東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

スコットランドの旅(イギリス)

09. ハイランドに残る古代ピクト人の石の砦 デューン

グレネルグ・ブロッホスで見た古代ピクト人の石の砦 デューン

幹線道路をはずれ、狭い山道を走り、グレネルグ・ブロッホスという場所にやってきた。ここにはデューン・テルベとデューン・トロッデンという二つのデューンがあるんだ。

ハイランドのグレネルグ・ブロッホスで見た古代ピクト人の石の砦 デューン(スコットランド、イギリス)

デューンとは、上の画像にある古代ピクト人の石の砦のこと。二千年ほど昔のものと考えられている。(ちなみに、アイルランドの西に浮かぶアラン島にも古代のデューン・エンガスがある。このハイランドのデューンに似た石の砦だったよ。)

ピクト人と古代ローマ帝国の進出

イタリアのローマから勢力を拡大してきた古代ローマ帝国は、紀元前55年にはカエサル(シーザー)がブリタニア(ブリテン島、イギリス)遠征を行っている。しかし、その際には一時的な遠征にとどまり、彼らはすぐにガリアに戻ったらしい。

しかし、西暦43年に上陸した古代ローマ帝国の軍団はロンドンを建設し、ブリタニアの支配を目指していた。彼等の総督アグリコラはウェールズの反乱を鎮圧し、今のヨーク(当時はエボラクム)を経て更に北を目指した。そんな古代ローマ帝国の軍団の北上を阻んだのが、ブリタニアの北部に住んでいたピクト人だった。(下の画像は古代ピクト人による防衛的な石の砦 デューンあるいはブロッホス。)

ハイランドのグレネルグ・ブロッホスで見た古代ピクト人の石の砦 デューン(スコットランド、イギリス)

しかし、古代ピクト人たちはただ守りを固めていただけじゃなかった。西暦367年には北のピクト人が南の古代ローマ帝国領に対して大攻勢をかけたこともあるらしい。この攻勢では、古代ローマ帝国が築いたハドリアヌスの長城(城壁)を越えて、今のイングランドにまで侵攻したんだそうな。

ちなみに、この古代のスコットランドに住んでいた人々をピクト人と名づけたのは、古代ローマ人だったらしい。ラテン語の「ピクティ」とは、彩色された人々を意味したんだそうな。つまり、古代ピクト人は戦闘の前に顔に色を塗った、あるいはイレズミをしていたと考えられている。

ピクト人とアングロ・サクソン人とゲール人(あるいはスコット人)

やがて古代ローマ帝国は東西に分裂し、西ローマ帝国は西暦476年に滅亡した。でも、それに先立つ5世紀初頭には、西ローマ帝国の軍団はブリテン島から撤退していた。その後のブリテン島で勢力を伸ばそうとしていたのは、大陸から渡ってきたアングロ・サクソン人、アイルランドから渡ってきたケルト系のゲール人(あるいはスコット人)たちだった。

ハイランドのグレネルグ・ブロッホスで見た古代ピクト人の石の砦 デューン(スコットランド、イギリス)

ブリテン島北部に住むピクト人たちは、新たな侵略者たちに対しても守りを固めた。そして西暦685年には北に進出してきたアングロ・サクソン人を打ち破っている。それ以後、アングロ・サクソン人の北上の動きは止まったんだそうな。

しかし、アイルランドから渡ってきたケルト系ゲール人(古代ローマ人にスコット人と呼ばれた)は着実に進出してきたらしい。やがてゲール人たちはハイランドに王国を打ちたて、やがてピクト人たちはゲール人(スコット人)に吸収され、消えていったんだそうな。

スコットランドに統一王国を築いたゲール人(スコット人)たちはケルト系とされている。が、ピクト人たちがケルト系なのかどうか、議論がわかれているんだそうな。

ハイランドの海辺を眺めながらランチ

スカイ島ポートリーのホテルが用意してくれたランチ(スコットランド、イギリス) スカイ島のドントルン城の幽霊の話も長くなったけど、古代ピクト人の石の砦の話も長くなってしまった。さて、車に乗って出発しよう。

山道を走り、海辺の道を走って、幹線道路に戻る。峠から素晴らしい入り江の風景を見ることが出来る。ここで昼食にしよう。

今日のランチは、右の画像にあるサンドイッチとリンゴとチップスと飲み物。予めスカイ島のホテルに頼んで用意してもらっておいたんだ。

さて、お昼を食べたら、また車に乗り込む。ここから更に南下して、目指すはグレンコーだ。


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