東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「ニース・エズ・モナコ公国とロンドン」

32. 大英博物館で見た古代ギリシャ

大英博物館に見るパルテノン神殿の彫刻

イギリスの首都ロンドン大英博物館の展示品の目玉の一つが、古代ギリシャの中心だったアテネのパルテノン神殿の彫刻(下の画像はそのほんの一部)かな。

イギリスの首都ロンドンの大英博物館で見た古代ギリシャのパルテノン神殿の彫刻

これらのパルテノン神殿の彫刻を大英博物館にもたらしたのは、エルギン卿と呼ばれる人物だった。フランス革命の後にナポレオンがエジプト遠征を行った西暦1799年、エルギン卿はオスマン・トルコ支配下のコンスタンティノープル(イスタンブール)にイギリス大使として赴任した。そのエルギン卿がオスマン・トルコ支配下のギリシャからパルテノン神殿の彫刻などをイギリスに持ち帰ったんだ。

但し、その発掘や輸送の為の費用を調達するために、エルギン卿は多額の借金を負ってしまった。その結果として経済的に行き詰ったエルギン卿は、パルテノン神殿の彫刻をイギリス政府に売り渡し、こうして大英博物館に展示されているというわけだ。(但し、ギリシャはパルテノン神殿の彫刻などの返還を要求し続けている。)

大英博物館に見る古代アテネの政治家ペリクレス像

ギリシャの中心地古代アテネの全盛時代の政治家といえばペリクレスかな。ペルシャ戦争に勝って古代ギリシャの盟主となったアテネの指導者となったペリクレスは、アテネに城壁を築き、破壊されたアクロポリスを再建したんだそうな。(下の画像は大英博物館にあるペリクレス像。)

イギリスの首都ロンドンの大英博物館で見た古代ギリシャのアテネの政治家ペリクレス

パルテノン神殿の建設を推進したのもペリクレスだった。但し、その建設の費用として使ったのはデロス同盟の資金だった。ペルシャに対抗するための艦隊を作る為にギリシャ諸都市が拠出した資金を、アテネのパルテノン神殿の建設資金に使っちゃったわけだ。当然ながらギリシャ諸都市は反発するよね。それが古代ギリシャにおけるアテネの地位の低下をもたらす要因の一つになったんだ。

ちょいと余談なんだけど、イタリアの首都ローマヴァティカン美術館・博物館の中のミューズの間には、上の画像と良く似たペリクレス像があった。どちらかが、あるいは両方がレプリカだったりするのかもしれないね。古代ローマ帝国時代には、古代ギリシャの彫刻のレプリカが作られていたみたいだから。例えば彫刻家リュシッポスの作品とかね。

大英博物館で見たネレイデス・モニュメント

スキャンダラスなデロス同盟の資金の流用事件はともかくも、ペルシャに勝って繁栄した古代ギリシャの文化は、周辺諸民族に受け入れられていく。例えば、下の画像にある小アジア(トルコ)のネレイデス・モニュメントもそうらしい。

イギリスの首都ロンドンの大英博物館で見た古代ギリシャ時代のネレイデス・モニュメント

このギリシャ様式を取り入れた廟は、古代ギリシャ人のものではなく、小アジア(現トルコ)の先住民族リュキア人の支配者の墓だったらしい。

大英博物館に見る古代ギリシャの壺

古代ギリシャの文化が周辺諸民族に影響を与えただけじゃないよね。ペルシャ戦争のはるか以前から古代ギリシャの人々は地中海各地に展開していたんだ。ギリシャ神話のヘラクレスが各地で苦難と戦う物語は、そんな古代ギリシャ人の活躍が生み出したものかもしれないね。(下の画像は大英博物館で見たヘラクレスを描いた古代ギリシャ時代の壺。)

イギリスの首都ロンドンの大英博物館で見たヘラクレスを描いた古代ギリシャ時代の壺

古代ギリシャ人たちは、紀元前600年頃にはフランス南部のマルセイユイタリア南部のパエストゥムに住み着いている。更にはそれらの定住地を拠点に交易を行い、各地に古代ギリシャ人の足跡を残している。

フランス南部プロヴァンス地方港町マルセイユを拠点とした古代ギリシャ人は、イギリスのコーンウォール地方にまで錫(青銅の原料となる)を求めてやってきたらしい。

コート・ダジュールのモナコ公国には、かつて古代ギリシャ人の交易拠点も設けられていたんだそうな。そんな古代ギリシャ人の言葉「モノイコス(孤立した家)」が「モナコ」の元となった。ちなみに、古代のモナコには、ヘラクレスの神殿もあったんだそうな。


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