東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

サンクト・ペテルブルクの旅(ロシア)
1999年8月


11. カザン寺院

ホテルに戻ってから、再び出かける。家内と二人でネフスキー通りを歩く。

クトゥーゾフ将軍

クトゥーゾフ将軍 途中で出会ったのが、クトゥーゾフ将軍。1812年にモスクワ遠征を試みたナポレオンに対し、ロシア軍を率いて戦った人物だ。

後退を続けるロシア軍を追いかけ、ナポレオンはモスクワにまで達した。しかし、ロシアは屈伏しない。

やがて、フランス軍はロシアの冬に疲弊し、西へ撤退する間に兵力の大部分を失ってしまった。

そして、クトウーゾフ将軍はロシア人にとって救国の英雄となった。対するナポレオンは、フランス皇帝位を退く結果となったわけだ。(西暦1815年、再起したナポレオンの百日天下もワーテルローの戦いに敗れて夢と消えた。)

関連書籍

参考になる・・・かもしれない本を探してみました。(本の題名をクリックすれば詳細が表示されます。)




カザン大聖堂

ちなみに、クトウーゾフ将軍の像が立っているのは、1811年に完成したカザン大聖堂(下の画像)の前だ。ちなみに将軍が亡くなったのは1813年。ナポレオンのモスクワ遠征の翌年のことだった。

カザン寺院

カザン大聖堂に足を踏み入れる。外国人観光客の姿はない。しかし、多くの地元の老人達が祈りを捧げている。観光名所ではなく、信仰の場所なのだ。

歴史の皮肉

宗教を嫌う共産主義政権は、1932年にこのカザン大聖堂を博物館にしてしまった。なんと宗教史と無神論の博物館だそうだ。

しかし、そんなことは地元の敬虔な老人たちには関係がない。彼らは、このカザン大聖堂にやって来ては祈りを捧げる。彼らにとっては、ここは博物館ではなく、今でも「大聖堂」なのだから。

「宗教は麻薬だ」として大聖堂を博物館にしてしまった政府は滅び、「大聖堂」は今でも健在だ。歴史の皮肉以外の何物でもない。

イコンを買う

「大聖堂」の一角には売店(??)がある。そのショー・ケースには、たくさんのイコンが並んでいる。その中で私の興味を引いたのが、最後の審判のイコン。珍しい。たいていはイコンといえば、キリストや聖母や聖人達を描いている。だから、最後の審判を描いたイコンに興味を持ったわけだ。

老人達が買い物を終えて、私の順番が来た。カウンターの向こうのおばさんには日本語も英語も通じない。身振り手振りで「最後の審判のイコンが欲しい」と伝える。ヨーロッパのあちこちを旅行してきたおかげで、ジェスチャー・ゲームは得意なのだ。お目当ての品を手に入れることが出来た。

お値段は、なんと50ルーブル !! 日本円に換算すれば、230円 !! 安すぎる。いや、これがロシアの一般の物価だとすると、外国人向けの土産物店の値段が如何に高いかがよくわかる。確かに外国人向けの店には商品が揃っているけどさ。

金の翼のグリフォン

カザン大聖堂の裏手に回り、大通りを離れ、グリボエドフ運河沿いの道を歩く。やがてお目当てのものが見えてきた。

金の翼のグリフォン 1825年にかけられた銀行橋のたもとにある金の翼のグリフォンだ。

このグリフォンに見覚えはありませんか ?? 確か、映画「ホワイト・ナイト」の一場面で出てきたと思うんだけど ... 。

歩き疲れてホテルに戻った時は夜の11時。家内と二人で歩き回っていたのに、怖い思いをすることは無かった。むしろ気軽に歩ける街という印象だ。ロシアの古都サンクト・ペテルブルクは治安の良い街なのかな。それとも、事情を知らない旅行者の無責任な感想だろうか。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索



次のページ

前のページ | 旅の日程表

関連書籍

参考になる・・・かもしれない本を探してみました。(本の題名をクリックすれば詳細が表示されます。)




姉妹サイト 「イタリア三昧+マルタ」



イタリアとマルタに興味のある方は、姉妹サイト「イタリア三昧+マルタ」をチェックしてみてくださいね。ローマフィレンツェナポリピサアマルフィなどイタリア各地、マルタ島とゴゾ島の入門編聖ヨハネ騎士団にゆかりのマルタを尋ねた旅行記を集めました。


姉妹サイト 「ヨーロッパの歴史風景」



ヨーロッパに興味のある方は、この「ヨーロッパ三昧」の姉妹サイトである「ヨーロッパの歴史風景」(先史・古代編中世編近世編近代・現代編)にも行ってみてくださいね。


Copyright (c) 2001 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。