東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「カンパーニャとローマ・ヴァティカン」(イタリア)

第四部 ローマ・ヴァティカン編

D45. フォロ・ロマーノで見たトラヤヌスのフォロと記念柱

古代ローマ帝国皇帝トラヤヌスのフォロと記念柱

統一イタリア王国の初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の記念堂のあるヴェネツィア広場からフォロ・ロマーノを歩き始め、最初に立ち寄ったのが古代ローマ帝国の皇帝トラヤヌスのフォロと記念柱(下の画像)だった。

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見た古代ローマ帝国皇帝トラヤヌスのフォロと記念柱

上の画像の左手に高い塔が見えるよね。あれがトラヤヌスの記念柱。そして画像の下半分に見える空き地がトラヤヌスのフォロ(公共の広場)の跡地なんだそうな。

フォロ・ロマーノで見たトラヤヌスのフォロ

古代ローマ帝国時代に人々が集まる公共の広場として設けられたフォロなんだけど、このローマのフォロ・ロマーノにはいくつものフォロの跡地が残っている。あの名高いカエサル(シーザー)のフォロもあれば、古代ローマ帝国の初代皇帝アウグスティヌスのフォロもある。

そしてこのトラヤヌスのフォロは、ここに設けられた古代のフォロの中でも最も新しいものなんだそうな。といっても、完成したのが西暦112年というから、日本で言えば弥生時代ということかな。

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見た古代ローマ帝国皇帝トラヤヌスのフォロ

このトラヤヌスのフォロ(上の画像)には、かつては大理石が敷き詰められていたらしい。でも、二千年近い歳月が経つ間に大理石は持ち去られ、他の場所で再利用されたんだそうな。

皇帝トラヤヌスのダキア征服と記念柱

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見た古代ローマ帝国皇帝トラヤヌスのフォロにある記念柱 高校で世界史を勉強した人ならば、古代ローマ帝国を統治した五賢帝について知っているかな。この皇帝トラヤヌスは、その五賢帝の一人とされているんだ。

西暦53年、古代ローマ帝国支配下の属州ヒスパニア・バエティカ(今のスペイン南部アンダルシア地方)で由緒正しい貴族の息子としてトラヤヌスは生まれている。

やがて軍人として頭角を現したトラヤヌスは、子供がいなかった皇帝ネルヴァの後継者とされ、その養子となったんだそうな。そして西暦98年、養父の死によって帝位を継承したわけだ。

古代ローマ帝国の皇帝となったトラヤヌスは、西暦101年からダキア(今のルーマニア)に遠征を始めた。中断をはさみながらもダキアを征服し、属州としたのが西暦106年のこと。その戦勝を祝ってフォロに建てられたのが、右の画像にあるトラヤヌスの記念柱だった。

その後も皇帝トラヤヌスはアルメニア・メソポタミア・アッシリアなどに新しい領土を獲得し、彼の統治下で古代ローマ帝国は最大の版図を誇ったんだそうな。


但し、トラヤヌスから古代ローマ帝国を受け継いだ皇帝ハドリアヌスの時代には、新しい領土で頻発する反乱を抑えることができず、結局は支配を諦めているんだけどね。ちなみに、皇帝ハドリアヌスはイギリスにハドリアヌスの長城(城壁)を残したことで名高いね。

ちなみに、西暦1786年から1年半にわたってイタリアを旅したドイツの文豪ゲーテは、このトラヤヌスの記念柱の上まで登り、そこからの眺めを楽しんだそうな。当時は記念柱に登ることが出来たんだね。

トラヤヌスのフォロの脇には市場の跡

征服戦争を中心とする軍事面で抜きん出ていた古代ローマ帝国の皇帝トラヤヌスだったけれども、民政にも気を使っていたらしい。公共の建物を築き、街道の整備なども行ったんだそうな。

更には、今のローマのフォロ・ロマーノに残るトラヤヌスのフォロの脇には、トラヤヌスの市場も残している。下の画像の中に見える小さな連続アーチの建物、赤茶色のレンガ造りの建物がそのトラヤヌスの市場なんだ。

イタリアの首都ローマのフォロ・ロマーノで見た古代ローマ帝国皇帝トラヤヌスの市場

このトラヤヌスの市場の中には、オリーヴ・オイル、ワイン、野菜、魚などを売る多くの店が並んでいたらしい。ローマ市民に無料で小麦を配給する施設もあったんだそうな。そんなこんなで当時も今も皇帝トラヤヌスの評判は良いみたいだね。

ところでトラヤヌスの記念柱なんだけど、元々その上には皇帝トラヤヌスの像があった。でも、16世紀後半のローマ教皇シクストゥス5世によって皇帝の像は取り外され、代わりに聖ペテロの像が置かれたんだそうな。(ローマ教皇シクストゥス5世はポポロ広場にオベリスクを立てさせた人物だね。)


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