東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「カンパーニャとローマ・ヴァティカン」(イタリア)

第四部 ローマ・ヴァティカン編

D60. ローマのサンタンジェロ橋から見るサンタンジェロ城

ローマのサンタンジェロ城とサンタンジェロ橋

ローマをイタリア・バロックで飾ったベルニーニの作品が並ぶボルゲーゼ美術館と古代エトルリア美術を集めたヴィラ・ジュリア博物館のあるボルゲーゼ公園からタクシーでやってきたのが、ティベレ川にかかるサンタンジェロ橋。今回のイタリアの旅でのローマの観光を、サンタンジェロ城で締めくくろうというわけだ。

イタリアの首都ローマを流れるティベレ川とサンタンジェロ城とサンタンジェロ橋

上の画像はローマを流れるティベレ川の向こうのサンタンジェロ城を眺めた風景。右手にかかる橋はサンタンジェロ橋だね。昨日は橋の向こうのサンタンジェロ城から出発して、サン・ピエトロ大聖堂に向かったわけだ。

西暦1786年から1年半にわたってイタリアを旅したドイツの文豪ゲーテは、ここで花火が打ち上げられるのを楽しんだらしい。童話のような眺めだったそうな。

サンタンジェロ橋の上から眺めたサンタンジェロ城

そしてサンタンジェロ橋の上を歩きながら眺めたサンタンジェロ城が下の画像だ。かつてローマを訪れた中世の巡礼たちも、同じような風景を眺めたんだろうね。

イタリアの首都ローマのサンタンジェロ城をサンタンジェロ橋から眺めた

多くの巡礼が歩いたこのサンタンジェロ橋で、惨事が起こったことがある。西暦1450年のことなんだけど、あまりに多くの巡礼がヴァティカンを訪れ、その為にこの橋の上が大混乱に陥り、200人もの人々が亡くなったとか。

サンタンジェロ橋とベルニーニの天使像

西暦1667年、トスカナ出身のジュリオ・ロスピリオネージがローマ教皇クレメンス9世として即位した。彼はかつてローマ教皇ウルバヌス8世の周囲に集まっていた文人たちの一人であり、イタリア・バロックの代表的芸術家にして彫刻家・建築家ベルニーニとは数十年来の友人だった。

新ローマ教皇クレメンス9世は、既に70歳になろうとしていた旧友のベルニーニを呼び、サンタンジェロ橋の装飾を依頼した。その橋の装飾の為に10体の天使像が制作されることになった。そのうちの8体はベルニーニの指揮のもとに当時のローマで活躍していた彫刻家たちに制作させ、残りの2体をベルニーニ自身が手がけることになった。

やがてベルニーニによって制作された天使像2体が完成した。ところが、その2体の天使像を見たローマ教皇クレメンス9世は、ベルニーニの天使像が風雨にさらされることが忍びないと考えた。

イタリアの首都ローマのサンタンジェロ城とサンタンジェロ橋のベルニーニによる天使像のレプリカ

その結果、サンタンジェロ橋を飾ったのは、ベルニーニの天使像のレプリカになっちゃった。上の画像はそんなベルニーニの天使像のレプリカの一つなんだ。ローマ教皇が余計なことを言わなければ、ここにベルニーニの天使像のオリジナルがあったはずなのにね。

ベルニーニの天使像のオリジナルの行方

サンタンジェロ橋の上に置かれそこなったベルニーニの天使像のオリジナルは、しばらくの間は彼の子孫によって保存されていた。

そして西暦1729年、ベルニーニの子孫はオリジナルの天使像をサン・タンドレア・デッレ・フラッテ教会に寄贈した。その教会へ行けば今でもベルニーニの天使像のオリジナルを見ることが出来るらしいよ。残念ながら私たちの今回の旅では見に行けないんだけどね。

ついでながら、ローマ市内のポポロ広場にあるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会に行けば、ベルニーニの別の天使像もあるけどね。


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