東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅
英国国鉄のストライキと
徹夜のドライブ
完璧な計画
6 月上旬、ホテルと交通機関の手配を済ませる。完璧な計画だ。
そして 8 月中旬の金曜日の夜、ロンドン市内のユーストン駅で車を列車に載せる。家内と私は寝台車だ。翌朝にはスコットランドのエディンバラに到着。すがすがしい朝の景色を見ながら、インヴァネスまでのんびりとドライヴをする ... はずだった。
しかし、世の中にはストライキというものがある。サッチャーさんの時代ほどではないが、交通機関のストライキはイギリスの夏の恒例の行事なのだ。
今年の 6 月にも、英国の国鉄のストライキが始まった。しかし、まだ 6 月だ。労使の交渉が長引いても、私たちが旅行する 8 月までには、妥結するだろう。
誤算
しかし、ストライキはおさまらない。週に1度のストライキが 7 月に入っても続く。
(英国の国鉄には複数の労働組合がある。そのうちの一つがストライキをしても、全ての列車が止まるわけではない。単に列車のダイヤが乱れるだけのこと。多くの利用客は迷惑顔ながらも、しょうがないと諦めている。)
8 月に入っても労使の交渉は妥結しない。しかし、まだ私は楽観的だった。ストライキが行われるのは、週に一度という頻度だ。私がスコットランドにいく日に行われる確率は高くはない。
そして、いよいよ出発まで数日。次のストライキの日程が発表された。まさしく私たちの出発の日だ。しかし、情報によれば、長距離便は優先的に運行されるとのこと。つまり、私たちが乗るエディンバラ行きは大丈夫のはず !!
いよいよ当日
そして、 8 月 12 日(金曜日)。通常どおりに出社する。エディンバラ行きの列車は夜の 10 時に発車の予定だ。仕事を終え、自宅に戻って準備をした上で、駅に向かえばよい。
列車の手配を依頼した旅行代理店から、オフィスに電話があった。私たちが乗る予定の列車の運休が発表されたとのこと。
さて、どうするか。日程を変更するか。しかし、今から予定を変更してもホテルを確保するのは難しい。8 月下旬にはエディンバラ・フェスティバルが開催されるために、エディンバラ周辺のホテルは満杯なのだ。私たちがホテルを予約した 6 月上旬の時点でさえも、エディンバラ市内の第 1 希望のホテルは満室だった。今から日程を変更をすることは不可能だ。
明日の朝、ロンドンからインヴァネスまで走るか。しかし、それではインヴァネス近辺を見て回る時間が無くなる。インヴァネスでは 1 泊の予定だし、到着が遅れれば観光の時間が無くなる ... 。
結論。今日の夕方には出発して、行けるところまで行こう。疲れたら、どこかのドライヴ・インにでも泊まれば良いさ。自宅に電話を入れ、夕方までに準備を済ませるように家内に頼んでおいた。
ダメ押し
ついていないときは、とことん運に見放される。自宅を出て高速道路に入った途端に大渋滞に巻き込まれた。
夕方の帰宅時間だから、ロンドンを離れる人々の車が多い。これは覚悟の上だ。加えて、夏の金曜日ということで小旅行に出かける人々の車。これは私たちも同じだ。予想外だったのは道路工事。普段ならば片側三車線の高速道路が、ところどころ片側一車線になっている。これでは渋滞にならない方が不思議だ。
イギリスの高速道路の法定速度は、時速 70 マイル( 112 km/h )だ。しかし、渋滞に巻き込まれたおかげで、最初の 100 マイル( 160 km )を通過するのに 4 時間もかかってしまった。平均時速は 40 km / h。残りは約 500 マイル( 800 km ) !!
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