東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「バルセロナ街歩き (スペイン)」

カタルーニャの歴史とガウディ

06. バルセロナの海洋博物館(旧王立造船所)

バルセロナの海洋博物館(旧王立造船所)で見たガレー船の模型

船乗りたちの心を支えた海の聖母マリア教会の次は、アラゴン・カタルーニャ連合王国の海洋進出を支えたバルセロナの王立造船所に向かった。といっても、今ではそこは海洋博物館になっているんだけどね。

スペインのカタルーニャ地方の州都バルセロナの海洋博物館(旧王立造船所)で見たガレー船の実物大復元模型

その海洋博物館の様々な展示の目玉となっているのは、上の画像にあるガレー船の模型だろうね。

レパントの海戦に参加したガレー船の実物大復元模型

上の画像にある華やかな装飾を持つガレー船の船底部分が下の画像なんだけど、その大きさがよくわかるでしょ。この模型は実物大の復元模型なんだそうな。

スペインのカタルーニャ地方の州都バルセロナの海洋博物館(旧王立造船所)で見たガレー船の実物大復元模型

しかも、レパントの海戦の司令官ドン・フアン・デ・アウストリアを乗せたガレー船の実物大復元模型なんだそうな。ちなみに、ドン・フアン・デ・アウストリアは、ハプスブルク家のスペイン王カルロス1世(皇帝カール5世)の庶子にして、フェリペ2世の異母弟にあたる。ついでながら、レパントの海戦には「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテスも参加していたんだけど、彼が乗っていたのは別の船だったそうな。

アラゴン・カタルーニャ連合王国の造船所だった海洋博物館

今では海洋博物館となっている造船所なんだけど、西暦1378年にその建設が始まったらしい。アラゴン・カタルーニャ連合王国の王ペドロ4世(アラゴン王としてはペドロ4世、バルセロナ伯としてはペドロ3世、但しペドロはカタルーニャ語ではペラ)の時代だった。

ついでながら、アラゴン王ハイメ1世の時代にもバルセロナには王立造船所があったらしい。但し、その造船所は今の海洋博物館とは違う場所にあったんだそうな。ちなみに、ハイメ1世はマヨルカ島を征服し、海事関係の法令集を編纂させるなど、バルセロナを中心とする地中海での発展の基礎を築いた人物だった。

バルセロナの造船所は次々と拡張され、西暦1381年には8棟の規模となり、同時に30隻のガレー船の建造が可能だったらしい。14世紀から16世紀にかけてのバルセロナの造船所で建造された船の数は、ハンザ同盟の造船所を上回っていたとも言われている。

ところが、コロンブスによる新大陸アメリカの発見コルテスやピサロなどによる新大陸の征服・開発などもあり、地中海の時代は過去となっていった。長い歴史を持つバルセロナの造船所も、18世紀には砲兵隊の兵舎となってしまったそうな。

スペインのカタルーニャ地方の州都バルセロナの海洋博物館(旧王立造船所)で映像と音響による航海体験

20世紀になり、役割を終えた造船所をバルセロナ市が改修し、海洋博物館にしたんだそうな。(上の画像は映像と音響で航海を体験できる海洋博物館のコーナーの様子。ヘッドフォンからは波風の音が響き、船の模型が揺れて嵐の気分も味わえるというもの。)

バルセロナ湾で行われた潜水艦の実験

レパントの海戦の司令官が乗ったガレー船の実物大復元模型と並んで興味深かったのが、世界最初の本格的な潜水艦「イクティオネ号」の模型(下の画像)かな。

スペインのカタルーニャ地方の州都バルセロナの海洋博物館(旧王立造船所)で見た世界初の本格的な潜水艦の模型

この潜水艦は、西暦1859年にバルセロナ港での潜水実験を行い、深さ20メートルの海中を時速3ノットで進むことに成功したんだそうな。この世界最初の本格的な潜水艦は個人が開発したんだけど、スペイン海軍は全く興味を示さなかったらしい。かつて太陽の沈むことの無い帝国を築いたスペインも、この頃には沈滞に陥っていたみたい。画期的な発明だった潜水艦も結局はスクラップにされちゃったんだそうな。


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