東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記「イタリア北部の旅」

13. サンタ・クローチェ教会(フィレンツェ)

サンタ・クローチェ教会の前でジェラート

フィレンツェのドゥオモ(大聖堂)から歩いて10分ほどのところにサンタ・クローチェ教会(下の画像)がある。そこが次のお目当てなんだ。

フィレンツェのサンタ・クローチェ教会とジェラート(イタリア)

ところが、そのサンタ・クローチェ教会の前にジェラートの店があった。そのジェラートが美味しそうなものだから、ちょいと寄り道しちゃった。赤いジェラートを指差し、「ストロベリーかな」と英語で尋ねた。「イエス、イエス」とおばさん。ところが、そのジェラートを口に入れると、チェリーじゃないかッ。でも、美味しいから許せてしまうね。なんでイタリアのジェラートってこんなに美味しいのかな。

ところで、目の前のサンタ・クローチェ教会なんだけど、今の建物の建設が始まったのが西暦1294年のこと。設計はアウノルフォ・ディ・カンビオ(フィレンツェのドゥオモ(大聖堂)シニョーリア広場のヴェッキオ宮殿の設計者)だとのこと。そしてこの教会は15世紀半ばに聖別されている。

サンタ・クローチェ教会で見たルネサンス

そんなサンタ・クローチェ教会に入れば、多くのルネサンス期の芸術作品を見ることが出来る。例えば下の画像はドナテッロによる十字架のキリスト像だね。

フィレンツェのサンタ・クローチェ教会にあるドナテッロの十字架のキリスト像(イタリア)

でも、ドナテッロはこの作品に満足できなかったらしい。「これはキリストではない。ただの人だ。」とコメントしたんだそうな。対して、同じくフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会にあるブルネレスキの十字架のキリスト像を見たドナテッロは「これぞキリストだ。」と賞賛したんだそうな。

その他にも、このサンタ・クローチェ教会では多くのルネサンス期の芸術作品を見ることが出来る。ドナテッロの受胎告知、チマブーエの十字架のキリスト像、ジョットなどの画家たちによるフレスコ画、マイアーノの説教檀などなど、数え切れないほど。

そんなサンタ・クローチェ教会に残る芸術作品なんだけど、西暦1966年にひどい損傷を受けたことがあるんだそうな。その原因というのがアルノ川の洪水だった。アルノ川にかかるヴェッキオ橋も洪水によって何度も流されたことがあるらしいよ。

サンタ・クローチェ教会に眠る歴史上の人物

サンタ・クローチェ教会には多くの歴史上の人物たちも眠っている。ミケランジェロはヴァザーリによるお墓に葬られている。地動説で名高いガリレオのお墓もある。また「神曲」で名高いダンテのお墓もあるけど、彼の遺骸はフィレンツェではなく、ラヴェンナに葬られているんだけどね。

そして下の画像は「君主論」で名高いマキャベリのお墓なんだ。でもね、フィレンツェの中でも歴史あるサンタ・クローチェ教会の中にこんな立派なお墓を作ってもらって、最もとまどっているのはマキャベリ自身だね。

フィレンツェのサンタ・クローチェ教会にあるマキャベリのお墓(イタリア)

マキャベリは一時期はフィレンツェのお役所に勤めていたんだけど、西暦1512年にメディチ家復帰の際に失職し、再就職の為に「君主論」を書いたもののうまくいかず、結局は不遇のうちに亡くなってしまったんだ。それなのに亡くなってから厚遇されてもねえ。

サンタ・クローチェ教会の中のパッツィ家の礼拝堂

そんないくつもの見所のあるサンタ・クローチェ教会の中には、フィレンツェの名家の為の礼拝堂がいくつもある。その一つが下の画像に見えるパッツィ家の礼拝堂だね。

フィレンツェのサンタ・クローチェ教会の中庭とパッツィ家の礼拝堂(イタリア)

このパッツィ家の礼拝堂を設計したのはブルネレスキ。フィレンツェのドゥオモ(大聖堂)の上のクーポラを完成させた建築家だね。でも、この礼拝堂が完成したのは15世紀の後半なんだそうな。このパッツィ家礼拝堂の内部の天井がとっても美しかったりする。残念ながらその天井の画像が無いんだけどね。

そんな15世紀の後半には、フィレンツェに大騒動が起きている。西暦1478年のことだけど、パッツィ家の陰謀によって、メディチ家の当主であるロレンツォ・デ・メディチの暗殺未遂事件が起きたんだ。ロレンツォの弟のジュリアーノは殺害された。でも、メディチ家当主のロレンツォは死を免れている。ちなみに、ロレンツォに育てられたジュリアーノの息子はやがてローマ教皇クレメンス7世となっている。

というわけで、このサンタ・クローチェ教会はフィレンツェでも興味深いスポットの一つだね。でも、意外に訪れる観光客は少なくて空いている。ドゥオモ(大聖堂)から 1km もなく、歩いても10分もかからないのに、ここに来ないのはちょいともったいないかな。


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