東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「初秋のブルゴーニュ」 (フランス)

ディジョン、ジュヴレ・シャンベルタン、ボーヌ、ペルージュ、リヨン

10. シャンベルタンとクロ・ド・ベーズ

シャンベルタン・クロ・ド・ベーズのブドウ畑

ジュヴレ・シャンベルタンの村のはずれからグラン・クリュ街道を歩き、やってきたのがグラン・クリュのワインを生み出すシャンベルタン・クロ・ド・ベーズのブドウ畑(下の画像)。

フランスのブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタンにあるクロ・ド・ベーズのブドウ畑

その北隣にあるマジもグラン・クリュのワインを生み出すブドウ畑だけど、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズはジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュの中でも別格だからね。

シャンベルタン・クロ・ド・ベーズのワイン作りの歴史

ブルゴーニュのコート・ドールの中でも北に位置するジュヴレ・シャンベルタンのブドウ栽培は紀元前1世紀には始まっていたんだそうな。フランス南部プロヴァンス地方古代ローマ帝国がエクサン・プロヴァンス(エクス)の街を築いたのが紀元前122年だから、その数十年後ということかな。

そのフランス(当時はガリアだけど)ではワインの為のブドウ生産が急増し、ローマを中心とするイタリアのワイン生産を保護するために、西暦91年に古代ローマ皇帝がフランスでのブドウの作付けの半減を命じたらしい。フランスの気候がブドウに合っていたのか、人々がよっぽどワイン好きだったのか、あるいは両方か。

それから数百年が経った西暦630年、ブルゴーニュの貴族がベーズ修道院にジュヴレ村の土地を寄進したらしい。ベーズ修道院の修道士たちはその土地にブドウを栽培し、そのブドウから作ったワインがとっても美味しかったんだそうな。それがグラン・クリュのワインを生み出すシャンベルタン・クロ・ド・ベーズのブドウ畑の始まりだった。

フランスのブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタンにあるクロ・ド・ベーズのブドウ畑で収獲されたブドウ

そんなシャンベルタン・クロ・ド・ベーズのブドウ畑から収獲されたばかりのブドウが上の画像なんだ。このブドウがやがて高価な別格グラン・クリュのワインになるんだろうね。

ちなみに、上の画像の中でブドウの向こうに映っているブドウ畑は、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズの畑じゃないんだ。道を隔てると別の銘柄のブドウ畑になってしまうんだ。向こう側のブドウ畑のワインもグラン・クリュだけどね。

ついでに、ベーズ修道院の修道士たちの名誉の為にも書いておきたいんだけど、修道士たちは酒好きだからブドウを栽培してワインを作ったわけじゃないからね。ミサの為にキリストの血とされるワインが必要だったからブドウを栽培したんだ。

といっても、ミサの為のものだろうとキリストの血だろうと、ワインはワイン。フランスの首都パリの北にあるモンマルトルの丘では、女子修道院がブドウを栽培してワインを作っていた。そのワインを売る店が出来て繁華街が出来上がったんだけどね。

クロ・ド・ベーズの隣にあるシャンベルタンのブドウ畑

ベーズ修道院の修道士たちがクロ・ド・ベーズのブドウ畑を作って数百年後の13世紀、その隣の土地を農夫ベルタンが買った。ベーズ修道院のブドウ畑のワインが美味しいということで、農夫ベルタンは自分の畑(シャン・ド・ベルタン)でもブドウを栽培した。そのブドウで作ったワインもやっぱり美味しかったらしい。やがて農夫ベルタンの畑は短くシャンベルタンと呼ばれるようになったんだそうな。

フランスのブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタンにあるクロ・ド・ベーズのブドウ畑は右側、左側はシャンベルタンのブドウ畑

そして西暦1702年、お金持ちのワイン商人だったクロード・ジョベールがクロ・ド・ベーズのブドウ畑とシャンベルタンのブドウ畑を買い取った。(上の画像で中央の石積みの右側はクロ・ド・ベーズ、左側はシャンベルタン。)

そのお金持ちのワイン商人が更にお金をかけて良いワインを作り上げた。その結果、今の別格グラン・クリュのワインであるシャンベルタンとクロ・ド・ベーズの名声が出来上がったんだそうな。

ブルゴーニュのブドウ畑が世界文化遺産に

ところで、西暦2015年7月に目にしたニュースによれば、このブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方のブドウ畑などが世界文化遺産に登録されることが決まったんだそうな。

その対象となるのは、ブルゴーニュ地方の中ではコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの歴史あるブドウ畑や地下のワイン貯蔵庫らしい。このページに画像を載せたシャンベルタンやクロ・ド・ベーズも含まれるよね。歴史あるブドウ畑だし、世界文化遺産に登録されるだけの価値があるよね。

ジュヴレ・シャンベルタンの村にある「ル・ボンビストロ」でランチ

そんなこんなで隣にあるモレ・サン・ドニの村との境界の手前で引き返し、ジュヴレ・シャンベルタンの村に戻ってきた。

その村の中にあるビストロ「ル・ボンビストロ」(下の画像)でランチにしよう。冷えたアリゴテの白ワインを飲みながら、ソーセージとレンズ豆のサラダ。続いてはボジョレーの赤を飲みながらハムとパスタ。デザートにはカシスのシャーベット。そしてコーヒーだ。

フランスのブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタンにあるレストラン「ラ・ロティスリー・ドゥ・シャンベルタン」の姉妹店「ル・ボンビストロ」の店内

ランチの間に店のマダムと仲良しになった。そのマダムが「日本人か」と尋ねる。そうだと答えると、奥から日本人のシェフさんを連れてきた。ここで働きながらフランス料理の勉強をしているんだそうな。こうして次第に日本のフランス料理のレベルが上がっていくんだろうね。楽しみだな。

そんなこんなで楽しく美味しいランチに満足。そろそろ店を出て、ジュヴレ・シャンベルタンの村を歩くことにするか。


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