東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「初秋のブルゴーニュ」 (フランス)

ディジョン、ジュヴレ・シャンベルタン、ボーヌ、ペルージュ、リヨン

14. コート・ドールの中心 ボーヌの街

ブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌでワインの試飲

色彩鮮やかな屋根オスピス・ド・ボーヌ(オテル・デュー)を出れば、すぐ向かいにあるのがマルシェ・オ・ヴァン。つまりはワイン・マーケットということかな。

フランスのブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌにあるマルシェ・オ・ヴァンの内部

その入り口で入場料を払えば、各々に銀色のタート・ヴァン(ワイン試飲用の小さな浅いカップ)を渡してくれる。それを持って地下に降りれば、たくさんのワインの樽が並んでいる。その上に用意されているワインのボトルから自分のタート・ヴァンにワインを注いで試飲するわけだ。

ここでは非常に多くの種類のブルゴーニュ・ワインを試飲することができる。ワインのプロならば、試飲したワインを吐き出して、次々と試飲していくんだろうね。でも、素人の私たちにはもったいなくてそんなことは出来ない。口に入れたワインは全て飲み込んでいった。

でもね、ブルゴーニュ・ワインの中でも高級なものは奥の方に並んでいた。つまり、前半戦で飲み過ぎてしまえば、後半戦で戦えなくなってしまう。前半では手加減をしておくことが必要だね。最初から一気に奥まで行くのも良いのかもしれないけど。

そして出口近くには売店がある。気に入ったワインをその売店で買うことが出来るわけだ。既に飲み過ぎていた私たちだけど、試飲して気に入ったワインは覚えている。その売店でロマネ・サン・ヴィヴァンを2本買った。

このボーヌのマルシェ・オ・ヴァンの売店だけど、ロンドンのワイン専門店やデパート(ベリー・ブラザースフォートナム・メイソンなど)などよりも、ワインはかなり安いと思ったね。ブルゴーニュ・ワインの品揃えがとっても豊富なのはもちろんだし。

コート・ドールの中心 ボーヌにあるワイン博物館

ブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌには、ワイン博物館(下の画像)もある。この建物は14世紀から16世紀のもので、中世のブルゴーニュ公の館だったらしい。

フランスのブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌにあるワイン博物館

中世からコート・ドールの中心でもあるボーヌには、コート・ドールのみならずブルゴーニュ各地から様々なワインが集まっていた。そんな名高いワインを中世のブルゴーニュ公たちは政治的にも利用していたんだそうな。

例えば、百年戦争の時代にオルレアン派(後のアルマニャック派)と対立していたブルゴーニュ公ジャン無畏公は、有力者にボーヌの名高いワインを送って勢力拡大に努めていたらしい。織田信長や豊臣秀吉の茶道具みたいなものかも。

そのワイン博物館の近くのブラッサリーに入った私たち。ランチで飲んだのはボーヌの赤ワイン。そして料理はブルゴーニュ料理だ。家内は卵のワイン煮込み、そして私はブフ・ブルギニヨン(牛肉のブルゴーニュ風ワイン煮込み)だ。

そんなブルゴーニュ風のランチを楽しむ私たちに話しかけてきたカップルと話がはずんでしまい、2時間以上もおしゃべりしていたよ。ご主人がスコットランド人で奥さんがノルウェー人だったけど、きっと北海油田関係の仕事をしているに違いないね。

ボーヌのノートルダム教会

おしゃべりを切り上げて再びボーヌの街を歩く。やって来たのはノートルダム教会。(フランスの人々は本当にノートルダムつまり聖母マリアが大好きだよね。パリノートルダム大聖堂ディジョンノートルダム教会マルセイユノートルダム寺院、・・・あちこちにノートルダム。)

そして下の画像はボーヌのノートルダム教会の聖母マリア像なんだ。神々しいというよりは、とってもチャーミングだよね。イタリアのラファエロの「小椅子の聖母」に匹敵するくらい魅力的だ。

フランスのブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌにあるノートルダム教会の聖母マリア像

但し、このボーヌのノートルダム教会のお宝は上の聖母マリア像じゃないんだ。15世紀から16世紀にかけて作られたと言われる聖母マリアの生涯を描いたタペストリーがこの教会のお宝だった。もちろん、撮影させてはもらえないけど。

ちなみに、このボーヌのノートルダム教会が建てられたのは12世紀のことらしい。その後、13世紀から14世紀にかけては増改築が為されたらしいけどね。ちなみに、祭壇近くにはある聖母子像は、この教会のもう一つのお宝なんだそうな。いくつかの奇跡があったらしい。但し、私が手に入れた資料では、それがどんな奇跡だったのか、よくわからないんだけどね。

ブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌ

ボーヌの街はブルゴーニュ・ワインの商都と言われる。そしてボーヌ周辺のブドウ畑のブドウからもワインが作られている。が、ボーヌのワインにはグラン・クリュはない。せいぜいがプルミエ・クリュのワインなんだそうな。

ところが、中世のボーヌの商人たちはブルゴーニュのあちこちでワインの取引を仕切っていたんだ。例えば、あのグラン・クリュのワインを生み出すジュヴレ・シャンベルタンのブドウ畑にしても、別格グラン・クリュのシャンベルタンとクロ・ド・ベーズのブドウ畑を手に入れて名高いワインを育て上げた人物はボーヌでワイン取引をしていた商人だった。

下の画像がそんなワインの商都ボーヌの様子なんだけど、様々なブルゴーニュ・ワインはもちろん、ワイン用品の買い物も楽しめる。私たちがボーヌで買ったのは、ソムリエ・ナイフ、ガラスのキャラフ、デカンタ用に使う銀の漏斗などなど。もちろん、使いこなせないんだけどね。

フランスのブルゴーニュ・ワインの商都ボーヌの街並み

そして夜はボーヌで泊まっているホテル「ル・セプ」の中にあるレストラン。この店もミシュラン一つ星だったりする。が、店のスタッフもソムリエ氏も英語が苦手みたい。どうなることかと心配になったよ。

ところが、料理もワインも素晴らしい。手長エビの冷たいスープ、フォア・グラのサラダ、鴨のオムレツ、仔牛のレバーのワイン煮。そして赤ワインはブラニィ。このブラニィはソムリエ氏のお薦めに従ったもの。期待以上に美味かった。そしてデザートにはイチゴのスフレ。

料理にもワインにも、そして常に微笑をもって対応してくれた若いスタッフにも、満足できるディナーだったね。強いて言えば、メインの仔牛のレバーのワイン煮、この一人分が 200gはあろうかという量。私はともかく、家内にはあまりに多すぎたみたい。そういえば、家内は今朝は胃痛を訴えていたけど、しっかりディナーを楽しんでいたぞ。治ったのかな。

ちなみに、フランス東部アルザス地方も古代ローマ帝国の時代からワインを生産していた土地なんだけど、そのアルザス地方の街コルマールもこのボーヌと同じく昔のワイン取引の中心地だったらしい。そんなコルマールの古い街並みを歩くのもワイン好きにはお薦めだよ。アルザス・ワインと郷土料理もとっても美味しいんだ。


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