東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「アルザスとストラスブール (フランス)」

12. ナンシー派美術館 (ロレーヌ地方)

ナンシー近くの菜の花畑 (ロレーヌ地方)

ストラスブールのプチ・フランスからクヴェール橋、そしてストラスブール駅までやってきた。今度こそロレーヌ地方の中心都市ナンシーに向かう列車に乗り込む。12時20分発車。これからちょいとだけアルザス地方を出て、隣のロレーヌ地方に入ろうといわけだ。

ストライキのおかげでキャンセルになった列車が多いからか、かなりの乗客で混雑している。でも、幸いに家内も私も座席に腰を下ろすことができた。ストラスブール駅で買ってきたサンドイッチとカフェ・オ・レでランチを済ませる。

フランス東部ロレーヌ地方の風景を列車の車窓から眺めた

13時を回り、ロレーヌ地方の中心都市ナンシーに近づく。車窓からは上の画像のような一面の菜の花畑が広がっている。かつてブルゴーニュ地方を支配したブルゴーニュ公シャルル突進公が戦死したのはこの近くなんだろうか。亡くなったシャルル突進公が発見されたのは凍りついた沼だったらしいけど。

ナンシー派美術館に到着

ナンシー駅で列車を降りたのは13時半過ぎ。まずは帰りの列車の時刻をチェックする。15時半だそうな。さっきストラスブール駅でチェックしたところではナンシー駅発が16時だったんだけど ・・・ 。ストライキのせいで駅のスタッフも混乱しているみたい。

いずれにせよ15時過ぎにはナンシー駅に戻るしかなさそうだね。今夜もストラスブール市内のレストランにディナーの予約をしてあるから、夕方にはストラスブールに戻りたいからね。

でも、フランス国鉄のストライキのおかげでナンシーの街を歩く時間は無くなっちゃったね。予定では今朝の列車でナンシーまで来るはずだった。その列車がストライキでキャンセルされ、ナンシーまで来たのは午後になっちゃったし ・・・ 。

フランス東部ロレーヌ地方の中心ナンシーにあるナンシー派美術館のドア

ともかく、ナンシー駅からタクシーに乗り、到着したのはナンシー派美術館。上の画像はそのナンシー派美術館の入り口なんだけど、アール・ヌーヴォーの雰囲気たっぷりでしょ。このナンシー派美術館はアール・ヌーヴォーのアーティストの作品を集めた美術館なんだ。

エミール・ガレとナンシー派美術館

フランス国鉄のストライキのせいで列車のダイヤが混乱しているにもかかわらず、わざわざナンシーまでやって来たのは、このナンシー派美術館でエミール・ガレの作品を見たかったからなんだ。なんといってもナンシーは彼が生まれ、育ち、亡くなった街だからね。

フランス東部ロレーヌ地方の中心ナンシーにあるナンシー派美術館の建物と庭

そしてこのナンシー派美術館(上の画像)がオープンしたのは西暦1964年のこと。この建物は、エミール・ガレのサポーターだった人物のお屋敷を改装したものなんだそうな。

ちなみに、エミール・ガレの作品はフランスの首都パリオルセー美術館などでも見ることができる。西暦1846年に生まれて1904年に亡くなった彼は、モネゴッホセザンヌなどと同じ時代に生きていたんだね。

ロレーヌ地方とフランス・ドイツ

アルザス地方のすぐ西隣にあるロレーヌ地方は、アルザス地方と似た運命を辿っている。中世には神聖ローマ帝国の一部だった。15世紀にはプロヴァンス伯ルネ・ダンジューがロレーヌ公位継承を主張し、ブルゴーニュ公フィリップ善良公と戦ったこともあるらしい。そして17世紀にはアルザス地方と同様にフランスによって占領されていた。

ところが西暦1697年のライスワイク条約は、アルザス地方はフランスに帰属させ、他方でロレーヌ地方は神聖ローマ帝国の一部とした。そしてハプスブルクの女帝マリア・テレジアと結婚し、神聖ローマ帝国の皇帝となったフランツ1世は、このロレーヌ地方の出身だった。

でも、西暦1766年にはロレーヌ地方はフランスに併合されている。その後は西暦1871年の普仏戦争におけるフランスの敗北によってロレーヌ地方の一部はアルザス地方とともにドイツに併合され(ナンシーはフランス領として維持された)、第一次世界大戦におけるドイツの敗北によってフランスに戻り、第二次世界大戦の時期にはドイツに占領され、終戦後にはフランスに戻ったわけだ。

ちなみに、ナンシーで生まれて育ったエミール・ガレは、普仏戦争の際にはフランス軍に志願してドイツ軍と戦ったんだそうな。アール・ヌーヴォーの芸術家も、歴史の波と無縁ではいられなかったんだね。


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