴェルナッツァ散策(チンクエ・テッレ)

ピサからラ・スペツィアを経てヴェルナッツァに到着

ピサで迎えた旅の7日目の朝、7時にホテルを出て駅に入る。タイミングよくやって来た普通列車に乗り込む。通勤客ばかりの列車内では、スーツケースを持った異邦人の姿は目立っているみたい。30分ほどでラ・スペツィアの街に到着。駅のカフェでサンドイッチとコーヒーの朝食を済ませる。タクシーでホテルに到着。朝だというのに部屋に入ることが出来た。運が良いね。

部屋に荷物を置き、身軽な格好でホテルを出て、再び駅に向かう。ラ・スペツィアの駅からジェノヴァ行きの普通列車に乗り込み、向かったのはチンクエ・テッレ。チンクエ・テッレとは「五つの村(あるいは街)」という意味らしい。海辺に小さな五つの村・街が並ぶチンクエ・テッレは、イタリアの人々が大好きな夏のリゾートなんだそうな。

やって来たのはヴェルナッツァの街。人口千人ほどの小さな集落なんだけど、チンクエ・テッレでも最も人気のある街なんだそうな。ヴェルナッツァの駅で列車を降り、駅前から続くローマ通りを歩けば、間もなく小さな港に面したマルコーニ広場に到着する。下の画像がそのマルコーニ広場の周辺の様子なんだ。

ヴェルナッツァの街の風景(チンクエテッレ、イタリア)

ヴェルナッツァの街は11世紀の記録に登場しているらしい。ヴェルナッツァの港は、地中海沿岸で略奪を行うイスラム教徒の海賊たちに対する艦隊の基地になっていたそうな。

15世紀に入ると、ヴェルナッツァの街の周囲には城壁が築かれた。当時の地中海はイスラムの海賊たちが跋扈する海だったからね。西暦1544年には海賊バルバロッサがイタリアの街アマルフィを襲っている。西暦1571年にキリスト教徒連合艦隊がレパントの海戦で勝利を得たけど、それで地中海の平和が確保されたわけじゃなかったそうな。

その後、近代に入ると、ヴェルナッツァを含むチンクエ・テッレは衰退していった。他の地域から孤立していたこともその背景にあった。でも、ラ・スペツィアとジェノヴァを結ぶ鉄道が開通し、チンクエ・テッレは陸の孤島から脱したんだそうな。

西暦1997年、チンクエ・テッレが世界遺産とされた。その結果、ヴェルナッツァなどでの産業の中心を観光が占めることになったんだそうな。でも、西暦2011年には豪雨と洪水によって大きな被害が生じたらしいよ。

ヴェルナッツァのマルコーニ広場

ヴェルナッツァの駅から続くローマ通りを歩けばすぐに辿り着く小さな港とマルコーに広場の様子が下の画像なんだ。

ヴェルナッツァの街の教会と広場(チンクエテッレ、イタリア)

上の画像の左側にある塔のある建物はサンタ・マルゲリータ・ディ・アンティオキア教会。画像の右側下部に見えるたくさんのパラソルのあるあたりがマルコーニ広場だね。

マルコーニ広場のカフェ

そんなマルコーニ広場にあるカフェのパラソルの下のテーブル(下の画像)に落ち着く。古い石造りの小さな教会を眺めながら、冷たい飲み物でも飲もうというわけだ。

ヴェルナッツァのマルコーニ広場のカフェ(チンクエテッレ、イタリア)

このカフェで飲んだのが、ヴェルナッツァを中心とするチンクエ・テッレ特産の甘口白ワイン「シャケトラ」だった。甘口なんだけど、冷たく冷やして飲めば、風味も爽やか。夏の午後にはぴったりの飲み物だった。

空は青いし、海からの風は心地良いし、今日はこのヴェルナッツァでのんびりしちゃおう。というわけで、ついでにジェノヴァ風スパゲティも食べちゃった。居心地の良い街だ。チンクエ・テッレで最も人気が高いというのも納得だね。

サンタ・マルゲリータ・ディ・アンティオキア教会

冷たい飲み物とパスタに満足し、カフェのテーブルを離れた。向かったのは目の前にある小さな教会。サンタ・マルゲリータ・ディ・アンティオキア教会。その内部の様子が下の画像なんだ。

ヴェルナッツァのマルコーニ広場の脇の教会の内部(チンクエテッレ、イタリア)

この教会は西暦1318年の古文書に登場するらしい。でも、使われている石材や建築様式などから考えて、12世紀に建てられた教会だろうとする学者もいるらしい。もちろん、何度かの増改築の手も加えられ、鐘塔も建てられているけどね。

今では人影も無い静かな教会。でも、海賊たちが地中海を我が物顔に行き来していた中世においては、戦いに出航する艦隊の乗組員たちがここでお祈りをしたんだろうね。


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