東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

ダブリンの風景(アイルランド)

07. クローク・パークとゲーリック・ゲームズ

クローク・パークはゲーリック・ゲームズの聖地

ダブリンにはアイルランド最大とされるスタジアムがある。それが下の画像にあるクローク・パーク。8万人以上もの観客が入ることが出来るというから、本当に巨大なスタジアムだよね。

ダブリンのクローク・パークはゲーリック・ゲームズの聖地(アイルランド)

このクローク・パークはゲーリック・ゲームズの聖地となっている。つまり、原則としてアイルランド独特の競技の為に使われるんだそうな。具体的には、ハーリングやゲーリック・フットボールがゲーリック・ゲームズとされているらしい。

クローク・パークで行われるハーリング

下の画像は、クローク・パークで行われたハーリングの様子。アイルランド各地でハーリングの試合が行われるけれども、全国大会のチャンピオンを決めるゲームは、このクローク・パークを舞台としているんだそうな。

ダブリンのクローク・パークで行われたハーリングの様子(アイルランド)

ハーリングは15人を1チームとして2チームでプレイするらしい。木の根で作られたスティックと革製のボールを使うというから、イギリスのクリケットのような競技かと思ったんだけど、どうも違うみたい。ラグビーに似たゴールにボールを放り込むと得点になるんだそうな。

ハーリングは古代ケルト文化に起源を持っているとか。アイルランドの神話にも登場するらしいよ。また同様にケルト文化の影響を色濃く残すスコットランドウェールズにも類似する競技があるんだそうな。

ゲーリック・フットボール

もう一つ、クローク・パークでプレイされる代表的なゲーリック・ゲームがゲーリック・フットボール。その様子が下の画像なんだけど、ぱっと見にラグビーのようなアメリカン・フットボールのような・・・。でも、革製のボールは楕円ではなくて真ん丸の球体なんだけどね。

ダブリンのクローク・パークで行われたゲーリック・フットボールの様子(アイルランド)

ゲーリック・フットボールも15人1チームとして2チームで争われる。ラグビーのようにボールを手で持って走ることができるんだけど、それも4歩まで。但し、1回だけボールをグラウンドにバウンドさせれば、更に4歩だけ進むことが出来るんだそうな。見方にパスをする際には、ボールを手で打つかキックするらしい。

ラグビーのようなスクラムも無いし、タックルも許されないらしい。ゴールはラグビーに似ているけど、その下部にはサッカーのようなネットが張られている。そのネットの前ではサッカーのようにキーパーが守っている。ゴールポストの上部をボールが通過するか、下部のネットに入れればポイントになるんだそうな。

アイルランド独立をめぐる血の日曜日事件

そんな伝統的な競技が行われるクローク・パークなんだけど、アイルランドの歴史に残る悲劇「血の日曜日事件」の舞台ともなっている。アイルランド自由国成立前の西暦1920年のことなんだけど、イギリスの治安部隊がここで銃を発砲し、ゲーリック・フットボールを観戦していた人々14人が亡くなったんだそうな。

ダブリンのクローク・パークで行われたゲーリック・フットボールの様子(アイルランド)

当時のアイルランドでは、独立を求める人々とそれを阻止しようとするイギリスとの間の戦いが続いていた。そんなある日の朝、独立派のアイルランド共和国軍がイギリス側の軍人やスパイたちを暗殺した。

その後、イギリスの治安部隊がクローク・パークを包囲し、ゲーリック・フットボールを観戦していた人々を調べようとしていた。ところが何が契機となったのかは不明ながら、突如として治安部隊の兵士たちが発砲を始めた。その結果、スタジアムの中で14人が亡くなったんだそうな。

それから91年が経った西暦2011年のこと。イギリス女王エリザベス2世がダブリンを訪れた。イギリスの君主がアイルランドにやって来たのは100年ぶりのことだった。女王は悲劇の舞台となったクローク・パークを訪れ、その後のダブリン城での晩餐の席で哀悼の意を表したんだそうな。


次のページは 「アビバ・スタジアム」



ヨーロッパ三昧 トップ・ページ

ヨーロッパの歴史風景

このサイト「ヨーロッパ三昧」には、下の姉妹サイトもあります。ヨーロッパに興味のある方は寄り道してくださいね。

ヨーロッパの歴史風景 バナー このサイト「ヨーロッパ三昧」の姉妹サイト「ヨーロッパの歴史風景」。ヨーロッパ各国の歴史に重点を置いてある。



Copyright (c) 2014 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。

このサイトの運営は、あちこち三昧株式会社が行います。