東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

スコットランド周遊

1994 年 8 月

英国国鉄のストライキと
徹夜のドライブ



完璧な計画

6 月上旬、ホテルと交通機関の手配を済ませる。完璧な計画だ。

そして 8 月中旬の金曜日の夜、ロンドン市内のユーストン駅で車を列車に載せる。家内と私は寝台車だ。翌朝にはスコットランドのエディンバラに到着。すがすがしい朝の景色を見ながら、インヴァネスまでのんびりとドライヴをする ... はずだった。

しかし、世の中にはストライキというものがある。サッチャーさんの時代ほどではないが、交通機関のストライキはイギリスの夏の恒例の行事なのだ。

今年の 6 月にも、英国の国鉄のストライキが始まった。しかし、まだ 6 月だ。労使の交渉が長引いても、私たちが旅行する 8 月までには、妥結するだろう。

誤算

しかし、ストライキはおさまらない。週に1度のストライキが 7 月に入っても続く。

(英国の国鉄には複数の労働組合がある。そのうちの一つがストライキをしても、全ての列車が止まるわけではない。単に列車のダイヤが乱れるだけのこと。多くの利用客は迷惑顔ながらも、しょうがないと諦めている。)

8 月に入っても労使の交渉は妥結しない。しかし、まだ私は楽観的だった。ストライキが行われるのは、週に一度という頻度だ。私がスコットランドにいく日に行われる確率は高くはない。

そして、いよいよ出発まで数日。次のストライキの日程が発表された。まさしく私たちの出発の日だ。しかし、情報によれば、長距離便は優先的に運行されるとのこと。つまり、私たちが乗るエディンバラ行きは大丈夫のはず !!

いよいよ当日

そして、 8 月 12 日(金曜日)。通常どおりに出社する。エディンバラ行きの列車は夜の 10 時に発車の予定だ。仕事を終え、自宅に戻って準備をした上で、駅に向かえばよい。

列車の手配を依頼した旅行代理店から、オフィスに電話があった。私たちが乗る予定の列車の運休が発表されたとのこと。

さて、どうするか。日程を変更するか。しかし、今から予定を変更してもホテルを確保するのは難しい。8 月下旬にはエディンバラ・フェスティバルが開催されるために、エディンバラ周辺のホテルは満杯なのだ。私たちがホテルを予約した 6 月上旬の時点でさえも、エディンバラ市内の第 1 希望のホテルは満室だった。今から日程を変更をすることは不可能だ。

明日の朝、ロンドンからインヴァネスまで走るか。しかし、それではインヴァネス近辺を見て回る時間が無くなる。インヴァネスでは 1 泊の予定だし、到着が遅れれば観光の時間が無くなる ... 。

結論。今日の夕方には出発して、行けるところまで行こう。疲れたら、どこかのドライヴ・インにでも泊まれば良いさ。自宅に電話を入れ、夕方までに準備を済ませるように家内に頼んでおいた。

ダメ押し

ついていないときは、とことん運に見放される。自宅を出て高速道路に入った途端に大渋滞に巻き込まれた。

夕方の帰宅時間だから、ロンドンを離れる人々の車が多い。これは覚悟の上だ。加えて、夏の金曜日ということで小旅行に出かける人々の車。これは私たちも同じだ。予想外だったのは道路工事。普段ならば片側三車線の高速道路が、ところどころ片側一車線になっている。これでは渋滞にならない方が不思議だ。

イギリスの高速道路の法定速度は、時速 70 マイル( 112 km/h )だ。しかし、渋滞に巻き込まれたおかげで、最初の 100 マイル( 160 km )を通過するのに 4 時間もかかってしまった。平均時速は 40 km / h。残りは約 500 マイル( 800 km ) !!




深夜

走り続けて夜の 10 時を回る。夏のイギリスの日は長いとはいっても、周囲は闇に覆われる。しかも、イギリスの田舎では、高速道路にさえも照明が無い。さすがに渋滞は解消している。というよりも、こんな夜中に走っている奴は少ない。みんなパブや自宅で飲んでいるに違いない。

深夜。さすがに疲れた。ようやく行程の半分は走ったことになる。道路沿いにホテルを見かけるたびに立ち寄る。しかし、どのホテルも満室。ところどころにある深夜営業のカフェだけが休憩の場所だ。ロンドンの自宅から持参のおにぎりが美味かった。

ロンドンから続く高速道路は、エディンバラ付近で終わる。ここから先は一般道だ。その一般道に入って間もなく道を間違えた。疲労の為に、道路標識を見落としてしまったに違いない。

空が明らんできた。インヴァネスまで、残り 100 マイル( 160 km )。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索



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