リスボンでファドを聴かせる店に入った初代アヴィス朝ポルトガル王ジョアン1世が建立したバターリャ修道院からバスでリスボンに戻る。いつもならば1時間半の距離なんだそうな。ところが、ポルトガルでは3連休の最終日で混んでいた。しかも、高速で玉突き事故があったらしく、いつもの倍の3時間もかかってしまった。リスボンに帰り着いたのが7時過ぎ。お腹が空いてしまい、ホテルの中にあったパブでサンドイッチとコーヒー。ロンドンにもありそうな「エドワード7世」という名前のパブだったけれども、大好きなイングリッシュ・ブレックファストが無かったのはちょいと残念だったね。
8時半にはホテルの前からタクシーで出発。10分ほど走って到着したのはリスボン市内の住宅地の中。上の画像にある店の前だ。この店、ファドを聴かせるレストランなんだ。
料理を食べながらファドを待つ今夜のテーマはファド。でも、その前に食事だ。店内に並べられたテーブルに落ち着き、ジャガイモと豆のスープ、サラダ、それからステーキにくらいつき、ポルトガルのワインを飲む。ポルトガルに来て以来、シーフードが続いていたから、久々の肉が美味いね。ナザレの砂浜のレストランで食べたイワシも美味かったけどね。
料理を食べワインを飲んでいる間、ステージで私たちを楽しませてくれたのは、陽気なポルトガルの民族音楽と踊りだった。つまりは前座だね。ポルトガルに限らず何処の世界でも、主役の前には前座が出るものと決まっているよね。ロンドンのフラメンコの店でもそうだけどね。
ファド ・・・ ポルトガルの心の歌やがて登場したファド。スペイン南部アンダルシア地方を発祥とするフラメンコが持つ強烈な太陽のような激しさとは対照的に、ポルトガルの人々の心の歌とされるファドはむしろ暗い印象を与えるかな。資料によればファドの曲の中には明るいものもあるらしいけどね。ちなみに、ファド Fado の語源はラテン語の Fatum なんだそうな。英語では Fate となる。つまり、「運命」だよね。そんなポルトガルの心の歌 ファドの基本的な心情は、サウダーデと呼ばれるものなんだそうな。そのサウダーデを日本語に訳すのは難しいらしいけれども、強いて訳せば「憂愁」あるいは「哀愁」。日本の演歌風に表現するならば、「取り戻せない懐かしい過去」や「かなえることの出来ない夢」などになるんだそうな。確かに明るく陽気な歌にはなりにくいよね。
ステージが終わった後、ファドの演奏者たちがCDやテープを売りに来た。私が買ったのは上の画像の左側に見える丸いギターのおじさんのテープ。このおじさんのギターがとってもしぶかったんだ。
ポルトガルのファドを代表する歌手アマリア・ロドリゲスのCD翌日のことなんだけど、リスボンで買い物をしていた時に買ったCDが下の画像なんだ。このCDのジャケットに印刷されているのが、ポルトガルを代表するファドの歌手アマリア・ロドリゲス。日本の美空ひばりに相当する方なんだそうな。
このアマリア・ロドリゲスは既に亡くなっているんだけど、今でもポルトガルでは尊敬されている英雄の一人となっていて、ポルトガルの大航海時代のエンリケ航海王子やインドに到達したヴァスコ・ダ・ガマに並ぶほどの人物なんだそうな。但し、リスボンの発見のモニュメントにアマリア・ロドリゲスの像はないけどね。
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