東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

エミリア・ロマーニャ と トスカナ (イタリア)
1999 年 6 月


10. サンタポリナーレ・ヌオーヴォ教会(ラヴェンナ)

サンタ・ポッリナーレ・ヌオーヴォ教会

世界遺産「初期キリスト教建築物群」の中で最初に訪れたのは、サンタ・ポッリナーレ・ヌオーヴォ教会。

しかし、外壁は工事中だし、ドシャ振りの雨のおかげでカメラを構えることも出来ない。

祭壇 内部も別にどうってことの無い質素な古い教会(右の画像) ... に見える。

しかし、この教会が建てられたのは西暦 519年。実は長い歴史を誇る教会なんだ。

当時のイタリアを支配していたのは、東ゴート族のテオドリック王。東ゴート族がアリウス派のキリスト教を信仰していたこともあって、この教会もアリウス派の教会として建てられたのだそうだ。

しかし、やがて東ゴート王国は崩壊し、この教会もカトリックの教会として改めて聖別された。

アリウス派

  • キリストの神性を否定するキリスト教の一派。キリストは神の道具であると説く。

  • アレクサンドリアのアリウス(250? - 336年)の教えが起源と言われる。

  • 西暦 325年のニケーア公会議において異端とされたが、ゴート族の間に信者を獲得していった。

5-6 世紀のモザイク画

そして、下にあるのがサンタ・ポッリナーレ・ヌオヴォ教会のお宝となっているモザイク画の画像。画像の中の上の段にあるモザイク画は、テオドリック王時代(5世紀前半)のもの。下にある東方三博士の礼拝を描いたビザンティン様式のモザイク画は、6世紀中頃のもの。

東方三博士の礼拝

モザイク画

言うまでもなく、ビザンティンやラヴェンナに残るモザイク画は、古代ローマ時代のモザイク装飾の伝統を伝えるものである。古代ローマ時代のモザイクは、例えばポンペイの遺跡や、キプロス島に残る古代ローマ遺跡で見ることが出来る。また、イタリア南部ナポリにある国立考古学博物館でもポンペイから出土したモザイク画を見ることが出来るんだ。

古代のモザイク装飾の材料は、主に様々な色の大理石のかけらであった。しかし、キリスト教の教会で見られるモザイク画では、様々な色のガラスが材料となっている。その結果、モザイク画には一層の輝きと鮮やかさが与えられたわけだ。

しかし、色ガラスを用いたモザイク画の制作には、多大な労力とコストが必要だった。その結果、次第にモザイク画の制作は少なくなり、フレスコ画によって代用されることとなった。

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