東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「カンパーニャとローマ・ヴァティカン」(イタリア)

第四部 ローマ・ヴァティカン編

D24. ヴァティカンのスイス衛兵

サン・ピエトロ大聖堂のファサードと聖ペテロ像

イタリア・バロックの巨匠ベルニーニによるサン・ピエトロ広場を歩き、さてそろそろ大聖堂に入るか。というわけで、サン・ピエトロ大聖堂のファサード(下の画像)を眺めながら、進んで行く。

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂の正面ファサードと聖ペテロ像

歩いている観光客を見下ろしているのは、聖ペテロ(サン・ピエトロ)だね。上の画像の中では小さくて見難いんだけど、その聖ペテロが右手に持っているのは金色の鍵。イエス・キリストから引き継いだ精神的な権威の象徴なんだそうな。

同様に上の画像が小さくて見難いと思うけど、大聖堂の正面ファサードの上にいくつかの人物像が並んでいるでしょ。十字架を手に持っているのが、復活したキリストなんだそうな。その左右には使徒たちが並んでいる。

ヴァティカンのスイス衛兵

更に奥へと進む。サン・ピエトロ大聖堂のあちこちに昔ながらの制服に槍を持ったスイス衛兵が立っている。

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂を警護するスイス衛兵

永世中立国スイスといえば「平和」というイメージがあるよね。でも、スイスは昔からヨーロッパ各国に傭兵を送り出していた。例えば、フランス王ルイ14世太陽王スイス傭兵と契約を結び、あちこちで戦争をしていたわけだ。フランス革命の後にルイ16世とマリー・アントワネットが処刑されるまで彼らを守っていたのもスイス傭兵だった。

ハリウッド女優グレース・ケリーが嫁いだことで名高いモナコ公国でも、その大公宮殿の警護は19世紀後半までスイスから来た衛兵が行っていたらしい。今の衛兵はフランス人らしいけどね。(モナコ公国の大公宮殿では、イギリスの首都ロンドンバッキンガム宮殿のような衛兵交代もある。)

そんなスイス衛兵にカメラを向けつつサン・ピエトロ大聖堂に向かって歩いていたら、スタッフの男性に制止された。え、なんかイケナイことしちゃったかな。と思ったら、私たちは出口から入ろうとしていたらしい。入り口は広場から大聖堂を見て右手にあるんだそうな。スイス衛兵を眺めていて、入り口の表示でも見落としちゃったかな。

ヴァティカン宮殿のブロンズの大扉とスイス衛兵

あらためて右手からぐるりと回ってサン・ピエトロ大聖堂に向かう。その途中で見かけたのが、下の画像にあるヴァティカン宮殿のブロンズの大扉とスイス衛兵だった。

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂のブロンズの大扉とスイス衛兵

この17世紀初頭に作られたブロンズの大扉は、ベルニーニによってここに設置されたらしい。その扉の奥にあるのはコンスタンティヌス帝の通路。私たちが入ることは許されていないけどね。

西暦1506年に創設されたスイス衛兵隊

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂のスイス衛兵 サン・ピエトロ大聖堂に入る前に、ヴァティカンのスイス衛兵隊の話を続けちゃおう。このスイス傭兵たちによる衛兵隊を創設したのは、今のサン・ピエトロ大聖堂の建設を命じたローマ教皇ユリウス2世だった。

但し、右の画像にあるスイス衛兵の制服を定めたのは、フィレンツェのメディチ家出身のローマ教皇レオ10世クレメンス7世だろうと言われている。というのも、この制服に使われている青・黄・赤はメディチ家の色なんだそうな。

西暦1527年のことなんだけど、ハプスブルク家の皇帝カール5世神聖ローマ帝国軍がローマを劫略した。その際、教皇クレメンス7世がサンタンジェロ城まで逃げる間、スイス衛兵たちは帝国軍と戦い、ついに全滅しちゃったらしい。

それが5月6日だった。そしてヴァティカンのスイス衛兵隊では、今も5月6日を記念日として式典を行っているんだそうな。毎年 30-40人の新兵がスイスからやって来るんだけど、彼らの入隊式も5月6日に行われるとか。

ちなみに、スイス衛兵の給料は月に20万円にもならないらしい。スイスの平均的な所得と比較すれば、むしろ安いと言えそうだよね。でも、名誉を求めるスイスの若者たちがヴァティカンのスイス衛兵隊に加わるんだそうな。


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