東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「エミリア・ロマーニャとトスカナ(イタリア)」

12. 大司教館付属博物館と聖アンドレーア礼拝堂

大司教館付属博物館にあるマクシミアヌスの象牙の司教座

イタリアのドゥオモといえば一般的には観光名所だよね。その代表が花の聖母マリア大聖堂とも称されるフィレンツェのドゥオモだね。対して、古都ラヴェンナのドゥオモは18世紀という新しい建物でもあり、さほどの観光名所というわけでもない。と前のページで書いた。

でも、そのドゥオモの隣にある大司教館付属博物館はラヴェンナの観光名所の一つだったりするわけだ。

イタリアの古都ラヴェンナの大司教館付属博物館にある司教マクシミアヌスの象牙の司教座

その大司教館付属博物館のお宝の一つが、司教マクシミアヌスの象牙の司教座(上の画像)だったりする。

古都ラヴェンナの初代大司教マクシミアヌス

ところで、この椅子の持ち主だったマクシミアヌスなんだけど、6世紀半ばに古都ラヴェンナの初代大司教となった人物らしい。

このラヴェンナはかつて東ゴート族のテオドリック王の首都だった。ところが、東ローマ帝国(ビザンティン帝国)のユスティニアヌス1世(大帝)が派遣した軍が東ゴート王国からラヴェンナを奪い取ったわけだ。その後、東ゴート族ゆかりのアリウス派の教会を正統派の教会に改めることに貢献したのが、ラヴェンナの初代大司教のマクシミアヌスだったそうな。

そんな大司教マクシミアヌスに象牙の司教座を贈ったのが、ビザンティン帝国のユスティニアヌス1世(大帝)だったとも言われている。(ちなみに、ユスティニアヌス1世は、コンスタンティノープルのアヤ・ソフィア大聖堂を再建したことでも名高いよね。)

聖アンドレーア礼拝堂のモザイク画の「戦うキリスト」

大司教館付属博物館の中にあるアンドレーア礼拝堂も見逃すわけにはいかない。小さいながらもこの礼拝堂はラヴェンナの世界遺産の一つになっているんだ。この礼拝堂は、今では聖アンデレ(聖アンドレーア)に捧げられている。でも、元々は救い主キリストに捧げられたものだったと考えられているんだそうな。

イタリアの古都ラヴェンナの大司教館付属博物館にある聖アンドレーア礼拝堂のモザイク画

そんな聖アンドレーア礼拝堂で見ることが出来るのが、「戦うキリスト」のモザイク画(上の画像)。古代ローマ帝国の皇帝あるいは将軍のような格好をしたキリストがライオンとヘビを踏みつけている様子が描かれている。

こんなキリストの姿って珍しいよね。といっても、イタリアのバロックの画家カラヴァッジョが描いた「馬丁たちの聖母」では、幼いキリストがヘビを踏みつけているけどね。

ちなみに、この聖アンドレーア礼拝堂なんだけど、5世紀末の司教によって個人的に建立されたものとされている。上の画像のモザイク画も5世紀末あるいは6世紀初頭のものと考えられているそうな。

モザイク画に描かれた十字架と星、キリストと天使と聖人たち

そして聖アンドレーア礼拝堂の祭壇の上のモザイク画が下の画像なんだ。

イタリアの古都ラヴェンナの大司教館付属博物館にある聖アンドレーア礼拝堂のモザイク画

輝く星の中に浮かぶ金色の十字架。その上にはキリスト、その脇にはペテロ、パウロ、アンデレ、・・・などなど。更に上には天使たち。小さな礼拝堂の中で輝くモザイク画だったね。


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