東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

パリに住んだ ・・・ つもりの 9日間 (フランス)

パリからロワール、ノルマンディー、シャルトルまで

25. サン・ドニ大聖堂に入る (パリ郊外)

サン・ドニ大聖堂の中に入る

サン・ドニ大聖堂の正面を外から眺めたら、次はその中に入る。下の画像にあるように、サン・ドニー大聖堂の中では、観光ツアーの御一行がガイドさんの説明を聞いていたよ。

フランスの首都パリの郊外にあるサン・ドニ大聖堂の内部

後で触れるけど、このサン・ドニ大聖堂は長いフランスの歴史の多くの出来事に関係している。ゴシック様式の先駆であるという建物の話も面白いし、大聖堂に関係する歴史の話も興味深いんだよね。

サン・ドニ(聖ドニ)の殉教

話は 3世紀に遡る。当時のフランス(ガリア)は古代ローマ帝国によって支配されていた。その古代ローマ帝国はキリスト教の信仰を禁じていたんだ。イタリアのローマでは皇帝ネロはキリスト教徒を迫害しているし、フランスと同じく古代ローマ帝国が進出していたブリタニア(イギリス)においても聖アルバンが殉教している。

フランスの首都パリの郊外にあるサン・ドニ大聖堂のステンド・グラス

そんな状況でパリ(当時はルテティア)に来てキリスト教を広めようとしたディオニシウスは捕えられ、拷問の末にモンマルトル(殉教者の丘)で斬首された。その自分の首を拾い上げたディオニシウスは、10kmほどを歩いてついに息絶えた。そこに作られた墓がやがてサン・ドニ大聖堂になったと。つまりこのディオニシウスが、今ではフランスの守護聖人となっているサン・ドニ(聖ドニ)というわけだ。

殉教者サン・ドニ(聖ドニ)の墓からゴシック様式の大聖堂へ

西暦630年、殉教者サン・ドニ(聖ドニ)の墓にフランク王国の王ダゴベール1世がサン・ドニ修道院を建てた。そして8世紀半ばにフランク王国の小ピピンがサン・ドニ修道院に教会を寄進した。その教会が完成したのが西暦775年だった。既に小ピピンは亡くなっていて、その息子のシャルル(後の皇帝シャルルマーニュ)が教会の聖別に参列したらしい。

そして西暦1135年、サン・ドニ修道院の修道院長シュジェールの下で教会の拡張と建て直しが始まった。その工事はまず建物の西側から始められた。その工事の結果である今のサン・ドニ大聖堂の正面には、ノルマンディー公ウィリアム(イングランド征服王ウィリアム1世)カーンに創設した男子修道院のサン・エティエンヌ教会の影響が見られるんだそうな。

フランスの首都パリの郊外にあるサン・ドニ大聖堂のバラ窓のステンド・グラス

ちなみに、このパリ郊外のサン・ドニ大聖堂の西側正面の独創的な点は、その上部にバラ窓(上の画像)を設けたことらしい。これは間もなくシャルトル大聖堂の模倣するところとなった。(残念ながら上の画像のバラ窓はフランス革命の後に破壊され、19世紀に復元されたものなんだそうな。)

西暦1140年からサン・ドニ大聖堂の拡張と建て直しは東側に移った。その工事が完成したのが西暦1144年だったらしい。更に西暦1231年には、修道院長クレマンによって建物の中央部分の拡張と建て直しが行われた。その工事は西暦1264年に完了したらしい。

サン・ドニ大聖堂のレイヨナン様式のゴシックとバラ窓

私は建築や建物に関して全くの素人なんだ。詳しいことはもちろん、詳しくないこともわかりゃしない。でも、資料を一生懸命に読んだところでは、上に書いたサン・ドニ大聖堂の工事は、ロマネスク様式から「ゴシック様式」への建て直しだったみたい。それも13世紀から14世紀のフランスに特徴的な「レイヨナン様式」のゴシックなんだそうな。

フランスの首都パリの郊外にあるサン・ドニ大聖堂のステンド・グラス

つまり、それはどういうことなのか。結論としては、ロマネスクにおいては分厚く窓も無い石積みの壁だったものが、ゴシック、特にレイヨナン様式のゴシックにおいてはいくつもの大きな窓の開いた壁に置き換わるということなんだそうな。その結果、サン・ドニ大聖堂などのレイヨナン様式のゴシックの建物は多くのステンド・グラスを持つことになる。その代表が上の画像のようなバラ窓なんだって。

そんなゴシック様式の建物としてサン・ドニ大聖堂に追随したのが、見事なバラ窓のステンド・グラスを持つシテ島のノートルダム大聖堂であり、シャルトル大聖堂だったわけだね。


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