東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「アルザスとストラスブール (フランス)」

13. ストラスブールのレストラン 「ビュールイーゼル」

ストラスブールのレストラン「ビュールイーゼル」に到着

結局のところ、ロレーヌ地方の中心都市ナンシーの駅から列車で出発したのは16時過ぎだったかな。ストラスブール駅に到着した時には既に17時半を回っていた。すぐに駅前からタクシーに乗り込み、ホテルに戻る。

ホテルの部屋に戻ったら、まずは風呂に入って汗を流す。きれいにヒゲを剃る。ディナー・ジャケットを着て、日本の漢方胃腸薬をのんで準備完了だ。(ロンドンに住んでいた頃、日本の知人に頼んでは漢方胃腸薬を送ってもらっていた。イギリスの胃腸薬はどうにも強すぎてね。)

ホテルからタクシーに乗り込み、ストラスブールの街外れにあるオランジュリー公園で降りる。この公園の中に今夜のレストラン「ビュールイーゼル」(下の画像)がある。ちなみに、この当時の「ビュールイーゼル」はミシュラン三ツ星だった。代替わりして星がちょいと減っちゃったらしいけどね。

フランス東部アルザス地方のストラスブールにあるオランジュリー公園の一角とレストラン「ビュールイーゼル」

ストラスブールを代表するレストラン「ビュールイーゼル」の中に入ると中庭だ。黒服のスタッフが出迎えてくれる。彼が尋ねるには、すぐに建物に入るか、あるいは中庭のテーブルでアペリティフでも飲むか。そろそろ20時なんだけど、まだ十分に明るさも残っている。では、中庭のテーブルでアペリティフを飲みながら料理を考えることにしよう。

レストラン「ビュールイーゼル」で料理をワインを選ぶ

中庭で飲んだアペリティフはブラック・ベリーのリキュールをシャンパンで割ったもの。店のソムリエ氏のお薦めのアペリティフだったんだ。そのソムリエ氏のアドバイスに従って選んだワインは、もちろんアルザスの白ワイン。下の画像がそのワインのエチケットだ。

フランス東部アルザス地方のストラスブールにあるレストラン「ビュールイーゼル」で飲んだアルザスの白ワインのエチケット

アルザスの白ワインの中では代表的なピノ・グリ(トカイ・ダルザス)だね。但し、「ヴィエイユ・ヴィーニュ、キュヴェ・デュ・サントネール」(読み方が正しいかどうかは不安だけど・・・)と書いてあるでしょ。「ヴィエイユ・ヴィーニュ」というのは「古いブドウの木」という意味らしい。そして「サントネール」というのは「100年」ということなんだそうな。つまり、「樹齢100年のブドウの木」から収獲されたブドウで作られたワインだね。

他方で、アペリティフを飲み、とっても美味しいアミューズ・グールをつまみながら、料理の注文も完了。やがてテーブルの準備が出来たというギャルソンの誘いを受け、レストランの建物の中に移動する。

案内されたテーブルは、レストラン「ビュールイーゼル」の2階のダイニング・ルーム。窓も広く、天井にはガラスが多用されていて、空が夕闇に沈む様子を眺めながら食事を楽しむことが出来るという趣向だね。

私たちが席に落ち着いたのを見計らって、さっき注文したワインが登場した。香りはやや弱いかな。ほのかに甘味もあり、フルーティなワイン。中辛口の白ワイン。これが料理とどう調和するのか、楽しみだ。

いよいよレストラン「ビュールイーゼル」の料理が登場

まずは前菜はフォアグラ。アルザスのフォアグラはフランスでも評価が高いんだ。そのフォアグラの周囲にはブイヨンのゼリー。ブリオッシュとは違う堅く焼いたパンやクルミ、ブドウも添えられていた。極めてシンプルな料理。でも、どれもとっても良い素材を使っているし、組み合わせの妙もある。最高の前菜かも。

フランス東部アルザス地方のストラスブールにあるレストラン「ビュールイーゼル」で食べたブレス・チキン

やがてメインが登場してきた。深い青の大きな陶器にパイで封がされている。私たちのテーブルの横で、ギャルソンが陶器のパイの蓋をはずしてくれるんだ。

ブレス・チキンのキャセロール

やがて陶器の中から姿を見せたのは、よく太ったブレス・チキンが丸々一羽。今夜のメインはブレス・チキンを野菜と一緒に陶器に入れてオーヴンで焼いたキャセロールなんだ。ブレス地方はフランスでも最高級とされるチキンの産地なんだけど、それを丸々一羽使ったとってもぜいたくな料理というわけだ。

フランス東部アルザス地方のストラスブールにあるレストラン「ビュールイーゼル」で食べたブレス・チキン

といっても、そのままのチキンを食べるのはワイルドに過ぎる。チーフ・ギャルソンがていねいにチキンを切り分け、野菜と一緒に皿に盛り付けてくれる。このメインも美味かったこと。とってもあっさりとした控え目な味付けが、しっかりした味のあるブレス・チキンを引き立ててくれる。そのチキンのエキスを吸った野菜がまた美味い。

そんな素材を活かした料理とワインもぴったりだった。ソムリエ氏も良いワインを勧めてくれたね。でも、問題はメインの途中でワインが無くなっちゃったこと。美味しかったから当然ではある。というわけで、途中で2本目のワインをオーダーしてしまった。

最後にデザート。家内はビールのアイスクリームと洋ナシのワイン煮をカラメルでコーティングしたもの。私はオレンジとイチゴのスフレのタルト。ここは二人の意見が合わなかった。互いに自分のデザートの方が美味いと譲らなかったんだ。もちろん各々に満足しているんだけどね。

仕上げにコーヒーを飲み、レストランでタクシーを呼んでもらい、ストラスブール市内のホテルに戻った時には既に深夜の12時を回っていた。長いディナーだったね。でも、それが短く感じるほどに美味しく楽しいディナーだったね。

ちなみに家内と私の意見が一致したんだけど、今までに食事をしたヨーロッパ各地のレストランの中で、このストラスブールの「ビュールイーゼル」はトップ・クラスに評価したいね。この店と争うのは、リヨン郊外にある「ポール・ボキューズ」くらいじゃないかと思ったよ。


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