東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

バルセロナで冬の休暇
(スペイン 1995年12月)


04. ガウディのバトリョ邸・ミラ邸(バルセロナ、スペイン)

ゴシック地区で露店を開いていた画商からランブラス通りを描いた水彩画を買い、しかも陶器の大皿・小皿を買っちゃったもんだから、両手が荷物でふさがっちゃった。ひとまずホテルに戻り、身軽にならないとね。

ホテルから北へ歩く。家内はいちいちショー・ウィンドーにひっかかっている。それも仕方がないこと。というのも、このグラシア通りはバルセロナでも銀座のような地区なんだ。私には関係ない地区だけどねえ。でも、このグラシア通りの歴史は、なかなか面白いよ。

バルセロナの銀座 「グラシア通り」
(バルセロナ、スペイン)

  • 元々はバルセロナ市とグラシア村を結ぶただの田舎道だった。

  • 1827年、遊歩道とされた。

  • 1853年、ガス灯が設けられた。

  • 19世紀末頃、多くの邸宅が建てられ、バルセロナでも最も高級な住宅街となった。

    その頃、バルセロナではモデルニスモ運動(早い話が、アール・ヌーボーみたいなものかな)が盛んになっており、このグラシア通りにバトリョ邸やミラ邸が建てられることになったわけだ。

  • 20世紀前半、このあたりに住む上流階級の人々が更に山の手に移り住み、グラシア通りは商業地区となった。

    そして、今ではバルセロナでも銀座のような通りになっている。

ガウディのバトリョ邸 (バルセロナ・スペイン)

ガウディのバトリョ邸(バルセロナ、スペイン) そのグラシア通りに面して立っているのが、バトリョ邸。1904年から1906年にかけてガウディが改装を担当した建物なんだ。

青緑の瓦で覆われた屋根は曲面を描いている。屋根葺き職人さんも苦労しただろうね。

また、全体的にも青緑のタイルが多用されている。ここには画像が無いんだけど、夜になって照明に浮き上がると、まるで海の底のお屋敷になるんだ。もし日本だったら、カップルを引き寄せる特殊なホテルの宣伝文句に聞こえるね。

ところが、そんな不埒なことを書いたら、バチが当たるかもしれないんだ。というのも、ガウディがこのバトリョ邸をデザインした時のコンセプトは、キリスト教の聖人にしてカタルーニャの守護聖人の一人でもあるサン・ジョルディ(セント・ジョージ、サン・ジョルジュ、あるいは聖ジョージ)だったんだ。

バトリョ邸とサン・ジョルディ(聖ジョージ)

バトリョ邸のデザインは、次のようにサン・ジョルディの伝説と関連付けて解釈できるらしい。
  • バトリョ邸の屋根の青緑の瓦は、サン・ジョルディが退治したドラゴンのウロコ。
  • ベランダは、サン・ジョルディによって退治されるまでにドラゴンが殺した騎士たちの冑。
  • 窓の中に見える白い柱は、騎士たちの白骨。
  • 煙突はサン・ジョルディがドラゴンに突き刺した槍。


カタルーニャの守護聖人サン・ジョルディの伝説

  • レコンキスタ(国土回復運動)が進み、キリスト教徒がイスラム教徒を南に圧迫していた頃、退却するイスラム教徒がカタルーニャの地にドラゴンを解き放した。
  • ドラゴンはカタルーニャの少女を食べ、退治しようとした騎士たちを殺し続けた。
  • そこで登場し、ドラゴンを退治したのがサン・ジョルディ(聖ジョージ)だった。
  • 1456年、カタルーニャ議会は4月23日をサン・ジョルディ(聖ジョージ)祭の日と定めた。

  • 余談ながら、この聖ジョージは、イングランドグルジア(旧ソ連)の守護聖人でもある。

ところで、この聖ジョージが実在の人物だったかどうかははっきりとしないんだけど、一説には聖ジョージは西暦303年にニコメディアで処刑されたんだそうな。




ガウディのミラ邸 (バルセロナ、スペイン)

バトリョ邸からグラシア通りを更に10分ほど歩いたところに、同じくガウディの作品 ミラ邸(下の画像)がある。この建物は白い石灰岩で出来ていて、地元の人たちは「石切り場 (ラ・ペドレーラ)」と呼んでいるらしいよ。

ガウディのミラ邸(バルセロナ・スペイン)

ガウディがミラ邸の建設を行ったのは、1906-1910年。余談ながら、このミラ邸は、1984年にユネスコの世界文化遺産に指定されたらしいよ。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索


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