東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「初秋のブルゴーニュ」 (フランス)

ディジョン、ジュヴレ・シャンベルタン、ボーヌ、ペルージュ、リヨン

20. リヨンに残る古代ローマ帝国時代の劇場

フランス第2の都市リヨンに残る古代ローマ帝国時代の劇場跡

中世の街ペルージュのホテルからタクシーに乗り、フランス第2の都市リヨンに到着したのが13時。今回の旅の最後の舞台がこのリヨンなんだ。それはともかく、まずはお昼を食べよう。というわけで、大都会リヨンで食べたのは中華料理。久々のアジアの味にほっと一息だね。

でも、まだ旅は終わっちゃいない。早速このリヨンを見て歩かなきゃね。というわけで、リヨンの街からケーブルカーでフルヴィエールの丘に登る。駅を出れば、目の前にフルヴィエール教会があるんだけど、その教会は後で見ることにしよう。

フランス第2の都市リヨンに残る古代ローマ帝国時代の劇場跡

というわけで、まずやって来たのは上の画像にある劇場跡。古代ローマ帝国時代のものなんだそうな。

古代ローマ帝国皇帝アウグスティヌスの時代の遺跡

この劇場が建設されたのは紀元前15年のこと。古代ローマ帝国の皇帝アウグスティヌスの時代だね。彼の時代には古代ローマ帝国は領土を広く拡大し、あちこちで大土木工事を行ったみたい。例えば今のフランス南部にポン・デュ・ガール水道橋を建設し、今のドイツのバイエルン地方南部まで征服している。

フランス第2の都市リヨンに残る古代ローマ帝国時代の劇場跡

話を戻して、リヨンに残る古代ローマ帝国時代の劇場なんだけど、建設当初の大きさは直径 90メートルだった。その後、2世紀初めに増築され、直径 108メートルにまで拡大された。その結果、1万人もの観客を収容することの出来る劇場になったんだそうな。

古代ローマ帝国はその領土のあちこちに多くの劇場を建設したけれども、このリヨンの劇場はかなりの大きさのものらしい。イタリアのローマにあるフォロ・ロマーノのものほどではないにせよ。

リヨンに残る古代ローマ帝国時代の遺跡やガロ・ローマ博物館

リヨンの古代ローマ帝国時代の劇場跡の周辺には、神殿や小劇場、そして当時の街の遺跡も残っている。

フランス第2の都市リヨンに残る古代ローマ帝国時代の劇場跡

また、遺跡の傍らにあるガロ・ローマ博物館。実を言えば全く期待していなかった。遺跡の脇にあるよくある博物館だろうと思ってね。ところがリヨンのガロ・ローマ博物館が意外に面白かったんだ。

展示物自体が興味深い。展示が年代順になっていてわかりやすい。しかも、フランスでは珍しいことに、英語での説明がとっても充実していた。これって大事なことだよね。(ひるがえって考えるに、日本の博物館ってどうなんだろうね。)

古代のリヨン、属州ガリア・ルグドゥネンシスの中心 ルグドゥヌム

紀元前600年頃、今のフランス南部プロヴァンス地方マルセイユに古代ギリシャ人が定住した。彼らはマルセイユを拠点にローヌ川を遡り、内陸部とも交易していた。当然ながら、ローヌ川の水運の重要な場所である今のリヨンあたりのケルト人たちとも交易を行っただろうね。

そして紀元前122年、古代ローマ帝国がエクサン・プロヴァンス(エクス)の街を建設した。そこから次第に勢力を拡大した古代ローマ帝国は、やがてローヌ川のほとりにある今のフルヴィエールの丘に街を建設した。それが紀元前43年のこと。そして紀元前15年に上の劇場が建設された。

そうして建設された街ルグドゥヌムが、今のリヨンとなったわけだ。そのルグドゥヌムを中心として、古代ローマ帝国の属州ガリア・ルグドゥネンシスが経営された。でも古代ローマ帝国は更に拡大していった。このルグドゥヌムで生まれた皇帝クラウディスの時代にロンディニウム(今のロンドン)が建設されているんだ。

でも、成長した古代ローマ帝国も次第に衰えていく。西暦410年には古代ローマ帝国はブリタニア(イギリス)から撤退し、西暦476年には古代ローマ帝国は滅亡してしまった。その後、このリヨンを中心として古代末期から中世初期にかけて栄えたのが、ゴンドバルド王などによって支配されたブルグント王国だった。

そのブルグント王国は、クローヴィスのフランク王国と協力して西ゴート王国を撃ち破ったりもしたんだけど、最後にはフランク王国に滅ぼされてしまった。でも、その「ブルグント」の名前は「ブルゴーニュ」として残っている。そんなわけで、このリヨンはブルゴーニュの範囲には入らないのが一般的なんだけど、ブルグント王国との関係ではブルゴーニュに深い関係はあったんだね。だから今回の旅でリヨンに立ち寄ったわけじゃないけど。


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