東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「春のスペイン」

トレド、マドリッド、セゴビアを周り、歴史とバルと闘牛を楽しんだ

01. アランフェスの王宮

ロンドンからスペインの旅

今日からイギリス(当時はロンドンに住んでいた)はイースターのおかげで4連休になる。もちろん、私たちは旅行に出かけるんだ。朝早くロンドンの自宅を出て、ヒースロー空港に到着。チェック・インと出国手続きを済ませたら、空港のパブに入り、いつものようにビールを飲みながらイングリッシュ・ブレックファストを食べる ・・・ はずだった。

ところが、今日はイングリッシュ・ブレックファストが無いという。イースターの連休だから手抜きをしているのかな。そんなことでイギリスのパブと言えるのか ・・・ 。

そんなトラブル ・・・( たかがイングリッシュ・ブレックファストのことではあるが、そのイングリッシュ・ブレックファストが大好きな私にとっては大問題だったんだけどね) ・・・ はともかく、スペインのマドリッド空港に到着したのは13時過ぎ。

スペインの略図

入国手続きを済ませ、荷物を受け取り、すぐにバスに乗り込んで出発。今からアランフェスの王宮に寄り道をして、それからスペインの古都トレドに向かう予定になっている。

今回の旅では、古都トレドに続いて、首都マドリッド、更にはセゴビアを周る予定になっているんだ。といっても、今回はロンドンにある旅行会社の企画によるツアーに参加している。食べて寝て、バスの座席で眠っていれば、あちこち色々と見て周ることができるという旅行だ。

今日は4月初旬なんだけど、まさに年度末の大決算の徹夜続きの忙しい時期ということもあって、自分で旅の手配をすることもできない。それでもせっかくの連休なんだから旅には出たい。しかも、イースターの連休でヨーロッパの観光地は混んでいる。というわけで、こんな時には旅行会社のツアーが楽かなと考えたわけだ。

ハプスブルク家のスペイン王フェリペ2世ゆかりのアランフェスの王宮

やがて2時半過ぎにバスを降りる。ここはマドリッドから南へ 50kmほどのところにある街アランフェス。そして下の画像に見えているのが、アランフェスの王宮(宮殿あるいは離宮)なんだ。

スペインの首都マドリッドの南にあるアランフェスの王宮

このアランフェスの王宮の建設が始まったのは西暦1561年のこと。ハプスブルク家のスペイン王フェリペ2世(あの神聖ローマ帝国皇帝カール5世あるいはスペイン王カルロス1世の息子さん)の命によるものだった。

アランフェスの王宮の庭園と作曲家ロドリーゴ

このアランフェスの王宮には、下の画像に見るような庭園もある。様々な木々が育つ林には、鳥たちがさえずり、噴水の水音は乾いたスペインの空気に潤いを与えている。そんな庭園の魅力を織り込んだのが、スペインの作曲家ロドリーゴによる「アランフェス協奏曲」だったそうな。

スペインの首都マドリッドの南にあるアランフェスの王宮の噴水

このロドリーゴのアランフェス協奏曲の第2楽章には、初めてのお子さんを流産で亡くした彼の哀しみも込められているらしい。そんなロドリーゴのアランフェス協奏曲が作られたのは、西暦1939年、フランスの首都パリでのことだった。(その頃、彼はスペイン内戦を避けてフランスで暮らしていたんだ。)

そして西暦1991年、スペインを代表する作曲家ロドリーゴは、王政復古によって即位したスペイン国王フアン・カルロス1世からアランフェス庭園侯爵とされ、貴族となっている。

アランフェスの横を流れるタホ川

作曲家ロドリーゴを侯爵にしたアランフェスの王宮の庭園の脇には、下の画像に見えるタホ川が流れている。

スペインの首都マドリッドの南にあるアランフェスの王宮近くの水辺

イベリア半島の東部に源流のあるタホ川は、スペインの中央部を西に向かい、このアランフェスの脇を流れ、この次に訪れる古都トレドを経て、やがてポルトガルに入り、テージョ川と呼ばれる。やがてリスボンから大西洋に注ぎ、1,000kmを越えるイベリア半島横断の旅を終えるんだそうな。

ちなみに、北アフリカから侵攻したイスラム教徒が西ゴート王国を滅ぼした後、キリスト教徒はイベリア半島北部からレコンキスタ(国土回復運動)を始め、イスラム教徒が支配する土地を奪還していったんだけど、西ゴート王国ゆかりの古都トレドをカスティーリャ王アルフォンソ6世が奪還したのは西暦1085年のことだった。

ところが、その後もアランフェスについてはキリスト教徒とイスラム教徒との間で争奪戦が続き、キリスト教徒が最終的にアランフェスを確保したのは西暦1178年のことだった。


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