東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「カンパーニャとローマ・ヴァティカン」(イタリア)

第二部 パエストゥム・サレルノ編

B17. 天井画のキリスト (サレルノのドゥオモ -5.)

サレルノのドゥオモ(大聖堂)の地下に描かれた「受胎告知」

聖マタイのお墓のあるサレルノのドゥオモ(大聖堂)の地下のクリプトを歩いた。ふと見上げた天井には、キリストの生涯が描かれていたんだ。西暦1611年にベリサリオ・コレンツォなる画家によるものなんだそうな。

イタリア南部カンパーニャ地方にあるサレルノのドゥオモ(大聖堂)の地下のクリプトの天井に描かれたキリストの生涯「受胎告知」

そのキリストの生涯の手始めには、上の画像にある「受胎告知」。聖母マリアに受胎を告げているのは、天使ガブリエルなんだそうな。その天使が手に持つ白百合は純潔の象徴、二人の頭上の輝く鳩は精霊を示している。つまり、聖母マリアは処女でありながらも精霊によって身ごもったことを表現しているとか。

ちなみに、「受胎告知」といえば、フィレンツェサン・マルコ美術館にあるフラ・アンジェリコの「受胎告知」が名高いよね。

キリストの誕生と東方三博士の礼拝

やがてイエス・キリストが誕生する。その誕生を祝い、東方から三人の博士が贈り物を持ってやってきたとか。その様子を描いたのが、下の画像にある「東方三博士の礼拝」だね。

イタリア南部カンパーニャ地方にあるサレルノのドゥオモ(大聖堂)の地下のクリプトの天井に描かれたキリストの生涯「東方三博士の礼拝」

ちなみに、イエス・キリストの誕生の際に東方三博士が礼拝しに来たと書いているのは新約聖書の「マタイによる福音書」なんだ。他方で、同じ新約聖書の「ルカによる福音書」では、礼拝しに来たのは野宿していた羊飼いたちとされている。同じ新約聖書に収録されている福音書でも微妙に違うというのが難しいね。

幼子キリストの「エジプトへの脱出」

東方三博士は、キリストを新しいユダヤの王となる人物と考えたらしい。他方で、当時のユダヤの支配者だったヘロデ大王は、王位を奪われることを惧れ、該当する可能性のある赤ん坊たちを殺すことを命じたとか。

イタリア南部カンパーニャ地方にあるサレルノのドゥオモ(大聖堂)の地下のクリプトの天井に描かれたキリストの生涯「エジプトへの脱出」

そんな生命の危険を逃れる為、幼子キリストと家族はイスラエルを脱出してエジプトに逃れたとか。その様子を描いたのが上の画像にある「エジプトへの脱出」だね。でも、「西遊記」の沙悟浄と三蔵法師に見えたりして・・・。(キリスト教徒の皆さん、ごめんなさい。)

ヨルダン川におけるキリストの洗礼

その後、イスラエルに戻って成長したキリストは、ヨルダン川において聖ヨハネから洗礼を受けたんだそうな。その様子を描いたのが、下の画像にある「聖ヨハネによる洗礼」だね。

イタリア南部カンパーニャ地方にあるサレルノのドゥオモ(大聖堂)の地下のクリプトの天井に描かれたキリストの生涯「聖ヨハネによる洗礼」

でも、キリストがゴルゴタの丘で十字架にかけられて処刑されたのは、洗礼から数年後のことだった。

その後のサレルノのドゥオモ(大聖堂)

11世紀にローマ教皇グレゴリウス7世、サレルノ公ロベール・ギスカール、サレルノ大司教アルファノ1世の三人の力で建立されたサレルノのドゥオモ(サレルノ大聖堂)なんだけど、その後の歴史は平穏とは言い難いんだ。

西暦1184年にイタリア南部を支配していたノルマン朝の相続人コスタンツァが、ミラノにおいて神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世と結婚した。そこからイタリア南部に波乱が起こる。

西暦1194年に神聖ローマ皇帝は妻の領地であるイタリア南部に兵を進めた。ところが彼の支配を嫌うサレルノは、城門を閉ざして抵抗したんだ。

そして同年9月17日、皇帝ハインリヒ6世の神聖ローマ帝国軍がサレルノを攻略し、ドゥオモ(あるいは大聖堂)を中心とするサレルノ市内は兵士たちによって劫略されてしまった。荒れ果てたドゥオモが修復されたのは、13世紀のことだった。

それから数百年後、既に老朽化していたドゥオモ(大聖堂)を新たな災難が襲った。それが西暦1688年6月5日にサレルノを襲った大地震。サレルノのドゥオモ(大聖堂)の修復には何年もの歳月がかかったらしい。


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