東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

エミリア・ロマーニャ と トスカナ (イタリア)
1999 年 6 月


17. アリアーニ洗礼堂(ラヴェンナ)

ガラ・プラキディア廟ラヴェンナ駅との間は、約 1kmの距離。その中間にある路地の奥に、スピリト・サント教会がある。この教会も東ゴートの王テオドリックが 5世紀前半に建てさせたアリウス派の教会だった。

アリアーニ洗礼堂

アリアーニ洗礼堂 そのスピリト・サント教会の敷地に立つのがアリアーニ洗礼堂(右の画像)の八角形の建物。

わざわざ書くまでも無いかもしれないが、アリウス派の洗礼堂という意味で「アリアーニ洗礼堂」と呼ばれている。

キリストの洗礼

そのアリアーニ洗礼堂の天井に輝いているのが、「キリストの洗礼」を描いたモザイク画(下の画像)。中央に立つのは、言うまでもなく若きキリスト。右側は洗礼を授ける聖ヨハネ。画像の中の左側にいる老人は、キリストが身を浸すヨルダン川を象徴している。老人の頭の上には、赤いカニのハサミが描かれているのが面白いよね。

キリストの洗礼

上のモザイク画の中で面白いのは、老人の左に置かれている瓶。そこから水が流れ出し、それがヨルダン川になっている。画像が小さすぎてみえないかな ... 。

このモザイク画の中では、鳩はしっかりと「聖霊」の仕事をしているよね。ガラ・プラキディア廟の中の「水盤から水を飲む鳩」がリラックスしているのとは、ずいぶんと違っている。あの小さなギリシャ十字の建物の中では、鳩も聖霊の仕事を一休みできるってわけかな。

ところで、上にある「キリストの洗礼」。この構図、特にヨルダン川の水位が不自然だと思わない ?? なんだか、キリストのオチ・チ・を隠すために、後から水位を上げたようにも見えるんだけどね。

洗礼

  • 「洗礼 baptism」の語源は、ギリシア語で「水に浸す」を意味する「バプティスマ baptisma」。

  • 洗礼を受けることにより、人はキリスト教徒の共同体に加わる。

  • イエス・キリストが教えを広めていた頃のユダヤでは、一部の人々によって浄化儀礼としての洗礼が行われていた。

  • 古代においては、専ら水に浸かって行われる浸水礼が行われていた。しかし、3世紀以降の西欧では、頭に水をかけるだけの注水礼が広まっていった。東方正教会や再洗礼派では、今でも浸水礼が行われている。

次のページ

前のページ

旅の日程表 - ボローニャ | ラヴェンナ | サン・マリノ
キャンティ | シエナ | サン・ジミニャーノ | フィレンツェ



Copyright (c) 2001 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。