コーヒー 1 杯が 20 円は高い !!
(ブルガリアの人々の家計簿)
買い物もトイレも済ませた私は、カウンターに立ってコーヒーを注文。なんとコーヒー1杯が300レバ(20円)だよ。
「コーヒーが安いねえ !!」とガイドのシルヴィアさんに言ったところ、「でも、地元の人にはとっても高いものなのよ。」と言われてしまった。
シルヴィアさんの話では、ベルリンの壁が崩壊し旧ソ連が消滅して後、経済の混乱しているブルガリアの人々の所得は、信じられないほどに低いんだそうだ。例えば、一般の人々の給料は月額30-50ドル程度、大臣で月給80ドル、年金受給者は月額30ドルというところなんだって。
仮に月給50ドルを1ドル100円で計算すれば、月に5,000円。つまり、20円のコーヒー代は、月給の 0.4%に当たる。日本での金額を想定して仮に月給20万円とすれば、その 0.4%は 800円だ。確かに高い !!
余談ながら、チーズは 1kgで 200円、肉は 1kgで 400円ほどなんだそうな。それじゃ肉もなかなか口に入らないよねえ。
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(ソフィア空港の近くにマックがあったけど、ハンバーガーはナンボなんやろ ... ?? )
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のどかな農作業風景...ではない !!
再び田舎道を走り始めたバスの窓から見えたのは、畑で働く人々。普通ならば、のどかな田園風景(下の画像)に見えるよね。
ところがだ、この風景は農業国ブルガリアの悲惨な状況を象徴しているらしい。シルヴィアさんの話を整理すると、つまりはこういうことだ。
農業国ブルガリアの崩壊した農業
- 共産主義時代のブルガリアでは、農業はソフホーズ(協同組合)の下に集約され、ロシア製の大型機械を使って広大な畑を耕作していた。
- そして、共産主義の崩壊後、ソフホーズは解散されることになり、農地は元の所有者に返還されることになった。
- しかし、数十年も前に集約された土地の返還はスムースに進まず、所有者が確定できずに放置されている土地も多い。
- しかも、ソフホーズで働いていた人が元の所有者であるとは限らず、仮に農地の返還が行われたとしても、農民には農地が渡らず、街に勤めるサラリーマンに農地が渡されるなど、不合理な結果も生じている。
- 個々人に分かれてしまった農民達には、農業機械を買う資金がなく、農業は一気に労働集約型の産業になってしまった。
- 仮に農民が機械を買う資金を用意できたとしても、ガソリンなどの燃料が高騰しており、機械を動かすことが出来ない。
- かつてソフホーズが所有していた農業機械はサビついてしまっている。
- 農地が小さく細分化された結果、機械化には不向きな規模にまで零細化されてしまった。
- 窮乏化の結果として食料となる作物の生産が優先され、結果的には不向きな土地に不向きな作物が植えられている。
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そんな農業の崩壊の結果が、上の画像にあるような一見「のどかな」田園風景なんだって...。
山河あり
やがて、緑の森の向こうに、雪を頂くバルカンの山々(下の画像)が見えてきた。
混乱の極に有る経済を考えれば、「国破れ」たに等しい状況ではあるけど、ここには「山河」が有るよねえ。
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「春のブルガリア」 旅程表
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