東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「アルザスとストラスブール (フランス)」

04. コルマールの古い街並みを歩く -2. (アルザス地方)

コルマールのサン・マルタン教会

そしてコルマールが神聖ローマ帝国の帝国自由都市となって数年後の西暦1234年に着工され、西暦1365年に完成したサン・マルタン教会の入り口の彫刻が下の画像なんだ。

フランス東部アルザス地方のコルマールにあるサン・マルタン教会の入り口の上の彫刻

このサン・マルタン教会は今も教会として使われているんだけど、メーデーの祝日でも中に入ることが出来たよ。ウンターリンデン美術館も、今では図書館となっているドミニカン教会も、修道院や教会のままであれば祝日でも入ることが出来たんだろうね。

コルマールのプフィステル館

そして下の画像はコルマールにあるプフィステル館。帽子屋さんが建てた家なんだそうな。建てられたのが西暦1537年というから、プロテスタントの指導者ジャン・カルヴァンがストラスブールにやって来る前の年の建物というわけだね。

フランス東部アルザス地方のコルマールにあるプフィステル館

資料によれば、このコルマールのプフィステル館は宮崎駿監督の映画「ハウルの動く城」のモデルになったとか ・・・ 。私はその映画を観ていないんだけどね。

コルマールの旧税関

下の画像の建物は、コルマールの旧税関だったそうな。中央正面の建物は西暦1480年に建てられたんだそうな。

フランス東部アルザス地方のコルマールにある旧税関

コルマールはアルザス地方のワイン取引の中心だったから、輸出されるアルザス・ワインの関税などがここで徴収されたりしたのかもしれないね。

コルマールの旧市街の古い家々

そんなこんなで15世紀から16世紀にかけて建てられた家々がいくつも残るコルマールなんだけど、下の画像がそのコルマールの旧市街の様子なんだ。まさに中世の雰囲気そのままって感じだよね。(中世に行ったことはないけど ・・・。)

フランス東部アルザス地方のコルマールに残る旧市街の古い家々

しかし、このコルマールにこんな古い家々がよく残っていたもんだと感心するんだ。というのも、コルマールにしてもアルザス地方にしても、何度も何度も戦火に巻き込まれ、むしろ平和とは縁遠い土地だったからね。

西暦1673年にフランス王ルイ14世太陽王によって占領され、西暦1679年にナイメーヘン条約によってフランスに帰属することとなったコルマール。でも、フランス皇帝ナポレオン3世がプロシアの挑発に乗って起こした普仏戦争にフランスが敗れ、西暦1871年にアルザス地方はドイツ帝国に割譲されている。(その時のアルザスを描いたのが、ラングドック地方の街ニームに生まれたアルフォンス・ドーデの短編「最後の授業」。)

でも、第一次世界大戦でドイツ帝国が敗れ、アルザス地方はフランスの領土となった。一部の急進派には独立のアルザス共和国を目指す動きもあったみたいだけどね。ところが、第二次世界大戦が始まるとドイツがアルザス地方を占領している。そして連合国軍によってパリが解放された翌年の西暦1945年初冬にはコルマールを中心とする土地の激しい争奪戦(名高い「コルマールの戦い」)がドイツ軍と連合国軍との間であり、その戦いに敗れたドイツの抵抗が急速に崩壊していった。

そんな歴史の荒波が東から西へ、西から東へと押し寄せていたアルザス地方だというのに、このコルマールの旧市街にこんな古い家々が残っている。奇跡に近いのかもしれないね。

コルマールの財宝

西暦1863年、コルマールの古い家の壁の中から、金銀・宝石・指輪、銀貨、銀の食器など(「コルマールの財宝」)が発見された。これが中世のユダヤ人虐殺に関係するものだった。

西暦1347年にフランス南部プロヴァンス地方マルセイユに上陸したペスト(黒死病)はやがて各地に伝染していった。恐怖に怯えた人々の中には、ユダヤ人が毒を水に入れたという騒ぎも起きた。そしてユダヤ人の排斥・虐殺に至ったらしい。

他方で不安に陥ったユダヤ人は、家の壁の中に財宝を隠した。その財宝はそのまま忘れ去られ、やがて19世紀に発見されたというわけだ。そのコルマールの財宝を隠したユダヤ人の家族がどうなったのかは資料には書かれていないんだけど ・・・ 。


次のページは 「05. コルマールのプチ・ヴェニス」



ヨーロッパ三昧 トップ・ページ

ヨーロッパの歴史風景

このサイト「ヨーロッパ三昧」には、下の姉妹サイトもあります。ヨーロッパに興味のある方は寄り道してくださいね。

ヨーロッパの歴史風景 バナー このサイト「ヨーロッパ三昧」の姉妹サイト「ヨーロッパの歴史風景」。ヨーロッパ各国の歴史に重点を置いてある。



Copyright (c) 2003 - 2012 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。

このサイトの運営は、あちこち三昧株式会社が行います。