東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「エミリア・ロマーニャとトスカナ(イタリア)」

10. 古都ラヴェンナにあるサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会

古都ラヴェンナにあるサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会

イタリアの古都ラヴェンナに来れば、ユネスコの世界遺産となっている初期キリスト教建築物群は必見だよね。その中にはいくつもの歴史ある教会が含まれているんだけど、まず最初に訪れたのがサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会(下の画像はその内部の様子)だった。

イタリアの古都ラヴェンナにある世界遺産サンタポリナーレ・ヌオヴォ教会の祭壇

このサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会が建立されたのは、5世紀末から6世紀初頭のこととされている。とっても古い教会だよね。その教会の中には素晴らしいお宝もある。上の画像の左上の部分に注目なんだけど、壁の上には6世紀初頭のモザイク画も残されている。

サンタポリナーレ・ヌオヴォ教会のモザイク画

そんな歴史あるサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会のモザイク画なんだけど、壁の上部の部分が下の画像。

イタリアの古都ラヴェンナにある世界遺産サンタポリナーレ・ヌオヴォ教会のモザイク画

モザイク画の最上部には、キリストの物語が描かれている。例えば、上の画像の中の上段の右から二つ目の枠には、小舟の上で漁をしている二人の人物が描かれているよね。その二人の漁師は、キリストの教えを広め、後に皇帝ネロの迫害によって殉教した聖ペテロとその弟の聖アンデレなんだろうね。

そんなキリストの物語の下の段に描かれているのは、旧約聖書の預言者たち、十二使徒、マタイなどの福音記者たちが描かれているんだそうな。

古代ローマ時代の伝統を伝えるモザイク画

上の画像に見たキリストの物語や十二使徒たちを描いた部分の下には、東方三博士の礼拝を描いたモザイク画もある。

イタリアの古都ラヴェンナにある世界遺産サンタポリナーレ・ヌオヴォ教会のモザイク画

上の画像にある東方三博士の後方(左側)には女性たちが描かれているんだけど、東方三博士に従って行くラヴェンナの聖女たちと解されているらしいよ。

このサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会に残る6世紀のモザイク画は、古代ローマ時代のモザイク装飾の伝統を伝えるものなんだそうな。(ちなみに、古代ローマ時代のモザイク装飾としては、ヴェスヴィオ火山の噴火で埋もれたポンペイ遺跡で発掘され、ナポリ国立考古学博物館に展示されているアレクサンダー大王のモザイク画が名高いよね。)

古代のモザイク装飾の材料は、主に様々な色の大理石のかけらだった。対して、後のキリスト教の教会で見られるモザイク画では、様々な色のガラスが材料となっているんだそうな。その結果として、モザイク画には一層の輝きと鮮やかさが与えられたわけだ。

でも、色ガラスを用いたモザイク画の制作には、多大な労力とコストが必要だった。そんなわけで次第にモザイク画の制作は少なくなり、フレスコ画によって代用されることとなったらしい。

この古都ラヴェンナのサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会には、このページでご紹介したものの他にもたくさんのモザイク画があるんだ。モザイク画に興味のある方にはお薦めのスポットだね。

東ゴート族の王テオドリックとサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会

イタリアの古都ラヴェンナで見る最初の世界遺産を堪能し、外へ出る。どしゃ降りだった雨は、有り難いことにやんでいたよ。さっきは雨のせいでカメラを構えることも出来なかったけど、サンタポリナーレ・ヌオヴォ教会の外観(下の画像)も撮影することができたよ。

イタリアの古都ラヴェンナにある世界遺産サンタポリナーレ・ヌオヴォ教会の外観

ところで、このサンタポリナーレ・ヌオヴォ教会なんだけど、5世紀末から6世紀にかけてイタリアを支配し、ラヴェンナを首都としていたゲルマン系の東ゴート族の王テオドリックによって彼の宮殿の隣に建設されたらしい。(但し、上の画像に見える円筒形の鐘塔は11世紀のもの。)

東ゴート族がアリウス派のキリスト教を信仰していたこともあり、この教会もアリウス派の教会だった。ところが、テオドリック王が亡くなり、東ゴート族の王国はユスティニアヌス1世(大帝)の東ローマ帝国(ビザンティン帝国)によって滅ぼされた。このアリウス派の教会もあらためて正統派の教会として聖別されたんだそうな。


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