ビーチー・ヘッドの草原の羊たち昨夜はブライトンの海辺のホテルで一泊。ロンドンを出発して今日で3日目。今日はブライトンからイギリスの南海岸を東へと走り、夕方にはロンドンに戻ることになっている。一昨日から車で走り回り、あちこち見て歩いたことだし、今日の朝食はホテルのルーム・サービスで食べちゃうことにしたよ。ちょいとぜいたくだけどね。さて、ブライトンのホテルをチェックアウトし、車で海辺の道を東へと向かう。20マイル( 32km)ほど走り、到着したのがビーチー・ヘッド。その駐車場で車を降りる。
周囲の草地には、上の画像のように羊たちがいっぱい。あっちでもこっちでも、草を食べ続けているよ。ヒツジ・・・ヒツジ・・・ヒツジ・・・。不眠症の人ならば、ここで羊を数えれば、すぐに眠れるに違いないね。(余談ながら、イギリスではヒツジが人間を食う、と書いたのは「ユートピア」を著したトマス・モアだった。)
ついでながら、中世のイングランドにとっては、自国で生産する羊毛は戦略的資源だった。それを禁輸することで、毛織物産業の盛んなフランドル地方を支配しようとするフランスに圧力をかけ、フランドル地方の反乱を惹き起こしたりもしたらしい。でも、それがイングランドとフランスとの百年戦争の遠因の一つになったりもしたんだけどね。
ホワイト・クリフはイギリス南海岸の白い崖この羊と草原以外に何も無いビーチー・ヘッドで車を降りた目的は、手早く言えば下の画像なんだ。
つまり、イギリス南海岸の海から垂直に切り立った白い崖、つまりはホワイト・クリフ。それを見に来たというわけだ。
フランス王ルイ14世太陽王の頃、アウクスブルク同盟戦争の最中にイギリス艦隊がこのビーチー・ヘッドの沖合いでフランス艦隊に敗北したことがあった。戦況の建て直しのためにはイギリス艦隊の再建が必要だった。でも、資金が足りない。ロンドンのシティにイングランド銀行が設立されたのはその戦費調達の為だったんだそうな。
ホワイト・クリフ(白い崖)には怖くて近づけないそんな春の薄い緑の草原を海に向かって歩く。その緑の切れるところ、その下がホワイト・クリフ(白い崖)だね。
日本の観光地ならば、こんな場所には手摺なり鉄柵なりが設けられているに違いない。が、基本的に自己責任の国であるイギリスでは、そんなものはないんだ。その分、自由ではある。が、怖くてとても近づけない。そんなわけで、端っこに近づこうとしても足が止まってしまうというのが上の画像というわけだね。
ブリテン島はアルビオンと呼ばれていたラテン語で白いことをアルブスと言うんだそうな。ヨーロッパ大陸から見て、ブリテン島(つまりはイギリス)のホワイト・クリフは白い崖だよね。故に昔はブリテン島のことを白から転じてアルビオンと呼んだんだそうな。そういう意味では、このホワイト・クリフは歴史においてイギリス(ブリテン島)を代表する風景なのかもしれないね。
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