東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「春のプロヴァンス (フランス)」

11. レ・ボー・ド・プロヴァンスの街と城跡

岩山の上のレ・ボー・ド・プロヴァンスの城跡

10世紀から14世紀にかけて、このあたりのおおくの街や村を支配していたのが、レ・ボーの支配者ボー一族という貴族だった。その貴族の居城が、レ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山の上にあったんだ。下の画像に見える城跡がそれだね。

フランス南部にあるレ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山の上の中世の城跡

レ・ボー・ド・プロヴァンスの領主ボー一族は、プロヴァンス伯と対抗し、他方でフランス王家にも臣従せず、独立の勢力を保っていたらしい。その宮廷には、多くの吟遊詩人 トゥルバドゥールが集まっていたんだそうな。

ところが、西暦1426年にレ・ボーの女領主だったアリスが亡くなり、かつて強勢を誇ったボー一族も断絶してしまった。その結果、レ・ボー・ド・プロヴァンスの領地はプロヴァンス伯に継承されたんだそうな。(とはいえ、プロヴァンス伯ルネ・ダンジューが亡くなると、プロヴァンス伯の領地はフランス王の手に渡ってしまったんだけどね。)

そして西暦1632年、このレ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山の城に入って反乱を起こしたのが、ローマの教皇に従うカトリックと対立するユグノー(ジャン・カルヴァンの教えに従うフランスのプロテスタント)だった。その反乱の鎮圧後、フランス王ルイ13世はレ・ボーの城の破却を命じたらしい。

但し、現在でもレ・ボー侯爵の爵位は続いている。モナコ公国の領主であるモナコ大公家(グリマルディ家)が、西暦1642年にレ・ボー侯爵となり、その後も一族でその爵位を継承している。

レ・ボーの岩山からの眺め

このレ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山は海抜 280メートルなんだそうな。その岩山の上の城跡のちょいと下には中世の面影を残す街がある。

フランス南部にあるレ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山の上の街のサン・ヴァンサン広場のテラスからの眺め

そのレ・ボーの街のサン・ヴァンサン広場のテラスからの眺めが上の画像なんだ。画家マルク・シャガールが愛したゴルドの村岩山の上の鷲の巣村エズからの眺めも素晴らしいけど、いやいやレ・ボーからの眺めも負けてないよね。

レ・ボーの街のサン・ヴァンサン教会

テラスからの眺めが素晴らしいサン・ヴァンサン広場の一角にあるサン・ヴァンサン教会(下の画像)は、10世紀に創建され、以後は何度も増改築が行われてきた教会なんだそうな。

フランス南部にあるレ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山の上の街のサン・ヴァンサン教会

外観はとっても簡素なんだけど、その中にはカラフルで可愛いステンド・グラスもある。上にも書いたけど、レ・ボー侯爵という爵位を継承してきたモナコ大公家が西暦1955年に寄進したステンド・グラスなんだそうな。(西暦1955年といえば、あのハリウッド女優グレース・ケリーがモナコ大公に嫁ぐ前の年だね。)

レ・ボーの街を歩いた

そして下の画像はレ・ボーの街の通りなんだ。中世の面影を残すだけに、道は狭くて曲がりくねっているし、石畳はでこぼこで歩き難い。でも、それが魅力なんだよね。

フランス南部にあるレ・ボー・ド・プロヴァンスの岩山の上の街を歩いた

このページにはとても書ききれないんだけど、レ・ボーの街には他にも色々と観光スポットがあるんだ。サントン人形を展示したサントン博物館、16世紀に建てられたマンヴィル館、17世紀のペニタン・ブラン礼拝堂などなど。歴史好きにはお薦めの街だよ。

そうそう、大事なことを忘れていた。西暦1822年にレ・ボーの近くで発見されたのがボーキサイト。言うまでもなく、レ・ボーという地名からボーキサイトと銘々されたんだけど、アルミニウムの原料だよね。既にこのあたりではボーキサイトは掘り尽くされて残っていないらしいけどね。

ついでながら、このレ・ボー・ド・プロヴァンスはワイン山地でもある。地名を冠したコトー・デ・ボー・ド・プロヴァンスというAOCワインを産出しているんだ。というわけで、レ・ボーの街のワイン屋さんで1本買っておいた。

他方で一人でショッピングをしていた家内が買ってきたのは、オリーヴの木で作られたキッチン用品。このレ・ボーはオリーヴの山地でもあるらしい。というわけで、レ・ボーを歩く機会があれば、お土産にワインとオリーヴ製品をお忘れなく。


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