東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「春のポルトガル」

リスボン、シントラ、オビドス、ナザレなど

06. ケルス宮殿 -2. 内部とアズレージョ

華やかなケルス宮殿の内部

ケルス宮殿の庭園を見て歩き、続いて宮殿の内部に入る。その中の様子が下の画像なんだ。

ポルトガルのヴェルサイユとも称されるケルス宮殿の内部

ポルトガルのヴェルサイユとも称されるケルス宮殿。上の画像の広間は、パリ郊外にあるルイ14世ヴェルサイユ宮殿の鏡の間のような場所かな。もちろん、華やかさにおいても規模にいても、フランスのヴェルサイユ宮殿にはかなわないんだけどね。

ケルス宮殿のアズレージョ

でもね、このポルトガルのケルス宮殿がフランスのヴェルサイユに負けていないのが、あちこちにふんだんに使われているアズレージョ。例えば下の画像のようにね。

ポルトガルのヴェルサイユとも称されるケルス宮殿の内部はアズレージョでいっぱい

ちなみにアズレージョと呼ばれるタイルは、ポルトガルのみならずスペインでも装飾に用いられている。但し、アズレージョはスペインではアスレホと呼ばれるんだそうな。いずれにせよ、今のポルトガル・スペイン、つまりイベリア半島を支配していたイスラム教徒の置き土産の一つだよね。

ケルス宮殿で見たポルトガル女王マリア1世の肖像画

そんなケルス宮殿の中で見たのが、下の画像にあるマリア1世の肖像画だった。西暦1777年にポルトガル女王として即位したマリア1世が、このケルス宮殿を王宮としたんだそうな。

ポルトガルのヴェルサイユとも称されるケルス宮殿で見たポルトガル女王マリア1世の肖像画

ところが、彼女が女王となって13年目の西暦1789年にフランス革命が起こった。その時点ではポルトガルに直接的な影響は及んでいなかった。ところが、やがてフランス皇帝ナポレオンが登場し、西暦1807年にはフランス・スペイン連合軍がポルトガルに侵攻してきた。女王マリア1世とポルトガル王家の人々は、イギリス艦隊に守られてブラジルへと向かった。

その翌年にはスペインもフランスからの独立戦争を始めた。でも、混乱の続くポルトガルに女王マリア1世は戻ることはできなかった。そして西暦1816年、ポルトガル女王マリア1世はブラジルで亡くなったんだ。

ポルトガルの衰退、革命、王政廃止

マリア1世の息子のポルトガル王ジョアン6世がブラジルから帰国したのは西暦1821年のことだった。ところが、その翌年にはブラジルが独立し、ポルトガルは最も重要な植民地を失ってしまった。更には西暦1832年から西暦1834年にかけて国内で内戦が起こった。

そんなこんなでポルトガルでは工業化は進まず、でも農業までも低迷しつつあった。そんな状況を打破すべく、アフリカに植民地を広げようとしたポルトガルだった。でも、結局はイギリスに圧倒され、退勢を覆すことに失敗したんだ。

そして西暦1910年、ポルトガル国内で革命が起こり、人々が蜂起した。ポルトガル王マヌエル2世は亡命し、王政が廃止されたというわけだ。この華麗なケルス宮殿の中がどことなく寒々しく感じられるのは、主を失ってしまったからなのかもしれないね。

ポルトガルのヴェルサイユとも称されるケルス宮殿の内部

ところで、革命後のポルトガルなんだけど、クーデターや軍事政権が続き、西暦1933年からはサラザールによる独裁が始まっている。独裁者サラザールのポルトガルは、スペイン内戦において独裁者フランコ総統を支援していた。

そんな独裁者サラザールが亡くなったのが西暦1970年のこと。そして西暦1974年にカーネーション革命が起こり、ようやく民主化が始まったらしい。他方でかつて大航海時代のポルトガルを支えた植民地の独立が相次ぎ、西暦1999年にはマカオを中国に返還し、西暦2002年に東チモールが独立している。ポルトガルはようやく新たな出発点に立ったばかりと言えるのかもしれないね。

ケルス宮殿からずいぶんと遠くまで話がずれてしまったね。旅の続きに戻そう。バスに乗り込み、いよいよポルトガルの首都リスボンに向かわなきゃね。


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