東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「秋のベルギー」

ブリュッセルとアントワープ

2. ブリュッセルのレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」

ブリュッセルのレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」

ベルギーの首都ブリュッセルの中心にある広場グラン・プラスのすぐ近くにあるレストラン「メゾン・ド・シーニュ」に入った。ホテルの手配も頼んだロンドンの旅行代理店でレストランの予約も取ってもらったんだ。

ベルギーの首都ブリュッセルにあるレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」のカード

上の画像がレストランのカードなんだけど、カードの右下にはワロン語(フランス語)、カードの左下にはフラマン語(オランダ語)で店の住所が記されているね。このレストランがあるベルギーの首都ブリュッセルはその二つの言語の併用地域なんだそうな。

このベルギーという国はちょいと複雑な事情を抱えているんだ。ざっくりと言ってベルギーの北半分はフラマン語(オランダ語)を話す人々が住んでいる。残る南半分にはワロン語(フランス語)を話す人々が住んでいる。そして首都ブリュッセルは北半分のフラマン語地区の中にあるんだけど、両言語の併用地域とされている。そんなベルギーという国の事情が上のカードにも表れているわけだね。

全くの余談なんだけど、西暦2013年にベルギーの首相が中国を訪問した。その際に中国がベルギーにパンダのカップルを貸与することになったんだ。ところが、そのパンダが暮らすのは南部ワロン語(フランス語)地区にある自然公園ということになった。北部フラマン語(オランダ語)地区の人々は猛反発。ワロン語(フランス語)地区出身の首相が政治的に決めたことだと非難しているらしい。平和の使者となるはずのパンダなんだけど、ベルギーにとんだ政争を惹き起こしちゃったんだね。

ついでながら、ハプスブルク家の神聖ローマ帝国皇帝カール5世(スペイン王カルロス1世)はベルギーで生まれ育っている。そんな彼が最も流暢に話すことの出来た言語はフランス語だったらしい。後にスペイン語なども勉強したらしいけどね。更には、彼はフランスの首都パリが大好きだったそうな。フランス王フランソワ1世の宿敵として長く戦い続けたカール5世には皮肉なことだよね。

レストラン「メゾン・デュ・シーニュ」の昔の入り口に白鳥

ちょいとややこしい話に首を突っ込んでしまった。これからディナーを楽しもうという時だし、この話はここまでにしておこう。

ベルギーの首都ブリュッセルにあるレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」の入り口

さて、上の画像がブリュッセルのレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」の昔の入り口なんだけど、その上にある白鳥の像が見えるかな。このレストランの名前は「白鳥の館」という意味なんだそうな。だからカードにも白鳥が描かれていたわけだ。

先にも触れたけど、上の画像に見えるのはレストランの昔の入り口なんだ。レストランの今の入り口は、市庁舎の横の路地にある。ちょいと捜しちゃったけどね。

ミシュラン一つ星のレストランでディナー

このブリュッセルのレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」はミシュラン一つ星(当時)なんだけど、さて何を食べようかな。壁のところどころにある白鳥の浮き彫りを眺めつつ、アペリティフに頼んだイチゴ風味のシャンパンを飲みながら、メニューを睨んで考える。

最初の登場は付き出しのスモークト・サーモン。トロのような脂身たっぷりのサーモンなんだけど、でも味はボケていない。続いての登場はカキのオゼイユ・ソースのシャンパーニュ風。カキの殻の中に身とソース。それをスプーンですくって口に運べば、舌の上でとろけるね。ミシュランにお薦めの料理として載っているだけのことはある。美味い。

ここまでの飲み物はシャンパン。濃厚なサーモンやカキにきりっと冷えたシャンパンがぴったりだった。そして次に登場したのは赤ワイン。フランス東部ブルゴーニュ地方のワイン取引の中心地ボーヌの少し北にあるニュイ・サン・ジョルジュ。そのエチケットが下の画像なんだ。

ベルギーの首都ブリュッセルにあるレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」で飲んだワイン「ニュイ・サン・ジョルジュ」のエチケット

この香りも味も豊かな赤ワインを合わせたのは、二種類のゲーム料理だった。まずはキジのグリル。キジを食べるのは初めてなんだけど、チキンよりも脂身があり、でも鴨肉よりはあっさりかな。続いてのゲーム料理は鹿肉。ちょいとクセはあるけれども、意外に柔らかくて美味いね。添えてあるリンゴのカラメル煮が鹿肉と良いバランスだった。

仕上げのデザートにはフルーツのシャーベット。ライムと赤すぐりとリンゴ。特にリンゴのシャーベットが良かったね。これもミシュランにお薦めとして載っていたものなんだ。最後にエスプレッソ。最初から最後まで納得のいく料理とワインに大満足。

明日の夜もこのレストランでディナー

料理とワインに加えて、スタッフのサービスも良かったね。店の規模に比較してスタッフの人数が多い印象だったけど、彼らがきめ細かなサービスをしてくれたんだ。そしてちょいと頑固なソムリエのおじいさん。明日もこのソムリエのアドバイスでワインを飲みたいな。

ベルギーの首都ブリュッセルにあるレストラン「メゾン・デュ・シーニュ」の店内

というわけで、レストランのマネージャー氏に尋ねてみると、明日の夜のテーブルも用意してくれるって。有り難い。ではまた明日もこのレストランでディナーを楽しませてもらおう。そんなわけで機嫌よく店を出て、タクシーでホテルに戻ったんだ。


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