ボローニャの中心 マッジョーレ広場聖ペトロニウス(サン・ペトロニオ)聖堂の目の前、北側に広がっているのがマッジョーレ広場。市庁舎として使われているコムナーレ宮殿(下の画像に見える塔のある建物)、中世ボローニャの支配者だったベンティヴォリオ家が使っていたポデスタ宮殿、エンツォ王宮殿、などに囲まれた広場。
このマッジョーレ広場はボローニャ中央駅から南に 1km あまりの場所にある。ボローニャの中心にある広場といっても良いみたい。加えて、広場を囲む建物の多くは13世紀に建てられたもの。つまりはボローニャの政治においても長く中心となっていた場所なんだね。
海神ネプチューンの噴水多くの人々が集まるマッジョーレ広場の一画、いや正しくはその隣にあるネットゥーノ広場(あるいはネプチューン広場)の中には海神ネプチューン(ネットゥーノ)の噴水(下の画像)がある。
上の画像に見える噴水の周囲の人々と対比すればわかるけど、海神ネプチューンといってもさほど大きい像ではないよね。でも、地元ボローニャの人々は「ギガンテ(巨人)」と呼んでいるんだそうな。
ちなみに、上の画像にある海神ネプチューンの像を制作したのはジャンボローニャ。フィレンツェのシニョーリア広場にあるフィレンツェ大公コシモ1世の騎馬像の制作者でもある。但し、その完成前にジャンボローニャは亡くなり、それを完成させたのは弟子のピエトロ・タッカ(フィレンツェのポルセリーノの制作者)だったけどね。
海神ネプチューンの噴水の彫刻この海神ネプチューンの噴水は様々な彫刻で装飾されているんだけど、その一つが下の画像。イルカに乗った女性の乳房から乳が噴出しているね。いったい何を意味しているんだか ・・・ 。
ふと思い至ったのが、旧約聖書に頻繁に登場する「乳と蜜の流れる地」(すなわち、カナンの地のこと)を表現しているのかということ。カナンとは、旧約聖書においては神がユダヤ人に与えることを約束した「約束の地」だよね。古代ローマ神話の海神ネプチューン(古代ギリシャ神話ではポセイドン)と旧約聖書の約束の地との組み合わせはちょいと妙だけど・・・。
ボローニャの歴史そんなこんなでボローニャのあちこちを見て歩いたんだけど、ここでボローニャの歴史をざっと見ておくかな。このあたりに人間が住みついたのは、紀元前9世紀頃のこと。紀元前7世紀頃には古代エトルリア人の影響下に入り、このあたりはフェルシナと呼ばれた。紀元前4世紀にはガリア方面から南下してきたケルト系の人々の支配下に入った。(その頃、ケルト系ガリア人がローマを略奪している。) 紀元前196年には古代ローマがケルト人を打ち破り、紀元前189年に植民都市ボノーニャを建設。更に紀元前187年にはエミリア街道を建設し、今のボローニャは重要な交通の要衝となった。紀元1世紀には火災によってボローニャは衰退。そんな街を復興させたのは、キリスト教徒迫害で名高い皇帝ネロだった。 西暦476年には西ローマ帝国は滅亡。やがてボローニャは東ゴート族の王テオドリックの支配下に入った。その後のボローニャはビザンティン帝国、ロンバルド王国の統治を経て、西暦774年にはカール大帝(シャルルマーニュ)に攻略され、ローマ教皇に寄進された。 11世紀には自由都市として発展した。ヨーロッパ最古とされるボローニャ大学が設立されたのはその頃だね。ボローニャの街は更に成長し、13世紀には人口が5万人を越え、ヨーロッパでも5本の指に入る大都市となっていた。アシネッリの塔をはじめとする多くの塔が建てられたのはその頃みたい。ところが西暦1347年に南仏マルセイユに上陸した黒死病(ペスト)が翌年にはボローニャに至り、人口の半分以上が亡くなったんだそうな。 15世紀に入るとベンティヴォリオ家の支配下、16世紀にはローマ教皇ユリウス2世(サン・ピエトロ大聖堂を建設した教皇)の軍に征服され、ローマ教皇領に組み込まれている。ちなみに、近代歴史学の父とも称されるグイッチャルディーニ(著書「イタリア史」で名高い)がローマ教皇の命によってその頃のボローニャを統治したこともあるらしい。 西暦1796年のナポレオンのイタリア遠征の際にはボローニャも征服された。でも、フランス皇帝ナポレオンの没落後にはローマ教皇領に復帰している。西暦1860年にはサルディニア王国(すぐに統一イタリア王国)に帰属している。 第二次世界大戦中には連合国軍の空爆を受けている。ナポリに上陸した連合国軍は西暦1944年にローマを攻略し、ボローニャは西暦1945年4月に連合国軍の手に落ち、ドイツ軍の防衛線の崩壊を招いたんだそうな。 というわけで、歴史の話が長くなっちゃった。そろそろディナーのレストランに向かう仕度をする時間かな。
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