東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「春のプロヴァンス (フランス)」

19. ロンドンで楽しんだプロヴァンス

プロヴァンスの旅の土産物を記念撮影

ロンドンの自宅に帰りついた時には21時になっていたし、忙しい旅で疲れてはいたんだけど、まずは恒例の土産物の記念撮影だ。

春のプロヴァンスの土産物をロンドンの自宅で記念撮影

その土産物が上の画像なんだけど、ワインなどは週末にプロヴァンスの旅のことを思い出しながら飲むことになる。ちなみに、当時の私はスーパー・ヘビー・スモーカーだった。しかも、ロンドンではタバコ1箱が千円くらいしていたんだ。というわけで、海外に出ると必ず空港の免税店でタバコを買っていた。今はもうタバコはやめているんだけどね。(今も熱烈なスモーカーの皆様、裏切りをお許しください。)

ニームの赤ワイン

春のプロヴァンスの旅では、3本のワインを買って帰ったんだけど、旅の翌週に飲んだのはニームの赤だった。正確に言えば、ニームはプロヴァンスではなくて、ラングドックに属しているんだけどね。

ロンドンの自宅で飲んだニームの赤ワインのエチケット

結論から言えば、このニームの赤ワイン、さほどのものでもなかった。実は期待もさほどではなかったんだけどね。でも、上の画像にあるワインのエチケットの鍋の下にポン・デュ・ガールの水道橋が描かれているのがうれしいかな。(水道橋の上の鍋の意味は不明なんだけどね。)

古代ローマ帝国時代に築かれたポン・デュ・ガールは、ニームの街に水を供給していたんだったね。そんなわけで、味はともかくながら、旅の思い出で飲むワインだったね。

レ・ボー・ド・プロヴァンスの赤ワイン

それから1ヶ月ほどして飲んだのは、15世紀に断絶したボー一族の城跡が印象的だったレ・ボー・ド・プロヴァンスの赤ワイン。これはなかなか良いワインだった。香りはさほど強くはない。口に含むとまず渋みが来る。でも、やがてフルーティな甘さも感じる。面白いワインだね。私の好みだった。

ロンドンの自宅で飲んだレ・ボー・ド・プロヴァンスの赤ワインとオリーヴの木の塩コショウ入れ

ついでながら、上の画像に見えている塩コショウの入れ物なんだけど、これもレ・ボー・ド・プロヴァンスで買ったもの。オリーヴの木でできているんだ。他にもオリーヴの木で作られているサラダ・ボウルなども買って帰った。このレ・ボー・ド・プロヴァンスはワインだけではなく、オリーヴの産地として評価が高いらしい。古くなって切り倒されたオリーヴの木も、加工されて土産物になるわけだね。

アヴィニョンで買ったエルミタージュの赤ワイン

そして数週間後、プロヴァンスの旅で買ったワインの最後を飾るのは、アヴィニョンのワイン専門店で買ったエルミタージュの赤ワインだった。アヴィニョンで買うならば、シャトーヌフ・デュ・パープだろう、と私も思う。実際にアヴィニョン近くのカーヴでシャトーヌフ・デュ・パープを試飲もしたんだ。でも、どうもピンと来るのが無かったからね。

というわけで、エルミタージュの赤ワイン。もちろん、プロヴァンス地方のワインじゃない。リヨンの南、コート・デュ・ローヌ北部の著名なワインだね。そのエルミタージュをグラスに注げば、なんと濃厚な赤。グラスを手に持たずとも漂ってくる香り。

確かに渋いけれども、それだけじゃなくてまろやかさもある。もっと熟成させれば、もっともっと美味しくなるんだろうけどね。私の手許にあるワインの本によれば、エルミタージュは少なくとも4年、出来れば8年以上は熟成させたいとある。我が家に有るエルミタージュはこれ1本だから、熟成させるなんて無理な話なんだけどね。

ロンドンの自宅で飲んだアヴィニョンで買ったエルミタージュの赤ワイン

このエルミタージュの赤ワイン、アヴィニョンで買ったとはいえ、コート・デュ・ローヌのもの。でも、フランス南部プロヴァンス地方と関係あると言えなくもないんだ。

時は13世紀前半のフランス。フランス北部の貴族たちを中心とする軍が南部のプロヴァンス地方やラングドック地方に攻め寄せていた。異端アルビ派を掃討する為のアルビジョア十字軍だね。その軍に参加していた騎士の一人にギャスパール・ド・ステランベールという人物がいた。

その騎士は戦いで負傷し、西暦1224年にアルビジョア十字軍を離れ、ローヌ川近くで一人で隠者の暮らしを始めた。やがて傷の癒えた騎士は、周囲の荒地を耕し、そこでブドウを栽培した。その隠者の畑のブドウから作られたワインがとっても美味しかったらしい。

それが名高いエルミタージュ(隠者・遁世者の庵)のワインになった。つまり、騎士ギャスパール・ド・ステランベールがアルビジョア十字軍に参加してプロヴァンスで負傷しなければ、エルミタージュのワインは生まれなかった ・・・ かもしれないというお話。

ちなみに、彼が離脱した後、フランス王ルイ8世獅子王に率いられたアルビジョア十字軍は、西暦1226年にアヴィニョンを攻略している。「教皇のアヴィニョン捕囚」の前のことだから、その頃のアヴィニョンに教皇宮殿は無かったんだけどね。

そんなこんなで、自宅でワインを美味しく飲む。旅の思い出で更に美味しい。関連する歴史を調べて益々美味しい。旅先でワインを買って帰るのって、とっても美味しいことだよね。ワインに限らずね。


ラヴェンダーの花が満開の
旅行記 「夏のプロヴァンス(フランス)」



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