東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「エミリア・ロマーニャとトスカナ(イタリア)」

05. ボローニャ大学と聖ペトロニウス聖堂

アルキジンナージオ宮殿はかつてのボローニャ大学

ボローニャの守護聖人ともなっている聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)が5世紀に建立したともされる素朴な聖ステファノ教会群を見終えた私たちがやってきたのは、アルキジンナージオ通り。その高級ブティックが立ち並ぶ通りに面して下の画像の建物がある。

ボローニャにあるアルキジンナージオ宮殿はかつてのボローニャ大学の建物(イタリア)

この14世紀の建物は、ボローニャの歴史を飾るボローニャ大学の一部だったらしい。西暦1803年までのことなんだけどね。今ではブティックが並び、ショー・ウィンドウがまぶしい建物なんだ。

ヨーロッパ最古とされるボローニャ大学

11世紀、街道の街ボローニャは自由都市として発展しつつあった。そんな街にボローニャ大学が創設されたのが西暦1088年のことだった。13世紀にはローマのヴァティカンにある教皇庁から大学として認可されたんだそうな。

そんなわけでヨーロッパ最古とも言われるボローニャ大学では多くの歴史上の人物が学んでいる。例えば、イングランド王と対立して殺害された12世紀のトマス・ベケット。天動説で名高いコペルニクス叙事詩「神曲」で名高い詩人ダンテジョヴァンニ・ディ・ビッチが設立したメディチ銀行に大儲けさせた対立教皇ヨハネス23世もボローニャ大学で学んだらしい。

更にはイタリアに覇権を確立しようとしたチェーザレ・ボルジアの父親のローマ教皇アレクサンデル6世もボローニャ大学で学んでいる。この大学で法律を学んだアレクサンデル6世なんだけど、歴代のローマ教皇の中でも悪名高い人物とされているね。法律を学んだからといって悪人になるとは限らないけどね。(私も大学時代には法律を学んだけど、かなりの善人だ ・・・ と思いますよ。)

そして18世紀末、フランス革命が起こった。その革命の大波の中で台頭したナポレオンがイタリアに遠征。そして西暦1803年、ナポレオンの命によってボローニャ大学は市の北東部にある現在の場所に移転させられたんだそうな。ナポレオンの皇帝即位の前年のことだった。

聖ペトロニウス聖堂

かつてのボローニャ大学の一部だったアルキジンナージオ宮殿の近くにあるのが、下の画像にある聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)聖堂なんだ。西暦1390年に着工したという歴史ある聖堂だね。その長さは 132m、幅は 66mにも及ぶ大きな聖堂なんだそうな。

ボローニャにある聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)聖堂の正面ファサード(イタリア)

この聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)聖堂の工事は西暦1479年にいったんは完了している。ところが、ローマのサン・ピエトロ大聖堂に勝るものにする為に改築の提案があったのが西暦1514年のこと。

その後、結局のところは今に至るも工事は完成していない。おかげで上の画像に見えるように正面ファサードの下半分だけが大理石で装飾されただけという些か寂しい状態になっているわけだ。聖堂の側面なんて赤レンガむき出しなんだけどね。

聖堂が捧げられた聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)

ところで、この聖堂が捧げられた聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)の名前が登場するのは、この旅行記の中で二度目なんだ。聖ステファノ教会群を建立した人物と書いたのが最初の登場だったね。(下の画像は聖ペトロニウス聖堂の正面ファサードにある彫刻なんだけど、中央には聖母子、左手に聖ペトロニウス像がある。ちょいと見難いけど。)

ボローニャにある聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)聖堂の正面ファサードの彫刻、左から聖ペトロニオス、聖母子、聖アンブロージオ(イタリア)

この聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)なんだけど、いつ何処で生まれたのかはわからないらしい。でも、父親は崩壊間近の西ローマ帝国の貴族でガリア(今のフランス)に赴任していたこともあるんだそうな。

聖ペトロニウスは若い頃からキリスト教を信仰し、苦行に打ち込み、聖地を巡礼したこともあるらしい。やがて西暦432年にはボローニャの司教となり、聖ステファノ教会群を建立したとされている。

そんな聖ペトロニウスが亡くなったのは、西暦450年頃とされている。それから700年近くが経った西暦1141年、聖ペトロニウスの遺骸が発見されたそうな。そして西暦1390年、聖ペトロニウスに捧げられる聖堂の建設がボローニャで始まった。それが目の前にある聖ペトロニウス聖堂なんだ。


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