東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅
春のルーマニア
東欧(1998年5月)


21. ブラン城に登る
(ルーマニア)

ブラン城の入り口(ルーマニア) ドラキュラとの関係ははっきりしないブラン城だけど、せっかくここまで来たんだから、ブラン城に登っておこうか。

右の画像がブラン城の入り口の様子なんだけど、雰囲気はあるかな。泣き出しそうな空模様も、かえって雰囲気を盛り上げている、と言えなくもないよね。

ブラン城の秘密の階段 (ルーマニア)

ブラン城の暗い階段(ルーマニア) ブラン城の中には、もっと雰囲気を盛り上げてくれる場所があるんだ。

それが右の画像にある秘密の石段。狭さと薄暗さが雰囲気を盛り上げてくれるよね。1930年代に入るまで、発見されなかったらしいよ。

ドラキュラは夜になるとこの秘密の階段を下って付近の村に...なんてことは無いだろうけどねえ。

ルーマニア国王夫妻ゆかりのブラン城

ブラン城の内部(ルーマニア) でもね、ブラン城の中は、シンプルな色使いながらも、華麗な装飾が施されている。

というのも、オスマン・トルコから独立後に成立したルーマニア王国の第二代国王フェルディナント1世夫妻が、このブラン城がお気に入りだったから。

城の下には、マリア王妃がお気に入りだったティー・ルームも残されているんだ。今は土産物屋になっているけどね。(そこで私たちは絵葉書を買った。)

現代のブラン城

というわけで、近代ルーマニア王国の王家とも所縁のあるブラン城なんだけど、第二次世界大戦後に成立した共産主義政権は、このブラン城を没収してしまった。その後、このブラン城は博物館とされたんだ。

ところが、1989年には、ルーマニアのチャウシェスク独裁体制が崩壊し、その後のルーマニア政府はかつて共産主義政府が没収した財産を元の所有者に返還してきたんだ。

その一環として、このブラン城もかつてのルーマニア王家の子孫に返還されることになった。ちなみに、このルーマニア王家の子孫なんだけど、アメリカに住む建築家なんだそうな。しかも、その方の姓はハプスブルク。あの、オーストリアのハプスブルク家の所縁の方なんだろうね。

ブラン城の上からの眺め (ルーマニア)

ブラン城の塔からの眺め(ルーマニア) 右の画像は、ブラン城の最上層からの眺め。ドラキュラだったら、ここでコウモリに変身して、遠くに見える村まで飛んでいくのかね。

私だったら、こののどかな景色を眺めながら、ルーマニアの赤ワインでも飲みたいところだな。なんせルーマニアのワインは安い上にそこそこ美味しいんだから。




もう一人の吸血鬼 エルジェベト・バトリー
(トランシルヴァニア、ルーマニア)

余談なんだけど、このトランシルヴァニアのカルパチア山脈近くの土地には、もう一人の吸血鬼がいたんだ。それが伯爵夫人エルジェベト・バトリー。ちなみに、トランシルヴァニアの貴族バトリー家は、16世紀にはトランシルヴァニア公を生むほどの名家だった。

しかし、召使から黒魔術を教わったエルジェベト・バトリーは、夫の留守に村の娘達を捕らえて残虐行為を行うようになった。そして、1600年に夫が亡くなると、伯爵夫人の残虐行為には歯止めが効かなくなっていった。

10年の後、エルジェベト・バトリーが住むチェイテ城が軍によって占拠された。そこで発見されたのは、伯爵夫人の残虐行為によって殺された多くの女性達の遺体だった。

1871年、ジョセフ・シェリダン・レ・ファニュによる小説 「カーミラ」が発表された。主役の女吸血鬼カーミラ(ミラルカ・フォン・カルンスタイン伯爵夫人)のモデルが、トランシルヴァニアの女吸血鬼エルジェベト・バトリーだと言われている。

1897年に「吸血鬼ドラキュラ」を発表したイギリスの小説家ブラム・ストーカーは、エルジェベト・バトリーをモデルにした小説「カーミラ」に影響されたとも言われているんだ。

しかしねえ、純粋に楽しみの為に残虐行為を行ったエルジェベト・バトリーと、オスマン・トルコと戦う国づくりを追求した串刺し公ヴラッド・ツェペシュを、同じように吸血鬼のモデルにしちゃ、ヴラッド・ツェペシュ氏に気の毒だと思うんだけどねえ。

但し、串刺し公ヴラッド・ツェペシュとしても、エルジェベト・バトリーに借りが無いわけじゃないんだ。1476年にヴラッド・ツェペシュがブカレスト攻略を行ったとき、バトリー家の先祖のシュテファン・バトリー指揮下の軍が支援している。その結果、ヴラッド・ツェペシュは三度目のワラキア公になったんだからねえ。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索


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