東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「カンパーニャとローマ・ヴァティカン」(イタリア)

第四部 ローマ・ヴァティカン編

D05. ヴァティカン博物館のピオ・クレメンティーノ美術館

ピオ・クレメンティーノ美術館

グレゴリウス・エジプト美術館に続いては、ピオ・クレメンティーノ美術館に入る。18世紀後半にローマ教皇ピオ6世によって創設された美術館なんだそうな。展示されているのは教皇クレメンス14世とピオ6世のコレクションなんだけど、古代彫刻の傑作を集めていることではヴァティカン美術館・博物館の中でも抜きん出ているらしいよ。

でも、このピオ・クレメンティーノ美術館を創設したローマ教皇ピオ6世は、フランス革命から続く動乱の中で苦労しているんだ。西暦1796年にイタリアに侵入したナポレオンに捕えられ、幽閉された状況で亡くなったらしい。やがてナポレオンはフランス皇帝となってヨーロッパに君臨する。勃興する近代の影で埋没していく教権を象徴していたのが教皇ピオ6世だった。

競技者アポクシオメノスの像

上にも書いたけど、このピオ・クレメンティーノ美術館には多くの優れた古代彫刻の傑作が集められている。その中でまずご紹介するのが、下の画像にある「競技者アポクシオメノス」の像なんだ。

イタリアの首都ローマのヴァティカン博物館のピオ・クレメンティーノ美術館で見た「競技者アポクシオメノス像」

西暦1849年に発見されたこの像のオリジナルは、紀元前320年頃(アレクサンダー大王が亡くなった直後だね)にリュシッポスによって制作されたブロンズ像だった。それを古代ローマ帝国時代の1世紀に大理石でコピーしたのがこの像なんだそうな。競技を終えたばかりのアスリートが、身体の汗をぬぐっているところらしいよ。

ついでながら、上の像のオリジナルを制作したリュシッポスは、紀元前4世紀に活躍した古代ギリシャの彫刻家なんだそうな。イタリアの水の都ヴェネツィアのサン・マルコ寺院にある馬の像なども彼の作品なんだって。

ピオ・クレメンティーノ美術館に残るブラマンテの螺旋階段

ピーニャの中庭の松ぼっくりの下のブラマンテの階段は壊れ、ミケランジェロの階段に置き換えられている。でも、このピオ・クレメンティーノ美術館には、ブラマンテが設計した螺旋階段(下の画像)が残っているんだ。この螺旋階段は馬に乗ったままで登ることが出来るらしいよ。

イタリアの首都ローマのヴァティカン博物館のピオ・クレメンティーノ美術館に残るブラマンテの螺旋階段

15世紀から16世紀にかけて活躍した建築家ブラマンテは、このローマのヴァティカン宮殿やサン・ピエトロ大聖堂の建築に携わったらしい。でも、彼の最も名高い建築物はミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会かな。あのレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のある教会だね。

ピオ・クレメンティーノ美術館の八角形の中庭

ピオ・クレメンティーノ美術館はヴァティカン博物館の中でも古代彫刻のコレクションで抜きん出ているんだけど、その中心を為すのが八角形の中庭なのかな。

16世紀初頭のローマ教皇ユリウス2世は、当時はオレンジの木が繁っていたこの中庭(下の画像)に、多くの彫刻を運び込んだ。その後、ローマ教皇クレメンス14世によって改装されて、今のような八角形の中庭になったんだそうな。

イタリアの首都ローマのヴァティカン博物館のピオ・クレメンティーノ美術館にあるベルヴェデーレの中庭(八角形の中庭)

上の画像の中央やや左に人々が集まっているのが見えるよね。あそこに置かれているのが、名高いラオコーンの彫刻だね。この八角形の中庭の周囲には、いくつもの古代彫刻の傑作が並んでいる。次のページにはこの中庭を取り囲む古代彫刻の傑作を集めてみた。


次のページは
「D06. 八角形の中庭を囲む古代彫刻の傑作たち」



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