東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

ダブリンの風景(アイルランド)

03. オコンネル通り

ダブリンのメイン・ストリート「オコンネル通り」

ダブリン市内を流れるリフィ川の北側の中心部にあり、ダブリンのメイン・ストリートとされているのがオコンネル通りかな。

ダブリンを流れるリフィ川にかかるオコンネル橋、そしてオコンネル通り(アイルランド)

上の画像はリフィ川にかかるオコンネル橋の上、ここから北に向かってオコンネル通りが続いているわけだ。ちなみに、旅行者にとって役立つ存在であるツーリスト・インフォメーションもこの通りにあるから、ダブリンを訪れたならばこの通りを歩くことになるんじゃないかな。

カトリック解放に貢献したダニエル・オコンネルの像

元々この通りはドロエダ通りと呼ばれていた。でも、その通りにダニエル・オコンネルの像(下の画像)が建てられたのが西暦1882年のこと。以後、この通りはオコンネル通りと呼ばれるようになったわけだ。(但し、正式にオコンネル通りと改称されたのは西暦1924年のこと。)

ダブリンのオコンネル通りに立つダニエル・オコンネルの像(アイルランド)

かつてイングランド統治下にあったアイルランドではカトリックは差別されていた。イングランドではヘンリー8世がカトリックから独立した英国国教会を組織して以後、カトリックは冷遇されていたからね。イングランドの名誉革命だって国王ジェームズ2世がカトリックであることに対する反発が一因となっていたんだ。

でも、ご承知の通りにアイルランドの多くの人々はカトリックだった。そんなわけでカトリックに対する差別を撤廃させる運動を主導したのが、アイルランドの政治家ダニエル・オコンネルだった。そして西暦1829年にアイルランドを含むイギリス連合王国でカトリック教徒解放法が成立した。やがて解放者とも称されるダニエル・オコンネルの像がこのオコンネル通りに立てられたわけだ。

ちなみに、このオコンネル通りにはジョン・グレイの像もある。彼は「フリーマンズ・ジャーナル」を発行して、オコンネルの運動を支援したらしい。また、この通りにはアイルランドを代表する作家ジェームズ・ジョイスの像や、アイルランドの独立を主張したチャールズ・スチュワート・パーネルの像もある。

オコンネル通りにある中央郵便局

ダブリンのオコンネル通りには中央郵便局(下の画像)もある。ここで切手を買うことも出来るし、絵葉書を出すことも出来るのはもちろんなんだけど、それ以上にこの建物はアイルランドの歴史を物語る存在でもある。

ダブリンのオコンネル通りにある中央郵便局(アイルランド)

アイルランドがイギリスの支配下にあった西暦1916年、独立を求めるイースター蜂起が起こった。そんな独立派の人々が司令部を置いたのが、この中央郵便局だったそうな。結局、蜂起は失敗に終わったんだけど、この建物の前で共和国宣言が読み上げられたらしい。その後、アイルランド自由国が成立したのは西暦1922年のころだった。

光のモニュメント「ザ・スパイア」

そんなアイルランドとダブリンの歴史を物語るオコンネル通りなんだけど、西暦2003年に完成した光のモニュメント「ザ・スパイア」(日本語では「尖塔」と訳すんだろうか)もある。下の画像の中で銀色に輝いているのが、ザ・スパイアだね。

ダブリンのオコンネル通りにあるザ・スパイア(アイルランド)

その高さは 121メートル。基部の直径は 3メートルあるんだけど、その頂点の直径は 15センチしかないらしい。

今のザ・スパイアがそびえる場所には、かつて37メートルの柱があり、その上からネルソン提督の像が見下ろしていた。イギリスの人々にとってネルソン提督はフランス皇帝ナポレオンの艦隊を打ち破ったトラファルガーの戦いの英雄だよね。でも、アイルランドの人々にとってはイギリス帝国主義の象徴であり、人々の反発の対象だった。

そして西暦1955年、ダブリンの学生たちがネルソン提督の像の立つ柱の中に入り込み、火炎放射器で像を溶かそうとしたらしい。彼らの目論見は失敗に終わった。けれども、誰も処罰はされなかったんだそうな。

それから11年が経った西暦1966年、ネルソン提督の像の立つ柱の上半分が爆破されてしまった。やむなく柱の下半分も爆破によって撤去されたんだそうな。現在、オコンネル通りのランドマークとなっているザ・スパイアはそんな場所に立っているわけだ。

念のために書いておくけど、イギリスの首都ロンドンでは今でもネルソン提督の像がトラファルガー広場を見下ろしているよ。


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