東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

春のブルガリア
東欧(1997年5月)



1997年5月25日(日曜日)
06. 遠くバルカンの雪山 (ブルガリア)

ホテルの前でバスに乗り込み、出発したのが朝の8時半。これから片道約 200kmのバスの旅が始まる。

ひなげし(ポピー)の花畑 (ブルガリア)

首都とはいえ人口 120万人のソフィアの市街地はさほど大きくはない。私達のバスはすぐに田舎道を走り始めた。窓の外にはひなげし(ポピー)の花畑(下の画像)。鮮やかな朱が華やかだね。

ひなげし(ポピー)の花畑(ブルガリア)

第一次ブルガリア帝国の最盛期の皇帝シメオン1世

中世ブルガリアの王 シメオン1世 トイレ休憩の為に田舎道の傍にあるドライヴ・インの前で停車。その売店で買ったのがブルガリア産のラキのボトル。お代は11ドル。15ドルを渡して、お釣りはブルガリアのレバで受け取った。

そのラキのボトルに描かれていたのは、第一次ブルガリア帝国の全盛期の皇帝シメオン1世(大帝)の肖像(右の画像)。この人物は、今でもブルガリアのヒーローなんだね。

ちなみに、この第一次ブルガリア帝国の全盛期の皇帝シメオン1世が亡くなった西暦927年には、バルカン山中にリラの僧院(修道院)の建設が始まっている。(リラの僧院については、後で詳しくご紹介するけどね。)

関連書籍

参考になる・・・かもしれない本を探してみました。(本の題名をクリックすれば詳細が表示されます。)




コーヒー 1 杯が 20 円は高い !!
(ブルガリアの人々の家計簿)

買い物もトイレも済ませた私は、カウンターに立ってコーヒーを注文。なんとコーヒー1杯が300レバ(20円)だよ。

「コーヒーが安いねえ !!」とガイドのシルヴィアさんに言ったところ、「でも、地元の人にはとっても高いものなのよ。」と言われてしまった。

シルヴィアさんの話では、ベルリンの壁が崩壊旧ソ連が消滅して後、経済の混乱しているブルガリアの人々の所得は、信じられないほどに低いんだそうだ。例えば、一般の人々の給料は月額30-50ドル程度、大臣で月給80ドル、年金受給者は月額30ドルというところなんだって。

仮に月給50ドルを1ドル100円で計算すれば、月に5,000円。つまり、20円のコーヒー代は、月給の 0.4%に当たる。日本での金額を想定して仮に月給20万円とすれば、その 0.4%は 800円だ。確かに高い !!

余談ながら、チーズは 1kgで 200円、肉は 1kgで 400円ほどなんだそうな。それじゃ肉もなかなか口に入らないよねえ。

(ソフィア空港の近くにマックがあったけど、ハンバーガーはナンボなんやろ ... ?? )

のどかな農作業風景...ではない !!

再び田舎道を走り始めたバスの窓から見えたのは、畑で働く人々。普通ならば、のどかな田園風景(下の画像)に見えるよね。

農作業をする人々(ブルガリア)

ところがだ、この風景は農業国ブルガリアの悲惨な状況を象徴しているらしい。シルヴィアさんの話を整理すると、つまりはこういうことだ。

農業国ブルガリアの崩壊した農業

  • 共産主義時代のブルガリアでは、農業はソフホーズ(協同組合)の下に集約され、ロシア製の大型機械を使って広大な畑を耕作していた。

  • そして、共産主義の崩壊後、ソフホーズは解散されることになり、農地は元の所有者に返還されることになった。

  • しかし、数十年も前に集約された土地の返還はスムースに進まず、所有者が確定できずに放置されている土地も多い。

  • しかも、ソフホーズで働いていた人が元の所有者であるとは限らず、仮に農地の返還が行われたとしても、農民には農地が渡らず、街に勤めるサラリーマンに農地が渡されるなど、不合理な結果も生じている。

  • 個々人に分かれてしまった農民達には、農業機械を買う資金がなく、農業は一気に労働集約型の産業になってしまった。

  • 仮に農民が機械を買う資金を用意できたとしても、ガソリンなどの燃料が高騰しており、機械を動かすことが出来ない。

  • かつてソフホーズが所有していた農業機械はサビついてしまっている。

  • 農地が小さく細分化された結果、機械化には不向きな規模にまで零細化されてしまった。

  • 窮乏化の結果として食料となる作物の生産が優先され、結果的には不向きな土地に不向きな作物が植えられている。

そんな農業の崩壊の結果が、上の画像にあるような一見「のどかな」田園風景なんだって...。

山河あり

やがて、緑の森の向こうに、雪を頂くバルカンの山々(下の画像)が見えてきた。

遠くバルカンの雪山(ブルガリア)

混乱の極に有る経済を考えれば、「国破れ」たに等しい状況ではあるけど、ここには「山河」が有るよねえ。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索


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