東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

冬景色のトルコ
(1997年12月 - 1998年1月)


03. エフェソスの古代ローマ遺跡 (トルコ、小アジア)

聖母マリアの家のある山の麓には、エフェソス(あるいはエフェス)の古代遺跡が残っている。

エフェソス(あるいはエフェス)

  • アテネの王子アンドロクロスが、イオニア系ギリシャ人を指揮して築いたのが古代エフェソスの街。

  • 当初は少し離れた場所にあったんだけど、マラリアの害を逃れるために、二つの山の間に挟まれた現在の場所に移されたらしい。

  • 紀元前7世紀、エフェソスの街はキンメリア人の攻撃を受けて破壊された。

  • 紀元前5世紀、アケメネス朝ペルシアによって占領された。

  • 紀元前4世紀、エフェソスはアレクサンダー大王の帝国に併合された。

  • 西暦1世紀、初代ローマ皇帝アウグスティヌスによってローマ帝国領アジア州の都とされた。

  • 西暦2世紀頃から、港が砂で埋まり始め、エフェソスの衰退が始まった。

  • 西暦3世紀、侵入してきたゴート人によって劫略された。

  • 西暦7-8世紀、イスラム教化されたアラブ人の侵略を受け、人々はエフェソスの街を見捨てた。

    その後、街を挟み込む二つの山から流れ落ちる土砂にエフェソスの街は埋められ、結果的に遺跡として保存された。

ある意味ではエフェソスの古代遺跡は、ナポリ(イタリア)近くのポンペイ遺跡に似ているね。但し、両者の違いは下のような点にあるんだ。

まず、ヴェスヴィオ火山の噴火によって一気に埋められたポンペイと違って、エフェソスは山から流れ落ちる土砂によって、時間をかけて埋められた。その結果、エフェソスの遺跡の方が保存状態が悪化している。

ポンペイが火山の噴火で廃墟となったのが西暦79年。つまり、人々がキリスト教化する前のこと。対して、エフェソスが廃墟となった時点では、人々はキリスト教化していた。そして、キリスト教化した人々は、古代ローマの異教の神々の神殿を破壊してしまったわけだ。故にエフェソスの保存状態はポンペイに劣ることになる。

ケルスス(セルシウス)の図書館
(エフェソスの古代ローマ遺跡)

ケルススの図書館(エフェソスの古代ローマ遺跡、トルコ) そんなエフェソスの古代遺跡の中でも、比較的に保存状態が良いのはケルスス(セルシウス)の図書館と呼ばれる建物(右の画像)。

かつては、蔵書12万冊を誇り、アレクサンドリアやベルガモと並ぶ世界有数の図書館だった。しかし、3世紀のゴート族の侵入の際に破壊されてしまったんだ。

この図書館を建てたのは、2世紀頃のティベリウス・J・アキラという人物。かつてローマ帝国領アジア州総督だった父親のケルスス(セルシウス)を記念するためだった。




アルカディアン通り
(エフェソスの古代ローマ遺跡)

アルカディアン通り エフェソスの古代ローマ遺跡に残る大通り(トルコ) エフェソスの円形劇場からの眺めが右の画像。はるかに続く道は、アルカディアン通りと呼ばれていた。

円形劇場から始まるこのアルカディアン通りは、今は砂に埋もれてしまった古代エフェソスの港まで続いていた。

かつては、街灯まで備えられた華やかな大通りだった。

関連書籍

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まだまだある、エフェソスの古代ローマ遺跡の画像

もっとエフェソスの古代ローマ遺跡の画像を見たい方は、下のページに寄り道してくださいね。
ところで、このエフェソス周辺には、まだまだ多くの古代遺跡が眠っていると言われているんだ。だけど、殆ど発掘はされていない。

というのも、海抜ゼロメートルに近い土地だから、掘ればすぐに水が出てくる。だから発掘がとっても難しいらしいよ。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索


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