東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「秋のベルギー」

ブリュッセルとアントワープ

1. ブリュッセルのグラン・プラスの夜景

ロンドンからユーロスターでベルギーの首都ブリュッセル

イギリスの首都ロンドンに住んでいた頃の話なんだけど、ある秋の金曜日の朝、いや正確には前日の木曜日の夜、どうにも会社へ行きたくなくなっちゃったんだ。体調はすこぶる良い。でも、どうにも会社へ行きたくない。というわけで、金融街シティにあるオフィスに電話をかけ、「風邪気味なので休みます。」と連絡を入れた。つまりは正統派のズル休みだね。(ズル休みに「正統派」ってあるんか ・・・ 。)

というわけで、さて突如として3連休になった。何もせずに過ごすのはもったいない。というわけで、どこか旅行にでも行きたいね。秋の終わりに2泊3日で気軽に行けて、まだ行ったことがない場所は ・・・ ベルギーだな。ロンドンからユーロ・スターの直行列車で行けるし。

ベルギー略図

というわけで、ロンドンにあるなじみの旅行代理店に電話を入れる。ベルギーの首都ブリュッセルにあるホテルとレストランの手配を頼む。続いて荷物の準備だ。秋も深まり寒いから暖かい服装で行かなきゃ。それにベルギーには良いレストランも多いんだけど、そこで食事を楽しみたいから、ジャケットは不可欠だね。

荷物を持って自宅を出発。地下鉄でロンドン中心部に向かい、12時半にはブリュッセル行きのユーロ・スターの列車に乗り込んだ。そのユーロ・スターの中で昼食を済ませ、ブリュッセル南駅に到着したのがイギリス時間の15時。ベルギー時間に時計を合わせて16時だね。

ブリュッセルの中心地となる広場 グラン・プラスの夜景

ブリュッセル市内にあるホテルに入り、荷物を置いて付近を散歩。いったんホテルの部屋に戻り、19時に再び出かける。ホテルの前から乗り込んだタクシーで到着したのは、ブリュッセルの中心地となる広場 グラン・プラス。ヴィクトル・ユゴーやジャン・コクトーが絶賛した広場。その夜の様子が下の画像なんだ。

ベルギーの首都ブリュッセルのグラン・プラスの夜景

夜景ということもあってとりわけ幻想的なんだけど、中世の面影を残す建物に囲まれたグラン・プラスは、とっても美しい広場だね。といっても、16世紀にはこのグラン・プラスでプロテスタントの人々が処刑されたこともあるし、アウクスブルク同盟戦争の最中の西暦1695年にはフランス王ルイ14世太陽王の軍の砲撃で多くの建物が破壊されたこともあるんだけどね。

ブリュッセルのグラン・プラスにある市庁舎

そんなフランス軍の砲撃による破壊を免れたのが、上の画像の左端、下の画像に見えている市庁舎の建物だった。このグラン・プラスにあるブリュッセルの市庁舎は、西暦1402年から西暦1455年にかけて建てられたんだそうな。

ベルギーの首都ブリュッセルのグラン・プラスの市庁舎の夜景

ちなみに、この市庁舎が建てられている最中の西暦1430年、ブリュッセルを含むブラバント公国は、今のフランス東部ブルゴーニュ地方を中心に勢力を拡大していたブルゴーニュ公フィリップ善良公の支配下に入ったらしい。その時点で未完成だった市庁舎の右側部分の礎石を置いたのは、ブルゴーニュ公の息子のシャルルだったそうな。

やがてその息子が父の跡を継いでブルゴーニュ公シャルル突進公となるんだけど、無謀な戦いで突進して戦死したのが西暦1477年。残された娘のマリーが嫁いだハプスブルク皇帝家がベルギーなどを引き継いだというわけだね。

そんなブルゴーニュ公の娘マリーの孫がハプスブルク家の神聖ローマ帝国皇帝カール5世(スペイン王カルロス1世)になるんだけど、ブラバント公でもあった彼の政庁が置かれたのが市庁舎の向かいにある王の家と呼ばれる建物だったそうな。但し、その王の家はフランス軍の砲撃で破壊された為に、19世紀に再建されたものとなっている。

ベルギーのレース編み

そんな歴史あるグラン・プラスで見かけたのが、ベルギー特産のレース編みの店のショー・ウィンドウ(下の画像)だった。もちろん店は既に閉まっている。でも、必ずベルギーのレース編みをお土産に買って帰ると家内は誓っていたね。

ベルギーの首都ブリュッセルのグラン・プラスにあったレース編みの店のショー・ウィンドウ

さて19時半になった。ディナーの時間だ。このグラン・プラスに面した建物の一角にあるレストランにテーブルを予約してあるんだ。さっきからお腹も空いていることだし、レストランに入って食事にしよう。


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