東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「カンパーニャとローマ・ヴァティカン」(イタリア)

第四部 ローマ・ヴァティカン編

D48. セウェルスの凱旋門とパラティーノの丘

フォロ・ロマーノで見たサトゥルヌスの神殿跡

フォロ・ロマーノの中でもカピトリーノの丘に近い一画に、8本の円柱が立っている。それが下の画像にあるサトゥルヌスの神殿の跡なんだ。(一番左の円柱の影に1本隠れているから、7本に見えるけど。)

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見たサトゥルヌス神殿跡

このサトゥルヌスの神殿を建立したのは、古代ローマの王政時代の最後の王となったタルクィニウス・スペルブスだったとも言われている。ということは紀元前6世紀後半のことになるね。

但し、紀元前387年にケルト系ガリア人がローマを占領・略奪した際に破壊され、更には紀元前283年にも火災に遭っている。今のサトゥルヌス神殿はカエサル(シーザー)暗殺から間もない紀元前42年に建て直されたものの遺構らしい。

ちなみに、このサトゥルヌス神殿なんだけど、古代ローマのアエラリウムだった。アエラリウム、つまり宝物庫なんだけど、ここに古代ローマの金銀などの財宝が保管されていたんだ。加えて古代ローマの公文書もここに保管されていた。後に財宝は他に移され、公文書もタブラリウム(公文書館)に移されたんだそうな。

古代ローマ帝国皇帝セウェルスの凱旋門

サトゥルヌスの神殿跡のすぐ近くにあるのが、セウェルスの凱旋門だね。初の北アフリカ出身の古代ローマ帝国皇帝セプティミウス・セウェルスの功績を讃えるために西暦203年に建てられたのが、下の画像にあるセウェルスの凱旋門なんだそうな。

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見た古代ローマ帝国皇帝セウェルスの凱旋門

このセウェルスの凱旋門をモデルとして築かれたのが、フランスの首都パリルーブル美術館テュイルリー庭園の間にあるカルーゼル凱旋門だったそうな。

このセプティミウス・セウェルス帝はイギリス北部スコットランドの支配を固める為に自ら遠征している。でも、西暦211年にイギリスのヨークの街で亡くなったんだ。その後、古代ローマ帝国皇帝の位を継承したのが、カラカラ浴場で有名な息子のカラカラ帝だった。

ちなみに、「君主論」のマキャベリは、この皇帝セウェルスについて、ライオンの獰猛さとキツネの狡猾さを併せ持つ君主として評価していた。

古代ローマの高級住宅地パラティーノの丘

フォロ・ロマーノの聖なる道を東へと歩く。途中で撮影したのが下の画像なんだけど、遺跡の向こうに見えている高台がパラティーノの丘なんだ。古代ローマを建国したと伝えられるロムルスとレムスが住んだのが、このパラティーノの丘だったとか。

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見たパラティーノの丘

紀元前616年、古代ローマがエトルリア人を王に迎えたとされているんだけど、当時のエトルリア人は優れた建設技術を持っていたそうな。その技術を活かし、パラティーノの丘の下の湿地に排水設備を築いた。その成果によってこのあたりの湿地帯の灌漑に成功し、ここにフォロ・ロマーノが発展したらしい。

パレス(宮殿)の語源はパラティーノ

英語でパレスと言えば宮殿だよね。例えば、イギリスの首都ロンドンにあるバッキンガム宮殿とか、フランス王ルイ14世太陽王ゆかりのヴェルサイユ宮殿とかが名高いよね。そのパレスということばの語源は、パラティーノだったそうな。

それも無理はないよね。このパラティーノの丘には、古代ローマ建国の英雄ロムルスとレムスが住んだだけじゃなく、多くの古代ローマの貴族たちの邸宅が並び、古代ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス以後の歴代の皇帝たちの宮殿があったらしいからね。

ちなみに、このパラティーノの丘には古代ローマ帝国の第2代皇帝ティベリウスの宮殿の遺構も残っているらしい。といっても、彼は晩年にはナポリの沖合いにあるカプリ島(青の洞窟で名高い)に移り住んでしまった。そのカプリ島に引き取って育てたのが、後の第3代皇帝カリグラだった。その皇帝カリグラはやがてパラティーノの丘で暗殺されたんだそうな。


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