東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記「マルタ 聖ヨハネ騎士団の島」

23. 古都イムディナの聖パウロ大聖堂(マルタ島)

マルタ島の古都イムディナの中心は聖パウロ大聖堂

現在のマルタ共和国の首都は聖ヨハネ騎士団によって建設された要塞都市ヴァレッタなんだけど、マルタ島の歴史的な中心は古都イムディナみたい。そして首都ヴァレッタの聖ヨハネ大聖堂は人気の観光スポットなんだけど、地元の人々の精神的な中心は古都イムディナにある聖パウロ大聖堂(下の画像)なんだそうな。

古都イムディナの聖パウロ大聖堂の外観(マルタ共和国)

その聖パウロ大聖堂の中へ ・・・ 入ろうと思ったら、扉が閉まっている。困ったな。明日はロンドンに帰らなきゃいけないし、なんとか今日はこの大聖堂に入りたいんだけどな。

私が途方にくれているところに到着したのが、欧米人のツアーだった。添乗員らしい女性2人が大聖堂の扉を叩き続ける。やがて扉の脇の小さな入口が開いた。その中に入るツアー客に続いて、私もまぎれ込む。これも神様の思し召しかな。(勝手に「神様の思し召し」なんて言っちゃ罰が当たるだろうか ・・・ 。)

マルタで難破した聖パウロにゆかりの大聖堂

キリスト教を各地に広めたことで名高い聖パウロ(セント・ポール)は、西暦60年にマルタ島の海辺で難破したと伝えられる。古代ローマ帝国の総督プブリウスは上陸した聖パウロと会見したとされるんだけど、その現場が今の古都イムディナの聖パウロ大聖堂(その祭壇が下の画像)のある場所だと言われている。

古都イムディナの聖パウロ大聖堂の祭壇(マルタ共和国)

やがて聖パウロはローマへ赴き、その地で皇帝ネロの迫害によって殉教したとされている。他方で聖パウロと会見したプブリウスなんだけど、キリスト教に改宗し、マルタ島の最初の司教となったとされている。でも、彼も皇帝ハドリアヌスの頃に殉教したともされているんだ。

地震によって倒壊し、再建された聖パウロ大聖堂

マルタ島は9世紀後半にアラブ人によって征服され、この地にあった古い教会は廃墟となってしまった。その後、西暦1091年にマルタ島はノルマン人の支配下に入り、彼らの統治下でここに聖パウロ大聖堂が建立されたんだそうな。

古都イムディナの聖パウロ大聖堂の円天井(マルタ共和国)

ところが、西暦1693年に起こった大地震によって聖パウロ大聖堂は倒壊してしまった。その後、西暦1697年から再建の為の工事が始まり、西暦1702年に完成したのが今の聖パウロ大聖堂なんだそうな。(再建を担当した建築家ロレンツォ・ガファの傑作とされる円天井が上の画像。)

静寂の街 サイレント・シティ 古都イムディナ

そんな聖パウロ大聖堂があり、古代からの長い歴史を持つマルタ島の古都イムディナなんだけど、またの名を静寂の街あるいはサイレント・シティともいう。(下の画像は静寂の街の通りの様子なんだけど、無人の狭い通りに私の足音だけが響いていたよ。)

静寂の街(サイレント・シティー)と呼ばれる古都イムディナの通り(マルタ共和国)

マルタ島の古都でもあり、精神的な中心でもある聖パウロ大聖堂のあるイムディナなんだけど、現在の人口は300人にも満たない。しかも、原則として街の中に車は入れないことになっている。そりゃ静かな街になるのは間違いないよね。

そんな古都イムディナなんだけど、この世の騒ぎの中心となったことがあった。西暦1798年にエジプト遠征に向かう途中のナポレオンがマルタ島から聖ヨハネ騎士団を追い出し、島はフランスの支配下に入った。ところが島の住民はフランスに対して反乱を起こし、その反乱の中心がこの古都イムディナだったそうな。

静寂の街の路地の迷路をなんとか抜け出し、やがてバス停にたどり着いた。4時半のバスに乗り込み、ヴァレッタに帰り着いたのが5時。ホテルに戻り、部屋でシャワーを浴びてさっぱり。ホテルのテラスのバーで聖アンジェロ城砦の眺めを楽しみながら冷えたビール。

7時なって営業を始めたレストランに移り、ようやく食事にありついた。今日はお昼を食べ損ねただけに、タコのスパゲティがとびきり美味しく感じるよ。これで3日連続で食べているんだけどね。


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