東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

パリに住んだ ・・・ つもりの 9日間 (フランス)

パリからロワール、ノルマンディー、シャルトルまで

18. 列車から眺めたノルマンディーの風景

カーン駅からパリ行きの列車に乗り込む

フランス国鉄のカーン駅の自動販売機で飲み物を買い、16時41分発のパリ行きの列車に乗り込む。セカンド・クラスの車両は混んでいるみたいだけど、ファースト・クラスのコンパートメントはがらがらだ。

そのファースト・クラスのコンパートメントの席に落ち着き、家内が紙袋を取り出す。カーンの商店街の店で買ったアップル・パイ。さすがはノルマンディーのアップル・パイ。さほど甘くなくて、酸味が効いていて美味いね。お昼に飲んだシードルも美味しかったけどね。

フランス北部ノルマンディーの風景をパリに向かう列車の中から眺めた

歩き疲れて居眠りを始めた家内を起こさないように、車窓から見えるノルマンディーの風景にレンズを向けてシャッターを押す。ノルマンディーののどかで緑豊かな土地が広がっているね。

フランス北部に成立したノルマンディー公国

列車がパリに着くまで、フランス北部にあったノルマンディー公国の歴史のお勉強をしておこう。

イングランド北部のヨークスコットランドウェールズ北部などと同様に、フランス北部にも9世紀頃からヴァイキングが侵入していた。西暦845年には、セーヌ川を遡ったヴァイキングがパリを略奪したこともあった。(その前年にはヴァイキングはリスボンやセビリアをも襲っている。)

そんなヴァイキング(ノルマン人)と共存の道を求めて、西暦911年に西フランク王シャルル3世単純王がヴァイキングのリーダーだったロロと条約を結び、フランス北部ノルマンディーの一角の伯領を与えた。それがやがてノルマンディー公国に発展していくわけだ。

そのヴァイキング(ノルマン人)の小さな伯領は、次第に周囲に領地を広げていった。しかも、西暦987年にフランス王となったカペー朝のユーグ・カペーを支援し、晴れてノルマンディー公爵となったのがロロの子孫のリシャールだった。

そのノルマンディー公国を継承したノルマンディー公ウィリアムは、西暦1066年にはイングランド征服王ウィリアム1世として即位している。彼の死後にノルマンディー公国は長男ロベール(ロバート)が、イングランド王国は次男ウィリアム2世が継承した。でも、やがてロベールは捕われウェールズ南部カーディフ城に幽閉され、他方でノルマンディー公国もイングランド王国も末弟のヘンリー1世が支配している。

そのイングランド王ヘンリー1世の娘マチルダと結婚したのがアンジュー伯ジョフロワだった。彼は12世紀前半にはノルマンディーを攻略し、西暦1144年にノルマンディー公となっている。その死後、西暦1150年にノルマンディー公となったのがその息子のヘンリーだった。

そのヘンリーはイングランド王ヘンリー1世の孫であり、やがて西暦1154年にはプランタジネット家のイングランド王ヘンリー2世として即位している。最盛期のヘンリー2世は、イングランドに加え、ノルマンディーを含むフランスの半分ほどをも支配していたんだそうな。

フランス王フィリップ2世(尊厳王)のノルマンディー征服、その後

その後、ヘンリー2世の後継者であるイングランド王リチャード獅子心王はノルマンディーにガイヤール城を築いたりもしている。(明日はそのガイヤール城を歩く予定なんだ。)

でも、その弟のイングランド王ジョン失地王の時代にはプランタジネット家は後退を続け、ついに西暦1204年にはフランス王フィリップ2世(オーギュストあるいは尊厳王)によってノルマンディー公国を奪われてしまった。

フランス北部ノルマンディーの風景をパリに向かう列車の中から眺めた

その後、西暦1259年にフランス王ルイ9世(聖ルイ王)イングランド王ヘンリー3世によって結ばれたパリ条約によって、イングランド王家は正式にノルマンディー公国を放棄している。(やがてイギリスとフランスとの間の百年戦争の際には再び戦場となるけどね。)

但し、西暦1660年のイギリスの王政復古の直後には、イギリス王の弟のジェームズ(後に名誉革命で国を追われたイギリス王ジェームズ2世)をフランス王ルイ14世がノルマンディー公に叙任している。もちろん形式的な名誉の上だけのことだった。ちなみに、フランス王ルイ14世はイギリス王チャールズ2世と弟ジェームズたちと従兄弟の関係にあった。

ついでながら、フランスの領土でもなく、イギリスの領土でもないノルマンディー公国は存続しているらしい。それがジャージー諸島やガーンジー諸島からなるチャネル諸島なんだそうな。それらの島からなるノルマンディー公国の領主はイギリス女王エリザベス2世。でも、島々のノルマンディー公国はイギリスの領土ではなく、王家独自の領地なんだそうな。

パリに到着

カーン駅から列車に乗って 1時間20分。18時に長い長いトンネルを通過して、パリ盆地に出た。次第に土地が平坦になり、民家や工場が多くなる。

19時前にパリのサン・ラザール駅に到着。すぐに地下鉄に乗り込む。チュイルリー駅で地下鉄を降りる。今夜はその近くの日本食レストランで夕食を済ませてアパルトマンに帰ろう。


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